米アップル(ティッカーシンボル:AAPL)は4月5日、28ヵ国で事業展開する250社以上のサプライヤーが、2030年までにアップル製品の製造の全てにおいて再生エネルギーを使用することにコミットしていると発表した。アップルは30年までとする同社製品の脱炭素化を推進する。他のビッグ・テック(#1)も気候変動分野で先進的な取り組みを進めている状況だ。
再エネ利用にコミットした250社超のグローバルサプライヤーは、アップルの直接製造に使用されるエネルギーの85%以上を占め、コミット額は20ギガワットに上る。製造パートナーによる再エネの利用は13.7ギガワットとなり、19年比で5倍増加した。アップルによると、再エネ拡大の取り組みにより、昨年は1,740万トンの炭素排出を回避でき、これは約380万台の自動車の排出に相当するという。
また、世界44ヵ国の全オフィス、データセンター、直営店の電力を約1.5ギガワットの再エネで賄っている。サプライチェーン上流の排出にも対応すべく、中国と日本で約500メガワットの太陽光・風力発電プロジェクトに直接投資を行った。
アップルは30年までに全製品でカーボンニュートラルを達成すべく、革新的なツールを活用する。これには、47億ドル(約6,300億円)のグリーンボンド(環境債)の発行が含まれており、これまでにクリーンエネルギーおよびグリーンテクノロジー関連プロジェクトなどに32億ドル以上を支出した。加えて、サプライヤーのコミット達成を後押しするために、クリーンエネルギーアカデミーを通じて無料の学習リソースとライブトレーニング環境を提供している。クリーンエネルギーと炭素削減関連ソリューションの特定と実施に向けてサプライヤーと密接に協働する。
アップルを始めとするビッグ・テックは、テクノロジーのみならず気候変動の分野でも先進的な取り組みを推進している。たとえば、米アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルは22年10月、気候変動に取り組む都市の国際ネットワーク「C40」と完全な脱炭素化を図るカーボンフリーエネルギープログラム(24/7CFE)を開始すると発表した。都市の気候変動対策としては初の取り組みになる。アマゾン(AMZN)は23年2月、世界初となる洋上風力発電所の風力タービン(風車)間に設けられた、商業規模の海藻養殖場に資金提供すると発表した。生物多様性の向上や自然環境の保全などに資するプロジェクトへの投資を通じ、気候変動対策を推進する。
(#1)ビッグ・テック…巨大ハイテク企業。一般的にはアルファベット(グーグル親会社)、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフトを指す。
【参照記事】*1 アップル「Apple and global suppliers expand renewable energy to 13.7 gigawatts」
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