英国の中央銀行、イングランド銀行(BoE)は3月12日にディスカッションペーパー「CBDC(中央銀行が発行するデジタル通貨)に関する機会、課題、およびデザイン」を発行し、“お金と支払いの重大な変化の時期であるため、CBDCに関心を持っている”と詳述した。
57ページのレポートでイングランド銀行は、「現金の使用が減少し、民間発行の新しい形式のお金が支払いに広く使用されるようになっている」と指摘。CBDCはステーブルコインなどの民間発行の新しい形式のお金のような手段よりも安全な支払いサービスを提供する場合があると主張している。
「中央銀行が発行したリスクのない形式のお金を一般の人々が今後も利用できるようにすることは将来的に特に重要であり、現金の使用が減少した結果に対処するのに役立つ」とイングランド銀行のマーク・カーニー総裁は序文で述べている。
CBDCの発行に関しては正式な判断を下していないが、イングランド銀行はCBDCに関する機会とリスクの両方を強調している。BoEによると、CBDCは金融の安定を維持するのに有効な多くの機会を提供する。より弾力性のある決済環境をサポートでき、家計や企業にとって支払いを迅速、効率的かつ信頼できるものにできると認めている。
CBDCを即時グロス決済(RTGS)上に構築し、消費者の支払いを改善する民間部門の取り組みを補完できる可能性もあるとレポートは記している。消費者へのCBDCの配布は支払い仲介者を介して行われ、こうした支払い仲介事業者が中核台帳にはない機能を追加することも想定されている。
イングランド銀行はCBDCがもたらすリスクと課題についても言及している。消費者の預金残高が商業銀行からCBDCに移動すると、銀行の融資を進める能力に影響を及ぼす可能性がある。最終的に、中央銀行が金融政策を実施し、金融の安定性をサポートする能力に影響を与える可能性があるとしている。
イングランド銀行は日本、スウェーデン、スイス、カナダ、EUの中央銀行、および国際決済銀行(BIS)と研究を共有している。グループは4月上旬にウェビナーを実施する予定だ。
【参照PDF】Discussion Paper: Central Bank Digital Currency Opportunities, challenges and design
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