農業×ブロックチェーン、「Metagri研究所」のNFT農産物交換システム詳細解説

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株式会社農情人が運営する「Metagri研究所」は、スタディメーター株式会社の技術を活用して、NFTと農産物の交換システムを開始しました。農業界でのWeb3の活用は拡大しており、地方自治体がNFTの発行を行うこともありましたが、このような交換システムは国内で初めての試みです。

Metagri研究所の取り組みは、農業とブロックチェーンの新しいビジネスモデルとして注目されます。ここでは Metagri研究所のNFTと農産物の新たな交換システムについて詳しく解説します。

目次

  1. Metagri研究所のNFTと農産物の新たな交換システムとは
  2. コミュニティ内のソーシャルトークンとは
  3. 日本最大級の農業NFTコミュニティ『Metagri研究所』
  4. ブロックチェーンを使った地域内通貨(トークン)の事例
    4-1.「まちのコイン」とは、その利用方法
    4-2.「まちのコイン」の特徴
    4-3.「まちのコイン」の経済効果
  5. まとめ

①Metagri研究所のNFTと農産物の新たな交換システムとは

Metagri研究所は、スタディメーター株式会社の技術支援を受け、NFTと農産物の新たな交換システムを開始しました。このプロジェクトは農業とブロックチェーンを組み合わせた、新しいビジネスモデルを提供していきます。

新たな交換システムの仕組みは、コミュニティ活動への貢献に応じてPolygonネットワーク上に発行したソーシャルトークンを配布し、そのソーシャルトークンを農作物のNFTと交換する取り組みとなっています。またこの取り組みは、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスモデルの一例となります。


2023年6月現在は、愛媛のブランド地鶏「媛っこ地鶏」の生産者が育てる「平飼い卵」と、新潟県の豪雪地域で栽培される「上越丸えんぴつナス」の農産物が、NFTとの引き換えで提供開始されることです。

・平飼い卵(20トークン)
媛っこ地鶏肉をご注文いただいた方へ「平飼い卵」をセットでお届けします。

・上越丸えんぴつナス(50トークン)
「上越丸えんぴつナスと夏野菜」を1箱お届けします。
アクが少なく、ナス本来の甘みや旨みが強いのが特徴で、みずみずしくて柔らかな果肉でありながら、実の締りが良いため加熱によって形が崩れにくいと好評です。
※2023年8月より発送開始

②コミュニティ内のソーシャルトークンとは

Metagri研究所のコミュニティ活動への貢献度により、「MetagriLabo Thanks Token」というソーシャルトークンがPolygonネットワーク上で発行されます。コミュニティ活動の中心はMetagri研究所のDiscordコミュニティです。メンバーの貢献度に応じてトークンが付与される仕組みとなっており、スタディメーター株式会社の支援で専用システムが設計・開発されています。システムの主要機能は:

  1. Discordでのメンションを通じてソーシャルトークンを発行
  2. ソーシャルトークンをNFTとの引き換え
  3. NFTを実物の商品やサービスと交換

つまり、トークンはコミュニティの貢献によって得られ、農産物との交換も可能です。このシステムは、農業業界のイノベーションを促進する手段として期待されています。

③日本最大級の農業NFTコミュニティ『Metagri研究所』


Metagri研究所は、「農業×ブロックチェーン」をテーマに、持続可能な農業の実現を目指すコミュニティです。「研究所」という名称は、新しい取り組みへの前向きな姿勢を反映しています。さまざまな農作物とブロックチェーン技術の組み合わせによるNFT発行やプロジェクトが進行中です。

主なプロジェクトには、NFTホルダー限定のオンラインイベント、農業とNFTの実験、独自トークンを利用した「farm-to-earn」モデル、農業支援のNFTプラットフォーム、NFTの流通収益化システムなどがあります。詳細は公式サイトのDiscordを参照ください。

④ブロックチェーンを使った地域内通貨(トークン)の事例

Metagri研究所のソーシャルトークンは、コミュニティ内での活動に基づきNFTと引き換えられ、その後、実際の農産物を入手することができる仕組みです。これは、地域限定のトークンシステムに似ています。地域トークンは、特定のエリア内で取得や購入ができ、そのトークンは地域の店舗やサービスでの支払い、または特定の活動での報酬として使用されます。

