気候テックスタートアップAether Fuelsは6月27日、シリーズA(資金調達ラウンド)で3,400万ドル(約55億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、航空・海運業界向けに持続可能な燃料を製造する、同社の独自技術Aether Auroraの商用化を加速させる。
今回の投資ラウンドは、英投資ファンドのAPベンチャーズが主導した。米石油大手傘下のシェブロン・テクノロジー・ベンチャーズや日本ゼオンの米国投資子会社であるゼオン・ベンチャーズなども参画した。
Aether Fuelsは22年4月に設立され、米カリフォルニア州を拠点とする気候テックスタートアップだ。シンガポール政府系ファンドのテマセクのディープテック分野の投資子会社ゾラ・イノベーション(Xora Innovation)からスピンアウト(分離・独立)した。
持続可能な液体燃料の生産技術を活用し、航空および海上輸送用の持続可能な燃料を生産する際の経済性を飛躍的に向上させるスケーラブルなソリューションを開発している。
Aether Auroraは、Aetherの戦略的パートナーであるGTIエナジーからライセンス供与された技術を活用する。化学(触媒)、装置(炉)、プロセスの革新を組み合わせることにより、プラント投資と運転コストを削減するとともに収率を改善させる、フィッシャー・トロプシュ(FT)プロセスにより、経済性を飛躍的に向上させる。
幅広い種類で豊富な廃棄物由来の炭素原料を、ジェット燃料やその他の液体炭化水素に変換することができるため、他の多くの持続可能な航空燃料(SAF)製造プロセスが直面する供給上の制約を克服することもできる。
Aetherは、世界トップクラスの研究開発(R&D)インフラ、触媒、プロセス技術の規模を拡大し、100ガロン/日のテスト生産プラントの建設を拡大・加速するために調達資金を活用する。既存のパイロットラインは1.5ガロン/日となる。
SAFやその他の高価値で持続可能な液体燃料を生産するために、米国と東南アジアでのプロジェクトを含む商用規模の生産施設の開発を、厳選された戦略的パートナーと共同で開始する予定でもある。
この取り組みを推進すべく、パイロットラインと建設中のテスト生産プラントがあるGTIエナジーのシカゴ地域にAetherの研究開発センターを設立した。2016年にGTIエナジーが開始した、天然ガスを液体燃料にする技術であるGTL(Gas-to-Liquid)技術プログラムを基に、両社のパートナーシップは22年に開始した。Aether Auroraのソリューションは、GTLプログラムから得られた重要な技術革新を活用している。
Aether Auroraは、原料の柔軟性を考慮してイチから設計されたため、合成燃料(e-fuel)、バイオ燃料、リサイクルされた炭素燃料プロジェクトに適している。これらのプロジェクトでは、回収された二酸化炭素(CO2)、産業廃棄物を原料とするバイオガス、残渣処理された農業廃棄物などを効率的に消費することができる。Aether Auroraは適応性とコスト効率を踏まえると、高度に差別化されたソリューションとしてその地域を確立している。
【参照記事】*1 Aether Fuels「Aether Fuels Secures $34 Million in Series A Financing」
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