今回は、アイドル市場でブロックチェーンを利用する「Nippon Idol Token(NIDT)」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- 「Nippon Idol Token(NIDT)」とは
1-1.「Nippon Idol Token(NIDT)」の概要
1-2.発行元である株式会社オーバース - Nippon Idol Token(NIDT)の特徴
2-1.新たなかたちのアイドル活動を実現
2-2.秋元康氏が総合プロデューサーに就任
2-2.23年冬にメタバースが始動予定 - 「Nippon Idol Token(NIDT)」のIEO
3-1.IEO実施の概要
3-2.そもそもIEOとは
3-3.株式会社coinbookの概要
3-4.株式会社DMM Bitcoinの概要 - NIDTに期待されること
4-1.アイドルの活動領域の拡張
4-2.新たなアイドル市場の形成 - まとめ
23年1月23日、株式会社coinbookが今年春ごろに「Nippon Idol Token(NIDT)」の「IEO(Initial Exchange Offering)」による新規販売を実施する旨を明らかにしました。coinbookは元々、22年5月に株式会社オーバースおよび株式会社DMM Bitcoinとの3社間においてIEOによる資金調達に向けた基本合意書を締結しており、今回発表されたIEOはこの合意書に基づくかたちで行われるということです。
NIDTはアイドルグループの運営を行うプロジェクトにおいて活用されるトークンとなっており、ブロックチェーン・テクノロジーを用いたユニークな取り組みとして業界から大きな注目を集めています。そこで今回は、アイドル市場においてブロックチェーンを利用したプロジェクト展開を行う「NIDT」について、その概要や特徴、今後期待されることなどを詳しく解説していきます。
①「Nippon Idol Token(NIDT)」とは
1-1.「Nippon Idol Token(NIDT)」の概要
「Nippon Idol Token(NIDT)」とは、新規アイドルグループ創造プロジェクトの実現に向けて開発されたユーティリティ・トークンのことを指します。
このプロジェクトでは、IEOを通して資金調達を実施し、そこで調達した資金を用いて新規アイドルグループの組成および育成を行っていくということです。新規アイドルグループについては、これまでのようなアイドル活動をベースとしつつ、ブロックチェーン・テクノロジーとメタバースによる活動領域のさらなる拡大をコンセプトとして、世界中のファンの方々に対し、夢、希望、喜び、そして共感を与えていくことを目的としていると説明されています。
本プロジェクトのネイティブ・トークンであるNIDTは、イーサリアム・ブロックチェーン上において発行され、本プロジェクトの推進のために使用されるということです。具体的には、トークンホルダーはNIDTを通してアイドル活動の応援およびサポートを行うことが可能となっており、コンサートや各イベントなど、これまでのようなアイドル活動に加え、メタバースやNFT(トレーディングカード、ゲームなど)といった新たなアイドル活動においても、NIDTエコシステムが構築される予定だとしています。
このように、NIDTはブロックチェーン・テクノロジーを駆使することによって、これまでのアイドルの活動領域を新しい次元へと押し上げるためのさまざまなプロジェクトを展開していくということです。
1-2.発行元である株式会社オーバース
NIDTの発行元である株式会社オーバースとは、22年3月に設立されたエンターテイメント関連の国内企業です。オーバースでは、トークンによって既存のアイドル活動の課題を解決するというビジョンを掲げ、エンターテイメントコンテンツの企画や制作、開発などを行なっています。特に、ブロックチェーン・テクノロジーを駆使することで、これまでのアイドルグループにはないメタバースやNFTを最大限に活用した活動を推進し、世界に向けて発信する新しいアイドルグループを創造するとしています。
また、オーバースの代表を務める佐藤義仁氏は、証券会社やFX会社などをはじめとする金融業界での豊富な経験を有しており、最近では仮想通貨交換業に携わるなど、各業界において幅広い知識を誇っています。さらに、佐藤義仁氏自身がメジャーアイドルや地下アイドルを推してきた「オタク」でもあるということで、これらの両極端とも言える経験を生かし、オーバースにおいてブロックチェーンとエンターテイメントの融合を実現していくと語っています。
②Nippon Idol Token(NIDT)の特徴
2-1.新たなかたちのアイドル活動を実現
NIDTトークンの最大の特徴として、新たなかたちのアイドル活動を実現するという点が挙げられます。
