もしもアマゾンが仮想通貨を発行したら。その特徴と影響を未来予想

※ このページには広告・PRが含まれています

もしアマゾンが独自の仮想通貨を発行したら、使いたいだろうか。アマゾンのオンラインショップではこの仮想通貨でしか購入できないとなれば、どうだろうか。LendEDUが先月発表した調査結果によると、最近同社で品物を購入した1,000人の消費者のうち、51.7%がAmazon.comで同社の仮想通貨を使うことに前向きな回答をした。

同社は今までもスーパーを買収したりヘルスケア企業を設立すると発表したり、あらゆる業種に積極的に参入する企業であることで知られている。しかも同社のeコマースは世界最大規模を誇り、そのネットワークの広がりようは他社の追随を許さないものがある。それを活かせば、仮想通貨を発行して独自の経済圏を作ることも夢物語ではないように思う。

BITCOINMAGAZINEでは、同社が独自のトークンAMZNを発行したと仮定して、AMZNの特徴、AMZNが普及した2050年のシミュレーション、AMZNを発行するに際しての課題や疑問をまとめた記事が論じられている。見方は概ね楽観的で、AMZNは史上初の世界共通通貨になり、消費者は同社が提供するあらゆる最高水準のサービスを安く利用できるようになる、という希望的観測が述べられている。

同記事によると、AMZNは一般的交換手段として機能する。同社が提供するあらゆるサービスの対価はAMZNで支払われる必要があり、消費者は良いサービスを利用したいがために自然とAMZNを使う。さらには株式のように、AMZNを所有することで同社を一部所有できる、という案もある。AMZNが積極的に使われることで同社の売り上げが伸び、フリーキャッシュフローが増えるぶんAMZNの所有者も得をする、という展開だ。

同社は巨大なeコマースサイトを抱え、様々なモノやサービスを販売しているため、AMZNを交換手段として機能させることは難しくなさそうだ。例えばビットコインでの支払いを受けつけるモノ、サービスがまだまだ限定的であることを考えれば、同社にはこの分野での競争優位性がある。とはいえ、AMZNがもっぱら価値保存の手段として使われて流通しないリスクもあるため、この点は同記事でも課題として取り上げられている。

実は同社は2013年にAmazonコインという、アプリやアプリ内課金アイテムの購入に使えるバーチャル通貨をリリースしている。このコインは同社のアプリストアでしか使えず、また、すでに法定通貨で購入できるものをAmazonコインで購入することの必然性を感じられないユーザーも多かった。そのせいか、このコインは大ヒットすることはなかった。

時は流れ2018年。仮想通貨ブームが訪れ、パイオニア精神の強い同社が世界を牛耳る独自通貨の発行に再び乗り出す日も近いのではないだろうか。今月には、同社が預金口座の提供を模索していると報じるニュースもあった。口座を提供し、通貨を発行する。こう聞くとアマゾンは銀行になりそうな勢いだ。

【参考サイト】Should Amazon Get Into Virtual Currency? Banking? Insurance? | LendEDU Survey
【参照サイト】Op Ed: Could an Amazon Token Become a Viable Worldwide Cryptocurrency?
【参考サイト】アマゾンの次の一手、「預金口座」提供を模索

The following two tabs change content below.

木村つぐみ

海外ビジネス情報の翻訳、ライティングを幅広く手掛けており、HEDGE GUIDEでは暗号通貨・仮想通貨関連記事を担当しています。暗号通貨・仮想通貨の特に興味深い点は、貨幣の持つ共同幻想性を明るみに出したことだと思っています。初心者の方にも分かりやすい説明を心掛けていきます。