暗号資産ネム(XEM/NEM)のアップデートに備えよう。Symbol(XYM)の取得方法について解説

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証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. NEMのSymbolアップデートとは
  2. Symbolアップデートで何が変化するのか?
  3. SymbolのXYMトークンを取得するには
    1. オプトインを表明する
    2. スナップショット時にXEMを保有しておく
  4. XYMを取得するにはまずXEMの購入を

日本人でも昔から支持者の多いネム(NEM)ですが、2020年12月には大型アップデートを予定しています。ネムの大型アップデート計画は2017年から「Catapult(カタパルト)」という名称で進行しており、現在は「Symbol」と呼ばれています。ここでは、ネムのアップデート「Symbol」について解説したいと思います。

①NEMのSymbolアップデートとは

「ネム」が暗号資産(トークン)の一種と認識している方も多いかもしれませんが、ネム(NEM)とはブロックチェーン・プラットフォームの名称です。そして、ネム(NEM)プラットフォーム上で利用されるトークンが「ゼム(XEM)」と呼ばれています。

NEMブロックチェーンのアップデートは「Symbol」と名付けられています。アップデートと言えども、独立したチェーンがローンチされて、Symbol上で利用される暗号資産は「ジム(XYM)」として区別されます。この違いは覚えておきましょう。

Symbolアップデートは2020年12月17日リリース予定となっていますが、カタパルトの頃から何度か延長してきたため、確定ではない点に注意しておいてください。

②Symbolアップデートで何が変化するのか?

次に、アップデートによって何が変化するのか説明したいと思います。開発を主導するNEMグループは、SymbolがNEMブロックチェーンよりも柔軟性、セキュリティ、スピード、使いやすさにおいて大幅なアップグレードとなることを宣言しています。

Symbol

Symbolは、企業がコストを削減し、複雑さを軽減し、イノベーションを合理化することを支援するように設計されています。

まず、トランザクションの処理速度が向上します。今回のアップデートによってトランザクションの承認時間は1分から15秒に短縮され、処理性能も向上する見込みです。処理速度の向上はユーザビリティの向上に繋がります。

次に、アップデートによって期待されていることは「セキュリティ面の向上」です。元来、ネムはセキュリティ面で高い評価を受けています。アップデートによってトランザクションのマルチシグ機能をより利用しやすくなります。ビジネスユーザーにとって特に安心できる側面となります。マルチシグ機能とは、暗号資産送付に複数の秘密鍵を使用する仕組みです。

最後に、「機能性の向上」が見込まれています。Symbolに付加される新機能は複数ありますが、その代表例が「アグリゲートトランザクション」です。アグリゲートトランザクションは、複数の取引処理をひとまとめにして処理できる機能です。

aggregate-paying-for-others-fees取引参加者が署名をすると、最大1000件のインナートランザクションが同時に実行されます。例えば、チケットやクーポン券、デジタルアートの受渡しや、手数料の肩代わりが想定されています。Symbol はこれを「一度きりのスマートコントラクト」を生成することで実現しています。

他にも、Symbolはプライベートチェーンとパブリックチェーンのハイブリッドチェーンとなっており、チェーン間で独自のトークン(モザイク)を送信できる「クロスチェーンスワップ」機能を備えています。また、稟議のような階層型アカウントを設定して、マルチシグトランザクションを使用することも可能です。このようにSymbolの機能はビジネスシーンに即して使いやすくなっています。

それでは次に、SymbolのXYMトークンをどのようにして取得できるのかを解説します。

③SymbolのXYMトークンを取得するには

ネムジャパン公式サイトによると、Symbolの立ち上げは2020年12月17日に予定されています。XYMトークンを受取るために必要なプロセスとそのスケジュールは、下記のように予定されています。

SYMBOL2

1. オプトインを表明する

まずオプトインとは「XYMトークンを取得することを意思表示すること」を指しています。オプトインの受付は既に開始しています。オプトインは公式の「NEMウォレット」で行うことができます。XEMを取り扱っている日本の暗号資産取引所の多くは「オプトインの対応を検討する」と発表しています。しかし、現時点では明確に対応を約束しているわけではないことに注意しましょう。NEMチームはユーザーに対して、XEMトークンを取引所ではなく公式のNEMウォレットに移し、オプトインを行うことを推奨しています。

2. スナップショット時にXEMを保有しておく

スナップショットによって、ブロックチェーン上でXEMの保有量が記録されます。このタイミングで記録されたXEM保有量に対して1対1のXYMトークンが配布されます。この期間にXEMを保有していれば、例えオプトイン自体はメインネットローンチ後になっても、XYMトークンを受取ることができます。

④XYMを取得するにはまずXEMの購入を

XYMトークンを取得するためには、まずはオプトインで意思表示を行い、スナップショット時にXEMを保有する必要があります。そのため、XEMの購入が必要になります。

Coincheck
XEMは日本ではいくつかの暗号資産取引所で取り扱いがありますが、代表的な取引所であるコインチェックはオプトインやXYMトークンの配布の対応を検討することを表明しています。XYMトークンを取得したい方は、まずコインチェックの口座を開設して、XEMの取得を検討すると良いでしょう。ユーザー対応のスピードはとても早く、信頼できる取引所の一社なので、今後のアナウンスをチェックしてみてください。

2020年に入り、Symbolのアップデート計画が具体的になるに連れて、足元のXEMの価格も上昇しています。このまま、スナップショットの時期が近づくと、XEM保有量を増やしておきたい投資家の買い需要が高まると推測されます。これはトレードチャンスとなりますが、くれぐれも遅延のリスクに注意しましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12