メタバースファッションブランド「Space Runners(スペースランナーズ)」とは?

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今回は、Space Runnersについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. メタバースにおけるファッションの重要性
    1-1.メタバースの概要
    1-2.メタバースとブロックチェーン技術
    1-3.ブロックチェーン×メタバース・ファッション
  2. メタバースファッションブランド「Space Runners」
    2-1.Space Runnersの概要
    2-2.NBAチャンピオンズスニーカーコレクション
    2-3.1,000万ドル(約11億5,000万円)の資金調達
  3. まとめ

NFT・メタバースに特化したファッションブランド「Space Runners(スペースランナーズ)」は、2022年3月8日に1,000万ドル(約11億円)の資金調達に成功したことを発表しました。Space Runnersは昨年末に「NBAチャンピオンズスニーカーコレクション」というNFT1万点が、わずか9分で完売したことでも注目を集めたブランドです。今回は、メタバース・ファッションブランド「Space Runners」について解説します。

①メタバースにおけるファッションの重要性

まず初めに、メタバースとファッションについて解説します。

1-1. メタバースの概要

メタバースはインターネット上に構築された「多人数参加型の3D仮想空間」の事を指します。ユーザーはアバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入り、その世界の探索や他のユーザーとのコミュニケーションを楽しんだり、仮想通貨を用いた買い物や自ら商品を制作して販売する経済活動ができたり、ユーザーが作ったゲームを提供するなど、自由度の高い活動ができます。

メタバースの中には、現実の世界と同じように土地や建物があり、その上で開かれたイベントに参加しだり、自由に歩き回って他の参加者とコミュニケーションを楽しんだりできます。色々な企業やクリエイターが仮想空間上の土地を活用するので、メタバース内には様々なタイプのゲームやアトラクションが共存します。土地はもちろん、建物やアバターアイテムといった構築物が仮想通貨で取引され、経済活動を行うことも視野に入れて作られています。

1-2. メタバースとブロックチェーン技術

メタバースは単一のプラットフォームではなく、MinecraftやRobloxなど様々なメタバースが存在しています。中でも、ブロックチェーン技術を搭載しているメタバースがDecentralandやThe Sandboxです。

DecentralandやThe Sandboxの仮想空間内の土地やアイテムを表すNFT(ノンファンジブルトークン)は、それぞれのプラットフォームの垣根を越えて、Openseaを始めとするNFTマーケットプレイスで取引されています。

こうした運用はブロックチェーン技術により実現します。メタバースのユーザーのアセットデータは、改ざんがほとんど不可能な状態で分散型台帳上に保存され、データの所有権はユーザの秘密鍵によって管理されるため、従来のゲームのように運営企業が管理する中央サーバーに依存しません。「どのアイテムが誰に対して発行されたか」等のデータ履歴が公開されたデータベース上で管理されるため、不正行為などは基本的に不可能な仕組みです。

また、ゲーム内のアセットをNFTにすることで、資産性と相互運用性を持たせることが可能になります。さらには一つのメタバースで作られたアイテムやゲーム内通貨が別のメタバースで利用可能になる、といった構想も出てきています。

このように、メタバースにブロックチェーン技術を応用することで、インターネット上に存在する、経済圏を持った3D仮想空間が実現しています。現在では、これをビジネスチャンスと捉え、マイクロソフト、ウォルト・ディズニー、アディダスなど、世界的な大手企業によるメタバース参入の動きが相次いでいます。

1-3. ブロックチェーン×メタバース・ファッション

メタ(旧フェイスブック)はメタバースについて「ソーシャルコネクション、人と人とのつながりの進化した形」と説明しました。メタバースの中が新たなソーシャルコネクションの場所となったときに、個々人のアイデンティティを主張するための「メタバース・ファッション」が、現実社会と同じように価値を持ち出すことが見込まれています。中でも、メタバース上における自分自身を投影したアバターを着飾るファッションは最注目となっています。

そして、ブロックチェーン×メタバースファッションの最大の強味は、唯一性を付加できることと、データの改ざんが不可能という点です。メタバース・ファッションはこの特徴を利用することで、デジタル上のファッションに所有権の証明、1点ものの価値を付与することが可能になります。

