「SMOUT」×コミュニティ通貨「まちのコイン」、滋賀県が全国に先行して初導入

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株式会社カヤックが提供するWebサービス「SMOUT(スマウト)」は、2023年3月13日に、コミュニティ通貨(電⼦地域通貨)「まちのコイン」との連携機能をリリースしました。

「まちのコイン」は移住・関係人口促進のための、まちの裏側やリアルな情報が収集できるようにするために開発されたもので、全国に先駆けて滋賀県の長浜市、近江八幡市、日野町の3市町で先行導入しています。将来的には「SMOUT」と「まちのコイン」双方を導入しているほかの全国23地域でも展開される予定です。

ここでは「まちのコイン」と「SMOUT」の特徴やサービス内容、及び両サービスが連携するメリットについて解説します。今これを読んでいるあなたの地域でも導入されるかもしれませんね。

目次

  1. カヤックが提供する「まちのコイン」とは
    1-1.「まちのコイン」の役割
    1-2.「まちのコイン」とは、その利用方法
    1-3.「まちのコイン」の特徴
    1-4.「まちのコイン」の経済効果
  2. 移住・関係人口促進のためのマッチングサービス「SMOUT」とは
    2-1.機能を使って興味あるユーザーと地域のマッチング
    2-2.「SMOUT」で地域を知り、「まちのコイン」を現地で使う
  3. 滋賀県が先行で「SMOUT」と「まちのコイン」を導入
  4. 関係人口の増加と移住者
  5. まとめ

①カヤックが提供する「まちのコイン」とは

1-1.「まちのコイン」の役割

「まちのコイン」は株式会社カヤックが提供する分散台帳技術を活用し、ユーザーがQRコードを用いてポイントを獲得・利用できるコミュニティ通貨サービスです。 一般的な地域通貨のような地域の内需拡大はもちろん、地域外の人にも開かれた通貨にすることで、関係人口を増やし、地域の経済や環境を良くしたいという目的があります。

MachinoCoin

各地域で設定したテーマに基づいた体験(コミュニティ内での新たな繋がりなど)をコミュニティ通貨で利用・獲得できるように設計されています。まちのコインを地域社会に導入し、みんなでコインのもらい方、あげ方のアイディアを考えることができます。また、ちょっとハードルが高く感じるSDGsに関わる地域活動も、まちのコインを使うことで面白がりながら参加していくうちに、地域課題が身近に感じ、「ジブンゴト」へ繋げていくことが可能だとしています。

1-2.「まちのコイン」とは、その利用方法

MachinoCoin1「まちのコイン」はひと・まち・地球にうれしい体験で地域をつなげるコミュニティ通貨(電子地域通貨)サービスです。本通貨を活用することで、地域内外の人のつながりをつくり、良好な地域コミュニティ形成が期待できます。「まちのコイン」は、2019年9月に神奈川県「SDGsつながりポイント事業」で採択されて以来、福岡県八女市などこれまでに23の地域で導入されています。

鎌倉に本社を置くカヤック社は、地域固有の魅力を資本と捉えた「鎌倉資本主義」という考えを発信しています。「まちのコイン」は、「地域社会資本」である地域のコミュニティとの繋がりを促進する、仲間づくりのためのコミュニティ通貨です。人と人とが繋がることで、その地域をもっと好きになり、地域の社会課題の解決や地域経済の活性に貢献することを目指します。

MachinoCoin2
使い方は、「まちのコイン」アプリをダウンロードし、QRコードを介して、ユーザーがポイントを獲得、利用できます。ユーザーは地域活動などに参加するとポイントを獲得し、獲得したポイントは加盟店等で利用することができます。*円に換金することはできません。

1-3.「まちのコイン」の特徴

1.まちの個性や課題に合わせた体験づくり

環境の保護、移住関係人口の促進やまちの賑わい創出など、そのまちの個性や課題に合わせて、誰でも「まちのコイン」のもらい方、あげ方などのアイディアを考えることができます。例えば、連を増やしたいお店は「オーナーと1杯飲みながら悩みを相談できる体験」であったり、提供するなどです。