前述の通り、NIDTトークンを軸としたエコシステムを構築することによって、アイドルはコンサートやその他イベントといった従来の活動に加え、ブロックチェーン・テクノロジーを駆使したメタバースやNFT(トレーディングカード、ゲームなど)といった新たな領域においても、幅広い活動を行うことが可能となります。また、NIDTトークンをホールドしているユーザーはNIDTを通してアイドル活動の応援およびサポートを行うことができるため、これまでとは違ったかたちでアイドルと関わることが可能となっています。
このように、NIDTトークンはアイドル業界に新たな仕組みを構築するプロジェクトとして、各業界から大きな注目を集めています。
2-2.秋元康氏が総合プロデューサーに就任
オーバースは22年9月16日、今回の新規アイドルグループ創造プロジェクトにおける総合プロデューサーとして、秋元康氏を迎えたことを明らかにしました。オーバースは総合プロデューサーというポジションについて、プロジェクトの根幹であり、新規アイドルグループのベースとなる方向性や活動コンセプトを統括する非常に重要な役割を担っていると語っており、このようなことから、今回秋元康氏を総合プロデューサーに抜擢するに至ったと説明しています。
秋元康氏はこれまで、日本を代表する作詞家としてさまざま楽曲の制作に携わってきたほか、日本を代表する女性アイドルグループでとして知られる「AKB48グループ」や「乃木坂46」をはじめとする「坂道グループ」のプロデュースを手がけるなど、アイドル業界において豊富な実績および経験を有しています。
オーバースは今後、そんな秋元康総合プロデューサーの指揮もとで、新規アイドルグループの具体的な活動についての企画および運営を行っていくということで、業界からは大きな期待が寄せられています。
2-3.23年冬にメタバースが始動予定
NIDTトークンを軸として展開される新規アイドルグループ創造プロジェクトは、23年の春から夏ごろにかけてIEOの実施およびメンバーの募集や選考が行われる予定となっています。また、23年の夏から秋ごろにかけては、メンバーの最終選考および正式決定が行われ、続いてアイドルの育成および新アイドルグループの結成、お披露目などが行われる予定となっています。そして23年の冬ごろを目処に、新アイドルグループのデビューおよびメタバースの始動が計画されています。
このように、アイドル創造プロジェクトは今後IEOで調達した資金をもとに、アイドルデビューに向けた準備が着々と行われていくということで、その動向から目が離せなくなっています。
③「Nippon Idol Token(NIDT)」のIEO
3-1.IEO実施の概要
冒頭でも触れた通り、23年1月23日、株式会社coinbookが今年の春ごろを目処にNIDTのIEOによる新規販売を実施する旨を明らかにしました。
coinbookは22年5月時点で、トークンの発行元である株式会社オーバースおよび国内の大手仮想通貨取引所である株式会社DMM Bitcoinとの3社間において、IEOによる資金調達に向けた基本合意書を締結しており、今回発表されたIEOはこの合意書に基づくかたちで行われるということです。IEOを実施するプラットフォームとしては、国内仮想通貨取引所のcoinbookおよびDMM Bitcoinが想定されており、coinbookでは今回のIEO実施に合わせて、22年11月14日から口座開設の申込受付をスタートしたことを発表しています。
また、今回のIEOを通して集まった資金については、前述した新しいアイドルグループの組成および育成などにあてられるということで、これまでのようなアイドル活動をベースにおきながら、ブロックチェーン・テクノロジーとメタバースによる活動領域の拡大をコンセプトとしたプロジェクト展開を行なっていくと説明しています。
3-2.そもそもIEOとは
ここまでIEOという言葉を何度か出してきましたが、そもそもIEOとは何かをここで一度解説しておきます。
IEOとは、「Initial Exchange Offering」の頭文字を組み合わせた言葉で、ブロックチェーンプロジェクトが発行するトークンを仮想通貨取引所を介して先行販売することによって、投資家から資金調達を行う仕組みのことを指します。仮想通貨を用いた資金調達の方法はこれまでにも存在しましたが、IEOは従来の資金調達方法における問題点を改善し、トークンによる資金調達や投資をさらに活発化することを目的として開発されました。中でも、IEOは「ICO(Initial Coin Offering)」と呼ばれる資金調達方法の欠点を改善したとして、高く評価されています。
ICOとは、企業やプロジェクトが仮想通貨を発行し、それを直接購入してもらうことによって資金調達を行う方法のことを指します。ICOはIEOと異なり、仮想通貨取引所などの仲介業者が存在しないため、トークンの信頼性を保つことが難しく、実際に多くの詐欺が横行したことによってほとんど利用されなくなりました。
そんな中、IEOは発行元と投資家が直接トークンの取引を行うのではなく、間に仮想通貨取引所という仲介業者を挟むことによって、高い信頼性を保つことに成功したというわけです。具体的には、まず新しいトークンが開発されたら、仮想通貨取引所がプロジェクトに対する審査を実施し、その後審査で選ばれた銘柄のみが新規上場することを許可され、取引所において自由に取引が可能になるという仕組みです。
