JPYWのPassPayがBSCとPolygonを採用。PassPayの使い方やメリットは?

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今回は、PassPayのステーブルコインJPYWについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. PassPay(パスペイ)とは
    1-1.PassPay(パスペイ)の概要
    1-2.PassPay(パスペイ)が掲げるミッション
  2. JPYWのメリット
    2-1.日本円にペッグするステーブルコイン
    2-2.ボラティリティが小さい
    2-3.複数のブロックチェーンに対応
    2-3.金融庁による登録を済ませている
  3. ほかの日本円ステーブルコインとの違い
    3-1.Vプリカギフトとの交換ができる
    3-2.日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)へ加入している
  4. JPYWの今後の展開
    4-1.クレジットカード決済が可能である
    4-2.モバイルウォレットのリリース
  5. JPYWの購入
    5-1.JPYWの購入
    5-2.Vプリカギフトの交換方法
    5-3.Vプリカギフトの利用方法
  6. まとめ

22年10月31日、日本国内のスタートアップ企業として知られる「PassPay(パスペイ)」が、同社が発行する日本円ステーブルコイン「JPY World(JPYW)」に関して、その対応ブロックチェーンネットワークを拡大したことを明らかにしました。

今回新たに対応がスタートされたのは、「BNB Smart Chain(BSC)」ならびに「Polygon(ポリゴン)」で、これによって送金などにかかる各種手数料を大幅に削減することが可能になると説明されています。

そこで今回は、新たにBSCとPolygonを採用したPassPayのJPYWについて、その概要やメリット、実際の使い方などを詳しく解説していきます。

①PassPay(パスペイ)とは

1-1.PassPay(パスペイ)の概要

JPYW
「PassPay(パスペイ)」とは、22年2月28日に設立されたばかりの比較的新しい国内スタートアップ企業です。

PassPayでは主に、日本円ステーブルコインとして知られる「JPY World(JPYW)」の発行を手がけています。

ステーブルコインとは、安定した価格を実現するように設計された仮想通貨のことを指します。

本来、仮想通貨は裏付け資産が存在しないことから、ドルや円などをはじめとする法定通貨と比べると相場変動が激しく、決済手段としての活用といった実用化が進んでいないことが課題として挙げられていました。

そんな中、ステーブルコインは仮想通貨が抱える課題を解決することを目的として開発され、実生活への導入が促進されています。

PassPayではこのような利便性の高いステーブルコインとして、独自のコインである「JPYW」の開発を手がけているほか、その他仮想通貨関連のサービスならびにプロジェクトの展開を行っています。

1-2.PassPay(パスペイ)が掲げるミッション

PassPayは資金決済法上の「自家型前払式支払手段」として、価格を日本円に連動させたステーブルコイン「JPYW」の発行を行い、仮想通貨ならびに現行のステーブルコインが直面している「社会での実用に向かない」という壁を取り払うとしています。

実際、PassPayは下記に挙げる「3つの壁」をミッションとして掲げており、これらを解決することを軸としてさまざまな事業展開を行っています。

①バーチャルとリアル(仮想通貨と実社会)の壁

前述の通り、仮想通貨のボラティリティの高さがもたらす実用性の低さを提示し、「バーチャルとリアル(仮想通貨と実社会)の壁」を打破することを目指すとしています。

②国境の壁

仮想通貨は個人がもつ仮想通貨ウォレットを介して、従来の金融システムよりも迅速かつ低コストで、いつでもどこでも自由に決済できるという「ボーダーレス」な特徴を持っています。

しかし、「ビットコイン(BTC)」をはじめとする仮想通貨には相場変動リスクが存在するため、このボーダーレスという最大の強みを十分に生かせていないという現状があります。

そこでPassPayでは、グローバルマーケットにおける仮想通貨の利用ニーズを満たし、仮想通貨が世界中でシームレスに利用できる環境の構築に努めていくとしています。

③現在と未来の壁

近年、「お金の在り方」が徐々に変化しており、キャッシュレス化が急速に進む中、さまざまな商取引がインターネット上で行われるようになりました。

また、最近ではアートや写真、動画、音楽などといったデジタルコンテンツが「NFT(非代替性トークン)」としてインターネット上で取引されるようになり、そのマーケットはますます拡大を見せています。

そんな中、PassPayでは今後さらに急速に拡大していくであろうデジタル社会に対応する必要性を提示し、現実的に利用可能なステーブルコインとしてJPYWを発行することで、現在と未来のデジタルライフをつなぐハブとしての役割を担うとしています。

②JPYWのメリット

2-1.日本円にペッグするステーブルコイン

前述の通り、JPYWは日本円の相場にペッグするステーブルコインであり、常に「1JPYW=1円」として使用することが可能な「自家型前払式支払手段」となっています。

自家型前払式支払手段とは、前払式支払手段の発行元からサービスを受けたり、物品を購入したりしたケースに限って、その対価の支払いのために利用することが可能な決済手段のことを指します。