2.地域内外の人がつながることで、関係人口を増やす

まちのコインは地域通貨としての役割だけでなく、地域以外の人でも利用可能です。地域内外の人が自由にまちのコインを使うことで、たくさんの地域がもっと身近になります。住んでいる地域だけでなく、お気に入りのコインを持つことで、関係人口創出につながり、「コミュニティ通貨」にもなっていきます。

3.ゲーム感覚でSDGsの活動に参加

地域課題のための活動となるとハードルが高く感じますが、イベントに参加することでボーナスポイントが付与されたり、レベルアップしたりとゲームのように楽しみながら、参加することができます。後からまちのコインの「活動履歴」をみることで、自分の行動がどのSDGsのゴールにつながっているか振り返ることもでき、SDGsの自分ごとにもつながります。

4.経済効果への期待

「まちのコイン」は地域のお店など「スポット」にユーザーが訪問してつかうサービスです。「お金で買えないうれしい体験」を通して、店主とユーザーとの距離が縮まり、常連やファンにつながるという効果の他、次もまた来たいというリピート顧客が増えることで、法定通貨の消費行動自体も促し、結果として経済効果が期待できます。

5.持続可能な仕組み

IT時代・スマホ時代の電子通貨なので、以前からある紙の地域通貨よりも比較的低コストでの運営が可能です。また、法定通貨への換金性がないため、原資も不要です。コインには有効期限が定められており、一定期間使わないでいると回収され、再度まちの中に再配布され循環する仕組みも、持続可能な運営につながる大きな特長のひとつです。

1-4.「まちのコイン」の経済効果

まちのコインは基本的に地域のお店をはじめとした、「スポット」にユーザが訪問して使うサービスです。「お金で買えないうれしい体験」を通して、お店の方やほかのお客さんとの距離が縮まり、常連やファンにつながるという効果はもちろん、来店する機会が増えることで法定通貨の消費行動自体を促し、結果として経済効果が期待できます。発行されたコインには有効期限が定められており、一定期間使わないでいると回収され、再度まちの中に再配布されることで、循環する仕組みも持続可能な運営につながる特徴のひとつとなっています。

過去の事例としては、2020年1月から東京都で地域通貨「東京ユアコイン」の実証実験が開始されました。神奈川県鎌倉市でも、1ヶ月間限定のコミュニティ通貨「まちのコイン」を使った神奈川県「SDGsつながりポイント」の実証実験が行われてます。

「まちのコイン」アプリの利用方法としては、AppStoreまたはGoogle Playからダウンロードし、地域を選択してからコインを使用します。

②移住・関係人口促進のためのマッチングサービス「SMOUT」とは

SMOUT

2-1.機能を使って興味あるユーザーと地域のマッチング

SMOUT(スマウト)は移住に興味のある人や地域とつながりたい人と、地域の人とをマッチングするWebサービスです。関わる地域や移住先を決めるポイントは、行政の支援や立地だけではありません。地域に興味がある人は、「プロジェクト」と「スカウト」の機能で地域を知り、つながることができます。

「プロジェクト」は、地域おこし協力隊の募集や、お試し住宅、現地ツアーの参加募集、地元の人や移住した先輩とオンラインで話をする機会の提供までさまざまあります。「スカウト」は、自分のプロフィールを「SMOUT」に登録しておくと、興味のある地域からスカウトが届き、地域の人と直接メッセージのやりとりができるようになります。

また地域側にも機能があり、「プロジェクト」を掲載できたり、地域に興味を持ってくれた人や相性の良さそうな人を見つけたら「メッセージ機能」や「スカウト機能」で、ダイレクトに双方向のコミュニケーションが可能です。