このように、IEOは信頼性の高い資金調達手段として注目を集めており、国内においても広く取り入れられ始めています。
3-3.株式会社coinbookの概要
株式会社coinbookとは、18年5月に設立された国内のブロックチェーン関連企業のことを指します。coinbookは「ブロックチェーン市場に新しい風を」という経営理念のもと、エンターテイメント業界においてこれまでにないコンテンツの開発や決済機能の提供などを実現し、新しいエコシステムを形成することを目指して創業されました。
実際、20年10月にはNFTトレカの発売を実施するなど、エンターテインメント業界と連携したさまざまなプロジェクトを展開しており、現在は新たなエコシステム構築のため、オーバースによるアイドルグループの創造を目的としたNIDTトークンのIEO実施へ向けた準備を進めているということです。
3-4.株式会社DMM Bitcoinの概要
株式会社DMM Bitcoinとは、16年11月に設立された国内の大手仮想通貨取引所のことです。DMM Bitcoinはレバレッジ取引の取り扱い銘柄が国内最多規模であるほか、誰もが使いやすく、豊富な機能が搭載されている取引ツールやアプリが充実していることでも知られています。また、取引に関するさまざまな手数料が無料となっているほか、土・日・祝を含めた365日体制での対応サポートが提供されているため、仮想通貨取引の経験があまりないという初心者ユーザーにとっても、安心して利用できるサービスとなっています。
現在はcoinbookと同様、IEO実施に向けた準備が行われているということで、その詳細な実施時期などの発表に注目が集まっています。
④NIDTに期待されること
4-1.アイドルの活動領域の拡張
前述の通り、NIDTトークンに最も期待されていることの一つとして、アイドルの活動領域の拡張が挙げられます。
日本ではかなり早い段階からアイドルを軸とした独自の文化が形成されており、近年では「推し」という用語が誕生するなど、世界的にも有数のアイドル文化を有しています。アイドルは主に握手会やハイタッチ会、お話し会やお渡し会などといった接触イベントのほか、コンサートをはじめとするライブイベントでファンと交流し、積極的な活動を行っています。しかし一方で、現在アイドルの活動の場は上に挙げたようなものがほとんどを占めており、ある種マンネリ化しているとも言える状況となっています。
そんな中、NIDTトークンはブロックチェーン・テクノロジーを駆使することによって、アイドルの活動領域を次の次元へと導き、メタバースやNFTといった新たなステージでのアイドル活動を可能にするということです。また、メタバースを活用することによって、ファンはアバターを介してアイドルと交流することが可能になると見られており、アイドルをこれまでよりも一層近くに感じることができると期待されています。
4-2.新たなアイドル市場の形成
NIDTトークンの誕生によって、新たなアイドル市場の形成が期待されています。
前述の通り、今後ファンはNIDTトークンを通してアイドル活動の応援およびサポートを行うことができるようになるため、これによってアイドル市場に新たなエコシステムが形成されると見られています。そしてその結果、これまで実施することができなかった全く新しいビジネスモデルが誕生するのではと期待されています。
そもそもアイドルというコンテンツは、コンサートやハイタッチ会、握手会などといったイベントそのものだけでなく、うちわやペンライト、ポスターなどのアイドルグッズにおいても大きなマーケットを有しており、これらは特にNFTと親和性が高いのではと考えられます。
また、アイドルから派生したさまざまなプロジェクトの実施が可能であるため、舞台をWeb3.0領域まで拡張することによって、その可能性がさらに拡がっていくのではと期待されています。
⑤まとめ
NIDTとは新規アイドルグループ創造プロジェクトの実現に向けて開発されたユーティリティ・トークンのことを指し、従来のアイドル活動をベースとしつつ、ブロックチェーン・テクノロジーとメタバースによる活動領域のさらなる拡大を目指して開発されました。
すでに23年に実施予定のプロジェクトスケジュールが公開されており、それによるとまずは23年の春から夏ごろにかけて、IEOが実施される計画となっています。なお、coinbookは今回のIEO実施に伴って仮想通貨取引所サービスをスタートしており、すでに22年11月14日から口座開設の申込受付を行なっているため、興味のある方はこの機会にcoinbookもしくはDMM Bitcoinで口座を開設し、NIDTトークンのIEOに参加する準備をしておいてもいいでしょう。
中島 翔
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