今回は、Coinbase japanで取り扱いがスタートしたBATについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Braveとは?
1-1.Braveの概要
1-2.プロジェクトの目的
1-3.Braveが取り組むプライバシー問題
1-4.Brave Adsの概要 - 仮想通貨BAT
2-1.トークンの概要
2-2.BATの特徴、メリット
2-3.ユースケース - BAT投資のポイント
3-1.ファンダメンタルズ
3-2.ロードマップ - まとめ
国内で暗号資産(仮想通貨)取引所を提供するCoinbase Japanで、新たにベーシックアテンショントークン(BAT)の取り扱いが開始されました。
BATは、月間アクティブユーザー数が5,550万人(22年5月時点)を越えるプライバシーに焦点を当てたブラウザ「Brave」で使用されるトークンです。今回は、BATのユニークなユースケースや特徴について紹介していきます。
①BATとは?
1-1.BATの概要
Braveブラウザの創設者は、JavaScriptの生みの親であり、人気ブラウザMozilla Firefoxの共同創業者であるBrendan Eich氏です。Google ChromeのオープンソースバージョンであるChromiumに基づいて、プライバシー重視のWebブラウザ「Brave」を開発しました。
2017年にBrave ソフトウェアによって開発されたBATは、Braveブラウザに実装されたブロックチェーンベースのデジタル広告・報酬プラットフォームで使用されるネイティブトークンです。当時行ったICO(イニシャルコインオファリング)は、わずか1分ほどで約40億円以上の資金調達を成功させ、当初から大変注目を集めました。
BATはイーサリアムブロックチェーン上でERC-20規格で発行されましたが、現在は Solanaチェーンも統合するなど、マルチチェーン展開を進めています。
Braveのソリューションは、プライバシーと収益をアドテクノロジー業者に渡すことに不安を感じる、オープンウェブに参加するすべての人にとってwin-winのソリューションの実現を目指しています。最終的には次世代の10億人のユーザーにBraveやBATを利用してもらうという目標も掲げています。
1-2.プロジェクトの目的
Brave Softwareは、高速でプライバシー重視型のブラウザと、ブロックチェーンベースのデジタル広告プラットフォームの提供を通じ、ユーザー、パブリッシャーそして広告主にとってより良いインターネットを再構築しようとしています。ユーザーにはプライバシーが尊重され、かつ高速なウェブブラウジング体験とバッテリー節約効果を提供します。同時にパブリッシャーは収益を拡大することができ、広告主はコンバージョンを向上させることができます。
ユーザーはプライバシー重視型の広告にオプトインし、広告を表示すると航空会社のマイルのような形でBATを報酬として受け取ることができます。このトークンはパブリッシャーやコンテンツクリエイターへのチップに使用することができます。
1-3.Braveが取り組むプライバシー問題
スマートフォンやパソコンでWebサイトやYouTubeを閲覧している時に、過去に閲覧したAmazonや楽天市場で販売されている商品の広告(リターゲティング広告など)が表示されたことはありませんか?これはGoogleに代表される広告テクノロジーが、ユーザーが訪問するすべてのサイトやそこでの入力データを追跡し、記録しているからできることです。
FacebookやAmazon、そしてGoogleといったプラットフォーマーは、売上を上げるためにユーザーのオンライン行動を監視し、結果的にデジタル広告費全体の3分の2以上を獲得しています。
Braveブラウザは、こうした仕組みからユーザーを守るために開発されました。Braveはブラウジング中にユーザーを識別して追跡することはしません。Brave Adsの目的は、適切な文脈/コンテキストで、ユーザの興味関心にマッチしたプライバシーを尊重した広告を届けることです。表示される広告は、閲覧行動から推測される興味や関心に基づきます。個人情報や閲覧履歴が、ブラウザから外部に送られることはありません。
Braveのユーザーのデータは、デバイス上のみに存在し、公開されることはありません。さらに、無駄な広告を見ないことによって充電の消耗が軽減、通信量の改善ができるといった特徴も挙げられます。
1-4. Brave Adsの概要
Braveでは、「Brave Ads」を有効にしている場合は、Braveプライベート広告を表示することで、報酬としてBATを獲得できます。
利用するには、Braveブラウザからbrave://rewardsにアクセスし、「Brave Rewards/Brave Ads」を有効にするだけです。広告配信システムのアルゴリズムが、Braveユーザの興味関心にマッチする広告を探し出そうとします。
Brave Adsを有効にしたとしても、もしもシステムがユーザの興味関心にマッチする広告をカタログの中から見つけられなければ、広告は表示されません。