これまでデジタルファッションは、主にAR技術を活用し、アバターや自身の写真を元にデジタル上での試着が行えるといった用途がメインでした。NFT技術が加えられたことにより、商品としての価値を生み出すことに成功しています。

最近ではNIKE、Dolce&Gabbana、Gucciといった有名ブランドが相次いでメタバース・ファッション業界に進出したことで、大きな注目を集めています。今後もメタバースでの利用や有名ブランドの参入が予想され、メタバース×デジタルファッションの市場のさらなる発展に期待が寄せられています。

②メタバースファッションブランド「Space Runners」

次に、メタバースにファッションNFTを提供する「Space Runners」について解説します。

2-1. Space Runnersの概要

Space runners 1Space Runnersはメタバースプラットフォームやビデオゲームからソーシャルメディアまで、さまざまな仮想環境で使用できるNFTの発行を、ブランドや著名人に支援する目的で2021年3月に設立された企業です。同社はARやプラグインを通じてデジタル的に着用可能なNFTをデザインしており、さまざまなメタバースで相互運用可能なファッションアイテムの最大のサプライヤーとなることを目指しています。

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Space Runnersは独自のメタバースも構築しており、「SPACEverse」をコミュニティ、ブランド、セレブリティを結びつけるファッションメタバースとして年内にローンチする計画です。SPACEverseのネイティブ通貨は「SPACE」と呼ばれ、Space RunnersのNFT保有者に定期的にエアドロップされることが予定されています。

2-2. NBAチャンピオンズスニーカーコレクション

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Space Runnersの最初のコレクションは、カイル・クズマ(Kyle Kuzma)氏とニック・ヤング(Nick Young)氏をフィーチャーした「NBA Champions Collection」です。Solanaブロックチェーン上で1万点が作成され、2021年12月23日の発売から9分以内に完売しました。

NBA Champions Collectionは、メタバース体験のために設計されており、異なるWeb3メタバースのアイテムとして直接差し込むことができます。加えて、NFTステーキング参加者には限定イベントへのアクセス権や無制限のSolanaAPIアクセス、NBA試合のコートサイド観戦チケットの抽選券や将来的な記念品や次回セールでのホワイトリスト特権を取得できるなど、さまざまな特典が用意されています。

現在、NBA Champions Collectionは、Magic EdenやFTX、Solanartといったマーケットプレイスで取引されています。

2-3.1,000万ドル(約11億5,000万円)の資金調達

Space Runnersは2022年3月8日、1,000万ドル(約11億円)の資金調達を完了したことを発表しました。Space Runnersの累積調達額は3,000万ドルとなっています。最新の資金調達ラウンドは、PolychainやPantera Capitalなどの大手VCファンドに加え、Animoca Brandsの会長Yat SiuやTwitch共同創業者のJustin Kan氏等のエンジェル投資家も参加しました。

Space Runnersの共同創業者であるウォン氏は、今回確保した資金によってブロックチェーン上に初のエンドツーエンドのファッションエコシステムを構築することを目指すと述べています。同社が構築しているSPACEverseに「Wear2Earn(着て稼ぐ)」エコノミーを取り入れ、メタバース上でのファッション着用に報酬を提供する意向も示しています。

③まとめ

近年、バーチャルファッションとNFTの分野は急成長しています。2021年12月にNIKEが買収したRTFKTは、同5月にアーティストFewociousと作成した621足のバーチャルスニーカーを数分のうちに完売し、310万ドルの売り上げを記録しました。NBAチャンピオンズスニーカーコレクション1万点がわずか9分で完売したことからも、仮想空間上で自分を表現するアイテムとしてファッションの需要が高まっていることが示されています。

Space Runnersは、ファッションメタバースのビジネスラインの拡大を目指しており、今後も多くの相互運用可能なファッションアイテムをリリースする計画なので、継続的にチェックしていきたいと考えています。Space RunnersのNFTに興味を持たれた方は、Liquidで仮想通貨Solana(SOL)を購入して、Magic EdenやSolanartなどのマーケットプレイスへアクセスしてみましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12