今回は、LLACによる認定NPO法人「D×P」向けのチャリティーオークションについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- LLACがNPO法人「D×P」のチャリティーオークション
- NFTプロジェクト「LLAC(Live Like A Cat)」とは
2-1.運営メンバー
2-2.価格と今後 - 認定NPO法人「D×P」について
3-1.D×Pの活動内容 - NFTの購入方法
- NFTによる寄付の実例
5-1.NFTの販売収益をウクライナに寄付(Adam byGMO)
5-2.子どもたちが制作したNFTアートの売上を「子ども第三の居場所」へ寄付
5-3.NFTを活用した社会貢献プロジェクト「FUELHAPPINESS(フエルハピネス)」 - NFTで寄付する際の注意点
- まとめ
チャリティーオークションはよく海外では当たり前のように使われているイメージがあるかもしれません。そもそも支援や寄付は、クラウドファンディングやふるさと納税などが国内でも一般的になってきましたが、日本は寄付文化が盛んと言える国ではありません。
しかしNFT(非代替性トークン)を使えば簡単にスピーディーに支援ができることから、昨今ではNFTを使った支援や寄付が注目されています。ここではNFTのチャリティーオークションを行ったNFTプロジェクト「LLAC」について、またNFTは支援や寄付に活用できる理由や可能性、注意点などについて実例も交えて詳しく解説します。
①LLACがNPO法人「D×P」のチャリティーオークション
NFTプロジェクト『Live Like A Cat(以下、LLAC)』は2月22日(水)の【猫の日】に合わせて、“10代をひとりにしない”をコンセプトに活動する認定NPO法人「D×P(ディーピー)」に対し、チャリティーオークションを開催しました。
チャリティーオークションでは、LLACを3点発売しました。売上は全額「D×P」へ寄付し、「10代の孤立」という社会問題の解消を目指す団体の活動を支援します。また、今回のチャリティーオークションの落札者には、LLACリードデザイナーである猫森うむ子氏が描き下ろした限定SBTが贈呈されます。
オークションは1時間の時間制限があり、ダッチオークション形式で行われました。開始は2月22日20時の10ETHから21時0.001ETHで終了となっています。結果的に3体すべて完売し、D×P(ディーピー)へ8.6ETH(約190万円)が寄付されました。
②NFTプロジェクト「LLAC(Live Like A Cat)」とは
LLACとは、「猫のように生きる」をコンセプトにしている国産のジェネラティブNFTプロジェクトです。「猫のように生きる」とは、それぞれが自分の心地よい生き方を探し、自分らしく生きること、自分に合った生き方のアップデートを目指していこう、という想いが込められています。
LLACで表現されている猫は、「欲求を自分で満たし、自立した状態で他者に貢献できる猫」として、私たちに新しい気づきを与えられるよう設計されています。22種類のポーズはそれぞれ意味があり、猫のように生きるヒントが込められています。
2-1.運営メンバー
LLACNのデザイナーは、デジタルイラストレーターの猫森うむ子氏です。Twitterフォロワー数5万人超え、オリジナルキャラクター「うむねこ」のシリーズでは7万いいねを記録するなど、今SNSで注目を集めるデジタルクリエイターです。
少しづつですがポートフォリオサイトを更新😺🌸今後は作品解説やコンセプトなども充実予定😺https://t.co/zq5LZIj1ou
NFTだけでなくリアルの動きも続々。これがLLAC&umcの面白みだと思います😺#umc pic.twitter.com/vh3EdPDpTH— 猫森うむ子🐱猫型クリエイター (@umuco_digital) March 27, 2023
LLACのファウンダーは、Twitter、インスタ、Voicyそれぞれでフォロワー4万人以上達成し、総フォロワー数24万人。受講者23,000人のWebスクール「フリーランスの学校」を運営しているしゅうへい氏(@shupeiman)です。
2-2.価格と今後
ジェネラティブNFTとは、一点一点イラストを制作しているのではなく、大量のパーツをプログラムで自動的に組み合わせているNFTを指します。大元の素材と大量のパーツを用意することで、それぞれのキャラクターは類似するものの、統一感を保ちつつ作品を大量制作することができます。
