一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は7月1日、「システムチェンジ投資」を実践するシステムチェンジコレクティブ事業で、児童虐待対応システムの開発と提供を行う株式会社AiCAN、岡山県西粟倉村の地域活性化に取り組む株式会社エーゼログループの2社を協働パートナーとして決定したと発表した。
システムチェンジ投資は、インパクト投資の価値をより深め、社会と環境の課題を根本的・構造的な解決に貢献する投資のあり方として、欧米諸国で注目され始めている。
SIIFはシステムチェンジコレクティブ事業の開始にあたり「機会格差」「地域活性化」の2分野で課題構造分析を行い、解決を目指す課題をそれぞれ「世代をまたいだ経済格差の拡大と固定化」「地域の経済衰退とコミュニティ消失」と設定。2023年10月に公募を開始し、約90社の応募に対して、書類選考及びオンラインによるプレゼン、現地視察も含めた面談を複数回経て、決定に至った。
本事業において、SIIFは、社会・環境課題の構造的な解決(システムチェンジ)を志向する投資家として、インパクト投資で確立しつつあるインパクト測定・マネジメントの実施に加え、課題の構造分析の深化と、課題解決のための変革仮説(Theory of Change:ToC)の改訂を進めている。
AiCAN社は、「すべての子どもたちが安全な世界に変える」というビジョンを実現するため、虐待対応の最前線に立つ児童相談所や子育て支援課の職員を支援している。主力の「AiCANサービス」は、SaaSの業務支援アプリとデータ分析に基づく提案、エビデンスを参照した専門研修、DX伴走支援をワンストップで提供する。出資金額は5999万9476円。
エーゼログループは、自然資本領域、社会関係資本領域、経済資本領域の3つの事業領域を設定し、これらの事業領域間の有機的な連関と循環を醸成し「未来の里山」の実現に取り組む。現在の拠点は岡山県西粟倉村、北海道厚真町、滋賀県高島市、鹿児島県錦江町の4つ。出資金額は5767万8381円。
SIIFは今後、協働パートナー2社とともに課題の根治に必要なアクションを検討・実施するとともに、さらなる投資活動を通じて協働パートナーのネットワーク構築を進め、システムレベルの変化に向けた取り組みの実現を目指す。また、システムチェンジ投資の概念整理、海外事例の調査研究を公開したシステムチェンジ・ライブラリを運営するSIIFのインパクト・エコノミー・ラボとも連携し、システムチェンジ投資の普及・促進に努めていくとしている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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