今回は、Stake Technologiesについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました
目次
- Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)とは
1-1.Stake Technologiesの概要と沿革
1-2.CEOである渡辺創太氏 - Stake Technologiesの事業内容
2-1.Astar Network(アスターネットワーク)
2-2.コンサルティング - Stake Technologiesの目指す未来
3-1.Astar NetworkのDAO(自立分散組織)化
3-2.次世代のウェブである「Web 3.0」の実現 - まとめ
世界中でブロックチェーン関連の事業を展開する企業が年々増加していますが、日本発のパブリックブロックチェーンである「Astar Network(アスターネットワーク)」の開発を行っている「Stake Technologies Pte Ltd」をご存知でしょうか。
Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)は渡辺創太氏がCEOを務めるWeb3.0企業で、米Coinbaseなどから出資を受けるなど、世界で大きな注目を集めています。
そこで今回は、そんなStake Technologiesの会社概要や、今後目指す未来について解説していきます。
①Stake Technologies(ステイクテクノロジーズ)とは
1-1.Stake Technologiesの概要と沿革
Stake Technologies Pte Ltdとは、ブロックチェーンをはじめとする最新のITテクノロジーを駆使して、次世代のWebである「Web3.0」の実現を目指している企業です。
19年1月に設立されたStake Technologiesは、20年に本社をシンガポールに移し、現在はアメリカ、フランス、ドイツといった世界中のさまざまな拠点に従業員を抱えています。
Stake Technologiesは、インターネットが世界に導入されてから約数十年となるにも関わらず、我々のデータが依然として少数の大企業によって一元管理されているという問題点を提起し、これを解決するために、会社全体のビジョンとして「世界を変える分散型Web」である「Web3.0」の実現を掲げています。
1-2.CEOである渡辺創太氏
Stake TechnologiesのCEOを務めている渡辺創太氏は、1995年生まれの若干26歳という若さにも関わらず、ブロックチェーン業界において数々の画期的なプロジェクトを生み出している起業家です。
渡辺創太氏は慶応義塾大学経済学部を卒業した後、インドやロシア、中国などにおいてインターンシップ活動を行いました。
18年には米シリコンバレーにある世界有数のブロックチェーンスタートアップ「Chronicled(クロニクルド)」に就職し、帰国後は東京大学大学院ブロックチェーンイノベーション寄付講座共同研究員を担い、その後の19年にStake Technologiesを創業しました。
Stake Technologiesを創業した経緯について渡辺創太氏はNPO活動の経験を挙げており、世界で起きている社会問題に直面したことから、困難を抱える人々に対して副次的にインパクトを与えられるようになりたいと感じたことがきっかけだと語っています。
Stake Technologiesの本社をシンガポールに設立した理由については、仮想通貨に関する日本の税制の問題点を挙げているほか、シンガポールでは政策立案者である「ポリシーメーカー」が仮想通貨を推進し、金融ハブを作るという意識が高いことも理由の一つだとしています。
シンガポールでは仮想通貨の関連企業が500社近く存在し、法律などのルール整備がしっかりと行われているため、日本国内に比べて事業展開がしやすい環境が整っているということです。
②Stake Technologiesの事業内容
2-1.Astar Network(アスターネットワーク)
Stake Technologiesでは主に、ブロックチェーンの研究開発およびプロダクト開発を行っています。中でも独自のパブリックブロックチェーンとして開発を進めている「Astar Network(アスターネットワーク)」は22年1月17日にメインネットがローンチされたばかりにも関わらず、世界的にも広く知られているプロジェクトとなっています。Astar Networkは、異なるチェーン同士のインターオペラビリティを実現する「Polkadot(ポルカドット)」のスマートコントラクト・ハブになることを目指しています。
Polkadotもブロックチェーンですが「リレーチェーン」の接続機能とセキュリティの維持に特化しており、スマートコントラクトをデプロイしたり、実行するために設計されていません。AstarはEVM(イーサリアム仮想マシン)とWASM(ウェブアセンブリー)に対応しているため、イーサリアム互換のDAppsに加えてPolkadotネイティブなDAppsの構築も可能となっています。
Polkadotエコシステムでは中心に「リレーチェーン」があり、「パラチェーン」と呼ばれる単一のブロックチェーンの相互運用性を実現しています。パラチェーンの枠(スロット)は最大100枠となっており、定期的に開催される「パラチェーンオークション」で埋まっていきます。Astar Networkはこのオークションにおいて枠(スロット)を獲得し、世界で3番目にPolkadotに接続し、2022年1月にメインネットをローンチしています。
2-2.コンサルティング
Stake Technologiesではメインの事業となる「Astar Network」の開発のほかにも、Web3.0テクノロジーを実装している企業に対する技術コンサルティングサービスおよび技術サポートを提供しているほか、教育事業の展開も行っています。
21年9月にStake Technologiesは、33億円規模のファンド「Astar Ecosystem Growth Fund Ⅰ」を立ち上げたことを発表。Astar Ecosystem Growth Fund Ⅰは、日本のパブリックブロックチェーンエコシステム醸成に向けてAstarとShiden上にアプリケーションやインフラストラクチャーを作る日本のプロジェクト、特に世界を目指す日本のプロジェクトに資金提供する方針です。
さらに、Stake Technologiesが培った経験やネットワークを無償で提供し、直接投資やハッカソンの開催、助成金を提供しています。
③Stake Technologiesの目指す未来
3-1.Astar NetworkのDAO(自立分散組織)化
Stake Technologiesでは、現在開発を行っているAstar Networkの世界規模での発展を目指しており、最終的にはStake Technologiesを解散させ、会社という組織の存在がなくとも稼働し続けることができる「DAO(自立分散組織)」というモデルでWeb3を実現したいと考えています。
これまでの企業モデルの場合、サービスを提供している母体が解散した際には、サービス自体が使用不可能になり、消滅せざるを得ませんでした。一方でDAOによる運営を実現させた場合、たとえStake Technologiesという母体が解散したとしても、Astar Networkは意思決定権が企業からコミュニティに譲渡されることでその後も稼働し続けることが可能です。
渡辺創太氏は、現在のStake TechnologiesのCEOという立場からAstar Networkの創業者となり、最終的には一人の「オープンソースコントリビューター」という形でコミュニティと対等な立場になることが理想だと語っています。
3-2.次世代のウェブである「Web 3.0」の実現
Stake Technologiesは企業のゴールとして「Web 3.0」の実現を掲げています。ブロックチェーン技術によりピアツーピアのトランザクションが可能となり、これまでは仲介企業となる一部の大企業に独占されていたデータも分散的な管理が可能となります。
Stake TechnologiesではWeb 3.0の世界の実現を実現するため、「アラメダリサーチ(Alameda Research)」や「アルケミーベンチャーズ(Alchemy Ventures)」のほか、本田圭佑氏やPolkadotの創設者であるギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏、「Web3 Foundation」からの約25億円(2,200万ドル)におよぶ大規模な資金調達を行い、積極的な事業展開を行っています。
【関連記事】:日本発のブロックチェーン「Astar Network」とは?【コインチェックや本田圭佑氏が出資するWEB3スタートアップ】
④まとめ
Stake TechnologiesはWeb 3.0の実現を目指して、Astar Networkを軸とするさまざまな事業展開を行っています。CEOである渡辺創太氏は日本国内におけるブロックチェーン業界の重要人物の一人として世界からも注目を集めており、Astar Networkを世界で利用されるブロックチェーンに成長させると語っているため、今後もその動向から目が離せません。
中島 翔
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