LLACは、22種類のポーズの猫を全22,222体のジェネラティブNFTです。2022年12月28日に0.0005ETHでプレセールされ、2023年3月現在は2.75ETHがフロア価格となっています。
LLACのイラストはただの画像ではなく、LLACを保有していることでLLACの物販サイトでの割引、実店舗での優待がすでに進められています。またLLACが運営している施設の利用やチケットとしての役割などの展開も予定されています。LLACのNFTアートは人、モノ、コミュニティを繋げていくプロジェクトになっていく予定です。
③認定NPO法人「D×P」について
「D×P」は、不登校・中退・家庭内不和・経済的困難・いじめ・虐待・進路未定・無業などによって、いくつかの安心できる場や所属先を失ったときに起こる、「10代の孤立」という社会問題を解消するために活動している認定NPO法人です。大人と子どもの狭間にいる10代をひとりにしないために、「学校(オフライン)」と「オンライン」の2つをフィールドとした、セーフティーネットを作ることを目指しています。
3-1.D×Pの活動内容
主な活動として食料支援や現金給付を行う「ユキサキ支援パック」、経済困窮家庭やフリーランスを目指す10代へのパソコンの無償寄贈、無料のプログラミングスクールの実施などに取り組んでいます。
その他の取り組みとしては、通信制や定時制学校の生徒に特化した D×P独自のプログラムがあります。これは、高校生とD×Pのボランティア「コンポーザー」が対話する全4回の授業です。また居場所事業では定時制高校の中に、様々な人と繋がることができる場が週1回提供されています。そして職場見学や仕事体験をして、自分の生き方について考えたり理解を深めることができる仕事体験ツアーがあります。
④NFTの購入方法
NFTはブロックチェーンを基盤とするデジタルコンテンツであり、売買によって利益が発生した場合、仮想通貨同様に所得とみなされ税金がかかります。したがってデジタルコンテンツですがデジタル資産でもあります。
NFTを入手するにはイーサリアム(ETH)やポリゴン(MATIC)などの仮想通貨や、クレジットカードや法定通貨を使った決済が利用できますが、マーケットプレイスによって異なります。例えば、22,222点で構成されるLLACコレクションの場合、現在、グローバルなNFTマーケットプレイス「OpenSea」で取引されています。LLACを購入する場合は、コインチェックやビットバンクなどの仮想通貨取引所でETHを購入し、メタマスクなどの仮想通貨ウォレットへ送金し、OpenSeaで決済に利用するという流れとなります。
⑤NFTによる寄付の実例
NFT(非代替性トークン)を使った寄付にはいくつかのメリットがあります。
- 透明性:NFTはブロックチェーン技術を利用しており、取引履歴や所有権の情報が公開されています。これにより、寄付の透明性が向上し、寄付が適切に使われていることが確認できます。
- ユニークなアイテム:NFTは独自のデジタルアートやコレクタブルアイテムなど、ユニークな価値を持つことができます。これにより、寄付者にとって魅力的な寄付の選択肢となり、より多くの人々が寄付に参加することが期待できます。
- 直接的なサポート:NFTを使った寄付は、寄付者が直接アーティストや創作者をサポートできる方法を提供します。これにより、寄付者は自分のお金が具体的にどのように活用されるのかを知ることができます。
- 活動の注目度アップ:NFTを使った寄付キャンペーンは、デジタルアートやコレクタブルアイテムに関心を持つ人々を引き付けることができます。これにより、寄付活動の注目度が上がり、より多くの寄付が集まることが期待できます。
これらのメリットを活用して、NFTを使った寄付は慈善団体や創作者にとって有益な方法となります。
5-1.NFTの販売収益をウクライナに寄付(Adam byGMO)
Adam byGMOにて、ウクライナ人道危機救援金への寄付が2022年3月14日に行われました。「緊急人道支援チャリティNFT」の初回販売によって生まれた収益を、ウクライナ及び周辺地域での人道支援活動を支援する日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」に寄付しています。