具体的な例としては、ギフト券や商品券のほか、プリペイドカードなどが自家型前払式支払手段として使用されています。

PassPayが発行しているJPYWに関しては、PassPayの提供するサービス内でのみ使用することができるほか、あくまでも「通貨建資産」という位置付けであるため、法的には仮想通貨とは別のものであるとされています。

2-2.ボラティリティが小さい

繰り返しになりますが、仮想通貨はそのボラティリティの大きさが問題視されており、現実世界での使用がなかなか進まないという現状があります。

一方、JPYWは日本円の相場にペッグするステーブルコインであるため、一般的な仮想通貨とは異なり、大きなボラティリティが生じないようにコントロールされます。

そのため、相場変動によって発生するリスクを回避することができるため、決済手段などをはじめとする多岐にわたるシーンでの活用が期待されています。

2-3.複数のブロックチェーンに対応

JPYWは元々「イーサリアム(ETH)」ブロックチェーンに対応していましたが、今回新たに「Polygon(ポリゴン)」ならびに「BNB Smart Chain(BSC)」への対応をスタートしたことが発表されました。

これまでJPYWの発行が行われていたイーサリアムでは、毎回の取引にかかるネットワーク手数料(ガス代)が日常的な利用には適さないほどの高騰を見せており、これが原因となりJPYWのユースケースにも影響を及ぼしていました。

そんな中、今回追加されたBSCとPolygonは手数料の安さや送金スピードの速さなどを特徴としているため、これらのチェーンを利用することによって送金などにかかるコストを大幅に削減することができるようになり、JPYWの利便性がさらに向上すると説明されています。

なお、PassPayは今後さらに「TRON(トロン)」への対応をスタートする予定であることを明らかにしており、対応ブロックチェーンの数はますます拡大していくと見られています。

2-4.金融庁による登録を済ませている

JPYWは22年9月末時点で、関東財務局への登録会社のうち「前払式支払手段(自家型)発行者」としての登録を済ませており、金融庁が発表した「前払式支払手段(自家型)発行者届出一覧」へ掲載されたことを明らかにしました。

今回、JPYWが政府によって登録されたことにより、ユーザーはより一層安心してJPYWを利用できるようになりました。

PassPayはこの発表を受けて、今後もJPYWのより安全な利用環境の整備に取り組むとともに、業界の健全な発展に尽力していくとしています。

③ほかの日本円ステーブルコインとの違い

日本円の価格にペッグしたステーブルコインはJPYW以外にも複数存在し、代表的なものとしては、21年1月27日に発行がスタートされたJPYC株式会社の「JPYC(JPY Coin)」や22年6月8日に発行がスタートされたYEN株式会社の「YEN」などが挙げられます。

そこでここでは、JPYWはこれらの日本円ステーブルコインと何が異なるのかについて、詳しく解説していきます。

3-1.Vプリカギフトとの交換ができる

JPYWは自家型前払式支払手段として、PassPayの提供するサービス内で利用できると説明しましたが、実際にライフカード株式会社が発行を手がけているインターネット専用のVisaプリペイドカード「Vプリカギフト」との交換が可能となっています。

Vプリカギフトは面倒な審査や本人確認が不要なため、必要な時にすぐ発行することができ、インターネット上で展開されているVisaの加盟店においてクレジットカードと同じように使用することができます。

また、ビジネスシーンでの利用も進んでおり、インターネット上での経費の支払いやキャンペーンの景品としてなど、幅広く活用することが可能です。

JPYWはこのような利便性の高いVプリカギフトと交換することができるため、実質的にはJPYWを利用してオンラインショッピングやインターネット上のコンテンツを購入することが可能だというわけです。

3-2.日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)へ加入している

PassPayは22年6月16日付けで、「日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」への加入を果たしています。

JCBAとは16年に設立された仮想通貨ビジネスについての意見交換などを行う団体となっており、22年10月21日時点において、正会員31社、準会員89社、特別会員4社、団体会員7社の計132社が参加しています。

JCBAでは仮想通貨業界の健全な発展に向けて、テクノロジーや会計のほか、レギュレーションや商慣行などといった多岐にわたる分野での意見交換を精力的に実施しており、仮想通貨関連ビジネスの環境を整備することに注力しています。

PassPayはJCBAの一員となることで、JCBAが主催する勉強会ならびに分科会において積極的に意見交換を行っていくとしており、さらなるサービスの質の向上を目指していきたいとしています。

④JPYWの今後の展開

4-1.モバイルウォレットのリリース

PassPayは22年8月3日、同社が開発を進めている仮想通貨のモバイルウォレットに関する特許を出願したことを発表しました。

仮想通貨のウォレットとは、仮想通貨を保管して管理するための財布の役割を果たすツールとなっており、特にモバイルウォレットは、iPhoneやAndroidといったアプリケーションをインストールすることによって利用できる、スマートフォンのウォレットとなっています。