広告主については、インターネット業界最大手を中心に、日本を含む世界中の多くのブランドとコラボレーションを続けています。
②BAT token
2-1.トークンの概要
通貨名(ティッカー) | ベーシック・アテンション・トークン(BAT) |
ブロックチェーン | イーサリアム/ソラナ |
時価総額 | 約3億2900万ドル(約450億円) |
時価総額ランキング | 83位 |
総供給量 | 15億BAT |
現在時価総額は83位で、価格は約42円前後を推移しています。(2022年10月20日)また、2021年の11月に最高値の約200円を付けています。
2017年のICOでは、合計10億BATトークンが投資家に販売されましたが、ロックされていた5億BATトークンの総アドレスは2020年に全て空になっているため、初期投資家による売却圧は無くなったと考えていいと思っています。
2-2.BATの特徴、メリット
一番の特徴はBraveを使用することでBATを獲得することができる点です。
BATの獲得方法はBraveで広告を見るなどが挙げられます。最終的に獲得したBATは、クリエイターに投げ銭として活用できたり、e-sportsの投げ銭として利用されたり、取引所で換金したりすることができます。
また、Braveはパブリッシャーにチップを送る際の手数料として5%を徴収します。この資金でBraveはブラウジングサービスを無料で提供し、パブリッシャーにBrave Rewardsのシステムを提供するインフラ費用をまかなっています。このレートはGoogle(Youtube)に比べて低いものです。
2-3.ユースケース
BATのユースケースは主に2つになります。
1つ目はBATを使用して広告スペースを購入できる点です。購入した広告主は、FacebookやGoogleと同じようにクリック率、閲覧数、コンバージョンなどのメトリクスを閲覧することができます。
2つ目はメタデータを提供してくれたユーザーに報酬としてBATを提供することを可能にした点です。
メタデータとは、データについてのデータとよく言われ、あるデータの特徴や属性などが判断できる貴重なものになります。しかし、データを生成した私たちユーザーというものは、生成したからといって何か報酬を受け取れるものではありません。これを解決したのがBraveとBATなのです。
③BAT投資のポイント
3-1. ファンダメンタルズ
BATへの投資を検討する上で、最も重要な点はBraveブラウザの成長余地、開発計画です。Braveが普及すれば、BATの需要も必然的に増えます。Braveブラウザは以下のような利用者基盤を築いています。
「5,500万の月間アクティブユーザー、1600万のデイリーアクティブユーザー、BATを受け入れる150万人の認定クリエイター、数百万のウォレット作成、主要ブランドとの数千の広告キャンペーン、有名ブロックチェーンゲーム(Splinterlands、Gala Games)でのBATトークンの採用。」
また、BATは現在、イーサリアムとソラナのブロックチェーンにブリッジされ、両方のエコシステムにユーティリティを提供しています。さらには、BAT独自のDeFiエコシステムも拡大しており、分散型取引所BRAVEスワップではBAT保有者が手数料割引を受けられます。
21年3月には、NFTプロジェクト「Ether.Cards」とのコラボを実施。BraveのユーザーベースにNFTを訴求し、イベントへの参加報酬としてBATを配布しました。
BATをBraveブラウザをきっかけに、BATエコシステム拡大に繋がることも考えられるでしょう。
3-2. ロードマップ
Braveは2021年2月にBATロードマップv2を発表し、Web3市場拡大に向けたビジョンを示しました。ソラナチェーン展開、ネイティブなBrave Wallet(モバイル/PC)は、実装が完了したマイルストーンです。
2022年については以下の分野の成長に向けて、構築を進めています。
- ビットコインやファイルコインなど非EVM(イーサリアム仮想マシン)チェーンへの展開。
- BAT DeFi ユーティリティ、ソラナやイーサリアムL2及びEVMエコシステムにおける、AMMとDEXの流動性拡大、MFTユーティリティ(マーケットプレイス)、ゲーム採用の拡大。
- Brave Adsの検索連動型広告、ニュース広告。その他、NFTのプロジェクトやクリエイターと、BraveやBATをテーマにしたコラボレーションの実施。バーチャルミートアップ、コミュニティコール、AMA、イベントなど、コミュニティ拡大のための機会創出など。
④まとめ
ここまでBATについて解説してきました。まだBraveを使用したことがない方は、まず一度Braveを先に使用してBATを報酬として受け取ってみるのも面白いでしょう。BATの取引は、今回紹介したCoinbase Japanでできるのでまだ口座開設してない方はこの機会に開設してBATを使用してみてはいかがでしょうか。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日