NFTの販売は2022年3月14日~4月30日まで実施され、特設サイト「緊急人道支援チャリティNFTストア」の発行市場で合計45万8,645円の収益が発生(記事執筆時点)しました。寄付対象のNFT(全1,001点)は1,000円から1,000万円までのラインナップがあり、二次流通からの収益は寄付の対象外となっています。
5-2.子どもたちが制作したNFTアートの売上を「子ども第三の居場所」へ寄付
2021年11月10日、「子ども第三の居場所 新さいたま市拠点」において、デジタルアートのワークショップが開催されました。こちらのプロジェクトは日本財団が、子どもたちが制作した作品を「NFTアート」として販売し、売上はすべて「子ども第三の居場所基金」へ寄付されました。
アート作品は「子ども第三の居場所 新さいたま市拠点」の子どもたちと一緒にワークショップ形式で制作されました。そして子どもたちの作品は株式会社TARTの協力のもと、Metaaniというキャラクターの柄になり、NFTアートとして販売されました。そして、収益は全額「子ども第三の居場所」のために寄付されるという仕組みです。
5-3.NFTを活用した社会貢献プロジェクト「FUELHAPPINESS(フエルハピネス)」
再⽣可能エネルギーを活⽤したビットコイン・マイニング事業を⾏う株式会社FUELHASHは、NFTを活用した社会貢献プロジェクト「FUELHAPPINESS(フエルハピネス)」第一弾のNFTの完売および売上金の寄付実施を行いました。
《NFT × 寄付で幸せの輪を拡げるFUELHAPPINESS》は、NFTを活用した社会貢献の可能性を模索すべく発足されました。当社の公式マスコットキャラクターのモデルとなった保護犬「らんまる」が、NFTを通じて幸せの輪を拡げるためのプロジェクトで、NFTの売上は全て寄付に充てられます。
NFT売上金はウクライナ人道支援・保護犬支援のために寄付されました。寄付金の利用用途は、ウクライナ人道支援では避難者の生活支援、インフラ復旧、住宅再建などに、保護犬支援ではリコンディショニングセンターでの獣医師の先生の往診、おもちゃやベッドなどの備品購入などに充てられるとのことです。
⑥NFTで寄付する際の注意点
NFTによる寄付や支援は利便性や、支援として購入したNFTが資産になるなどといった特徴や利点がありますが、注意点もあります。例としては以下の点が挙げられます。
- ウォレットがハッキングされNFTが盗まれてしまうリスク
- 売却したくてもすぐに現金化できない、あるいは思ったより低い価格で売却しなければならない場合があること
- NFTを売却し利益が発生した場合、税金の対象になるケースがある
- ふるさと納税と違って寄附金控除は適用されない場合がある。(Adam byGMO、ウクライナ人道危機救援金など)
- イーサリアムを送金する作業に誤りがあり、なくしてしまうリスクがある
したがってNFT初心者がNFTを使って寄付をするのにはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。寄付は法定通貨でも行うことはできるので、まずは自分が欲しいと思うNFTの購入から初めて、余裕ができたら寄付をしてみるといったように考えるのもありでしょう。
⑦まとめ
NFTの寄付や支援は上に挙げた団体でもありますし、LLACのように国産ジェネラティブNFTプロジェクトでも行っています。NFTにおける寄付や支援は今は話題性もあり、NFTが手元に残り、支援の先やその後が見えるということで、今後も注目度は上がっていく可能性はあるでしょう。
またNFTによる寄付が、初めてのNFT購入という方もいらっしゃると思いますが、寄付が始まった時点で取引所の口座開設から始めると、参加が間に合わない可能性があるので、そういったプロジェクトの情報を見たら、着実に一歩づつ作業を進めていくことをお勧めします。当日入金が間に合わないというケースもあるので、早めに動き始めましょう。
またNFTによる寄付先を選ぶ際は、プロジェクトの信頼性はもちろん、これからの活動を見守りたい応援していきたいと思えるところも重点的に見るのも大切です。参考にしてみてください。
立花 佑
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