「まちのコイン」というサービスは、株式会社カヤックが提供しており、ブロックチェーンの分散台帳技術を基盤にしています。ユーザーはQRコードをスキャンすることでポイントを獲得・使用することができます。このプラットフォームの目的は、地域の内需を活性化するだけでなく、地域外の人々を引き込むことで、経済や環境を向上させることです。特定のテーマに基づいた体験や活動を通じてコミュニティ通貨を取得・使用することが奨励されています。

4-1.「まちのコイン」とは、その利用方法

MachinoCoin


「まちのコイン」は、地域内外の人々をつなぎ、良好なコミュニティ形成をサポートする電子地域通貨サービスです。神奈川県の「SDGsつながりポイント事業」の一環として2019年9月に始動し、現在23の地域で導入されています。カヤック社は「鎌倉資本主義」という地域の特性を活かした経済的な考え方を推進しており、「まちのコイン」もその一部です。

この通貨は、地域の繋がりや共同体を強化し、地域の社会課題の解決や経済活動を促進することを目的としています。


利用方法は簡単で、「まちのコイン」アプリをダウンロードしてQRコードを読み取るだけ。ユーザーは地域の活動に参加することでポイントを獲得し、そのポイントを地域内の参加店舗で利用できます。ただし、これらのポイントを現金に交換することはできません。

4-2.「まちのコイン」の特徴

「まちのコイン」はブロックチェーンを基盤にした地域通貨であり、以下の独自の特徴を持っています。

1. 地域の個性と課題に対応した体験の提供
「まちのコイン」は各地域の特色やニーズに合わせた取り組みをサポートします。環境保全や地域活性化の取り組みとして、参加者がコインの取得や配布の方法を考案することが可能です。例えば、客足を増やしたい店舗は特別な体験を提供することで顧客を魅了します。

2. 地域内外の人々とのつながりを強化
地域外の人も「まちのコイン」を利用することができるため、多くの人々が地域とつながることが可能です。これにより、人々がその地域と深く関わる「関係人口」が増加し、コミュニティとしての結束が強まります。

3. ゲーム感覚でのSDGs参加
「まちのコイン」はゲーム感覚でSDGsの活動に参加することを奨励します。参加者は特定の活動やイベントへの参加を通じてポイントを獲得することができ、これによりSDGsの目標達成に貢献することが可能となります。

4. 地域経済への貢献
「まちのコイン」は地域の店舗や施設での利用を推奨しており、これにより地域の経済活動が活性化します。店主とユーザーとの関係強化を通じて、リピート顧客の獲得や、実際のお金の消費行動の促進が期待されます。

5. 持続可能性の確保
従来の紙ベースの地域通貨と比べて、デジタルベースの「まちのコイン」は低コストでの運用が可能です。さらに、法定通貨への換金が不可能であるため、運用上のリスクを低減することができます。また、コインには有効期限が設定されており、使用されないコインは再配布されることで、持続的な循環が保たれます。

これらの特徴を持つ「まちのコイン」は、地域の活性化やSDGsの推進に大きく貢献しています。

4-3.「まちのコイン」の経済効果

「まちのコイン」は、地域のお店などの「スポット」で利用されるサービスです。「お金では買えない特別な体験」を通じて、お店と顧客の関係が深まり、リピート顧客が増加する効果があります。これが法定通貨の消費を促進し、地域の経済効果を向上させます。コインには有効期限が設けられ、使用されないものは回収して再配布される仕組みがあるため、持続的な運営が可能です。

過去の事例として、2020年1月に東京都で「東京ユアコイン」、神奈川県鎌倉市で「SDGsつながりポイント」の実証実験が行われました。

「まちのコイン」アプリはAppStoreやGoogle Playからダウンロードでき、地域を選択して使用します。

⑤まとめ

Metagri研究所はコミュニティトークンを発行し、これをコミュニティ内の農産物と交換する新しい取り組みを進めています。このイノベーションはWeb3技術を活用したもので、トークンはコミュニティの活動に対して付与されるため、貢献度が明確になります。また、トークンを使用して生産者をサポートすることもできます。

コミュニティ限定の通貨、特に「まちのコイン」のようなものは、ユーザーが地域活動に参加することでポイントを獲得し、それを地域内の店舗で利用することができます。限定的なエリアでの利用が、地域の活性化や認知度の向上に寄与します。Metagri研究所の新機能に関心がある方は、公式サイトをご参照ください。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。