2018年6月のサービス開始以来、876市区町村、4万7千人以上の一般ユーザー登録者に増加(2023年1月31日時点)しています。

2-2.「SMOUT」で地域を知り、「まちのコイン」を現地で使う

SMOUT2
「SMOUT」には、地域が企画した体験などが掲載されており、日本の各地域と関わりたい、移住したいなど、様々な理由で地域に興味のある人が訪れます。しかし、これまでのサービスの印象から、移住という言葉にハードルを感じてしまうという声も少なくありませんでした。一方、「まちのコイン」は導入地域内のコミュニティー活性化を目指し、地域の中でさまざまな人や場所とつながる体験を提供します。

行きたい町や地域を知りたい人が集まるプラットフォーム「SMOUT」と、気軽に特定のまちを知ることができる「まちのコイン」、2つのサービスの連携により、さらなるユーザー体験充実を図ることができます。新機能では、「SMOUT」の地域ページ(今回は滋賀県長浜市、近江八幡市、日野町のみ)に、それぞれの地域を巡る「まちのコイン」のスタンプラリーが追加されます。スタンプラリーでは、地元人と出会うきっかけとなるようなスポットが組み込まれており、自分一人でもまちを歩きながら、知り合いができ、地域の理解を深め、また遊びに行きたくなる、そんな理想形をイメージしています。

 Stamp Rally

まずは「SMOUT」でまちのリアルな情報を知り、そして実際にその地域へ行って「まちのコイン」を使う。こうして、その地域での「まちのコイン」の価値観に沿った体験やスポットを楽しめる動線が設計されています。スタンプラリーの体験だけでは終わらない持続的な関係づくりも期待されています。

③滋賀県が先行で「SMOUT」と「まちのコイン」を導入

「SMOUT」と「まちのコイン」の連携機能は、2つのサービスを導入しているからこそ可能になるチャレンジを滋賀県と開発チームで話し合った末に誕生しました。

SMOUTユーザーには、その移住先がどんなところなのか知りたい、というニーズがあります。移住の決断までは至ってなくとも、候補となる地域がある程度脳裏に浮かんでいるかもしれません。しかし、こうしたユーザーが移住先候補の地域性を知るために「観光」しても単発に終わってしまいます。より深い部分で「愛着」を持てるかどうかは、持続的な関係性の中で判断可能なものになるのではないでしょうか。

そこで、地元の方とコミュニケーションができる仕掛け作りが役立つかもしれない、というアイデアから、「SMOUT」は地元の人とのコミュニケーションを促すスタンプラリー機能を作成しました。自分の住む地域とは別の地域に、知り合いが増えるということが、「関係人口」への第一歩となります。

④関係人口の増加と移住者

関係人口とは、観光でも移住でもなく、自分が住んでいる地域とは別の地域と関わりを持っている層を指します。

例えば、ふるさと納税をしている、地域投資をしている、他地域でボランティアをしている、職場があるなどです。関係人口を増やしていくことは地域の活性化につながると期待されています。そして関係人口が多い地域は、のちに移住者が増えていく傾向にあると国土交通省は報告しています。人口1万人あたりの関係人口が多い市区町村は、三大都市圏からの転入超過回数が多いことを確認しているそうです。

したがってカヤックサービスを使うなどして、まず地域に興味を持ってもらい、実際にその地域にきたら「まちのコイン」でより地域を知ることができる仕組みは、関係人口を増やそうと思っている自治体には有効といえそうです。

⑤まとめ

今回はカヤックが提供するWebサービス「SMOUT(スマウト)」が「まちのコイン」との連携機能をリリースし、滋賀県が先駆けて2つのサービスを導入したことを解説しました。

従来の地域通貨の場合は「使う」のみにフォーカスされてますが、まちのコインは分散台帳技術を活用していることで、コインをもらったり、あげたりすることができます。さらに、たくさん使えば使うほどレベルアップする機能や、期限内に使わなかった場合、まちの中に再配布され循環する仕組みが実現しています。

またまちのコインと SMOUTが連携することで、気になる町に行く前に、そのまちのリアルな情報を得ることができます。分散台帳技術は仮想通貨だけでなく、日本国内でも地方創生のサービスに使われ始めています。気になる方はカヤックWebサイトをチェックしてみてください。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。