モバイルウォレットはスマートフォンを持っているだけでいつどこでも利用できるため、その利便性の高さからさまざまなシーンでの活用が進んでいます。

PassPayでは、ユーザーがJPYWをより快適且つシームレスに利用することができるよう、自社開発のモバイルウォレットが必要不可欠であるとしており、現在、その開発に尽力しています。

なお、その詳しい機能の内容やほかのウォレットとの差別化などに関しては今後、徐々に明らかにされていくということで、業界からはすでに大きな注目が集まっています。

⑤JPYWの実際の使い方

ここでは、JPYWの購入の仕方ならびに、22年11月22日現在JPYWが実際に利用できる「Vプリカギフト」について、その交換方法と利用方法を解説していきます。

5-1.JPYWの購入

JPYWは現在、銀行振り込みを利用した日本円での購入が可能となっているため、その購入手順について説明していきます。

①購入サイトにアクセス

JPYWは下記の購入サイトを公開しているため、まずはこちら(https://ask.passpay.io/buy)にアクセスします。

②各種規約の確認

PassPayより利用規約をはじめとする各種規約への同意が求められるため、それぞれの内容をしっかり確認し、問題なければ「同意します」にチェックを入れます。

③入力フォームに必要事項を記入する

次に、入力フォームへ進み、振込人名義とEmailアドレスの入力を行います。

なお、振込人名義は銀行振込時と同じ名前を使用するようにしましょう。

④JPYWの受取設定

必要事項の入力が完了したら、次にJPYWの受取方法を選択します。

購入サイトに表示されているフォームに、「1JPYW=1円」という金額のもと、希望する購入金額を入力します。

なお、購入は1万円から可能となっているため、注意が必要です。

購入金額の入力が完了したら、次にJPYWの受取ネットワークを選択します。

前述した通り、22年11月22日時点で選択できるブロックチェーンは下記の三つとなっています。

  • Ethereum(イーサリアム)
  • BNB Smart Chain(BSC)
  • Polygon(ポリゴン)

⑤ウォレットの接続

受け取りネットワークが選択できたら、実際にJPYWをウォレットに追加します。

購入サイトでは上記それぞれのチェーンに対応しているスマートコントラクトアドレスが公開されているため、こちらを利用するようにしましょう。

その後、JPYWの受け取りアドレスの入力を行います。

受け取りは取引所アドレスでは対応ができないため、個人ウォレットのアドレスが必要となります。

なお、PassPayは推奨するウォレットとして「MetaMask(メタマスク)」ならびに「BitKeep(ビットキープ)」を挙げているため、これらを利用するとスムーズに受け取ることが可能です。

また、受け取りアドレスの入力ミスなどに関しては、返金対応は行っていないと説明されているため、入力の際は十分に注意するようにしましょう。

⑥購入金額の振込み

ウォレットが設定できたら、購入サイトに掲載されている指定の銀行口座に購入金額を振込み、購入完了となります。

5-2.Vプリカギフトの交換方法

①購入サイトにアクセス

Vプリカギフトは下記の購入サイトを公開しているため、まずはここ(https://ask.passpay.io/v)にアクセスします。

②交換希望金額と枚数の入力

次に、一万円、二万円、五万円、十万円の中から交換希望金額を選択し、それぞれ交換したい枚数を入力します。

③受取用メールアドレスの入力

次に、Vプリカギフトを受け取るためのメールアドレスを入力します。

④JPYW送信元ネットワークの選択

前述した三つのネットワークから、JPYWの送信元となるものを選択します。

その後、送信元アドレスと名前を入力し、購入サイトに記載されているアドレスへJPYWを送金します。

⑤各種規約の確認

最後に、周囲事項や各種規約を確認し、問題なければ「同意します」にチェックを入れて手続き完了となります。

5-3.Vプリカギフトの利用方法

インターネット上で「Visa」のマークを確認します。

​支払い方法で「クレジットカード」を選択します。

Vプリカギフトのカード情報をクレジットカードと同じように画面入力するだけで決済が完了します。​

⑥まとめ

JPYWは日本円の相場にペッグしたステーブルコインとなっており、相場変動が激しい仮想通貨の課題を克服するコインとして、その実用性に大きな期待が集まっています。

PassPayでは今後も引き続きJPYWの対応ネットワークとユースケースの拡大に努めていくとしており、多くの人々にとって「Web3.0」やデジタル化社会をさらに身近なものにするために尽力すると語っています。

このように、JPYWは今後さまざまなシーンでの活用が進められていく見込みであるため、興味のある方はこの機会にJPYWを利用してみることをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12