NFTの決済インフラ「Hokusai Payment」について解説

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今回は、Hokusai Paymentについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 「Hokusai Payment」とは
    1-1.「Hokusai Payment」の概要
    1-2.「Hokusai Payment」誕生の背景
  2. モノバンドル株式会社とは
    2-1.「Tweet to Earn」モデルを採用
    2-2.モノバンドル株式会社の概要
    2-3.モノバンドル株式会社の事業内容
  3. SBペイメントサービス株式会社(SBPS)とは
    3-1.SBペイメントサービス株式会社(SBPS)の概要
    3-2.SBペイメントサービス株式会社(SBPS)の事業内容
  4. Hokusai Paymentの特徴
    4-1.クレジットカード決済が可能である
    4-2.AI不正検知が無料で導入可能である
  5. まとめ

22年12月1日、ブロックチェーン関連会社であるモノバンドル株式会社とソフトバンク株式会社の子会社として知られるSBペイメントサービス株式会社(SBPS)は、「Hokusai Payment(ホクサイペイメント)」と呼ばれる決済インフラの提供をスタートすることを明らかにしました。

発表によると、Hokusai Paymentを利用する事業者は、「NFT(非代替性トークン)」の支払い手段としてクレジットカード決済を選択できるようになるということで、業界からは大きな期待が寄せられています。

ここでは新たにリリースされたNFTの決済インフラ「Hokusai Payment」について、その概要や特徴などを詳しく解説していきます。

①「Hokusai Payment」とは

1-1.「Hokusai Payment」の概要

Hokusai Payment0

「Hokusai Payment(ホクサイペイメント)」とは、ブロックチェーン関連会社モノバンドル株式会社が提供しているNFTインフラサービス「Hokusai」と、ソフトバンク株式会社の子会社であるSBペイメントサービス株式会社(SBPS)のオンライン決済サービスを連携した決済プラットフォームのことを指します。

Hokusai PaymentはNFTビジネスを成長させる決済プラットフォームとして、新規および既存のNFTビジネスプロバイダーをサポートすることを目的として誕生し、クライアントに対してクレジットカードを利用してNFTを購入できるシステムを提供するなど、利便性の高い画期的なサービスを展開しています。

また、あらゆるNFTを販売する事業者が利用できるプラットフォームとなっており、クライアントのニーズに合わせる形で機能をカスタマイズすることも可能です。

NFTが広く知られるようになった現在、NFTによる事業機会はますます増加しています。そんな中、Hokusai Paymentはさまざまなユーザーを抱える事業者に対して最適なソリューションを提供していくと発表しており、業界からは大きな注目が集まっています。

1-2.「Hokusai Payment」誕生の背景

21年ごろから、デジタルデータに固有の価値を持たせることができる「NFT」が世界中で注目を集めるようになり、ゲームやアートをはじめとするさまざまな分野での活用が急速に広がりました。

そもそもNFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字をとったもので、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。これまで、デジタルデータはコピーすることによって量産が比較的簡単にできてしまうことから、データ自体に固有の資産価値を付与することが難しいとされてきました。そんな中、コピーや改ざんが極めて困難だとされるブロックチェーン技術を活用することによって、それぞれのデジタルデータに唯一性を持たせることができるようになり、固有の資産価値を生み出すことが可能になったというわけです。このNFT技術はゲームやアートの分野を中心として利用が広がり、現在では会員権やアクセス権のほか、チケットサービスや不動産、音楽や購読権、保険証書やドメインなどといった多岐にわたる分野での活用が進んでいます。

このような状況の中、モノバンドル株式会社は21年6月より「Hokusai(ホクサイ)」と呼ばれるNFTインフラサービスの提供をスタートし、これまでNFTを新規提供する企業を中心として、NFTの開発および販売のサポートを行ってきました。そんな中、NFTの支払い手段として仮想通貨が中心となっていることが、NFTを購入したいエンドユーザーにとっては大きなハードルとなっていることに気がつきました。

そこで今回、モノバンドルは国際的なクレジットカードブランドのライセンスを有している決済代行会社SBペイメントサービス株式会社(SBPS)とともにHokusai Paymentをリリースするに至りました。NFTの支払い手段としてクレジットカードの利用を可能とし、日本国内におけるNFT関連の決済をよりシームレスにするインフラを目指しています。

②モノバンドル株式会社とは

2-1.モノバンドル株式会社の概要

Moonbundle

21年6月に設立されたモノバンドル株式会社は、「価値流通革命で人々を幸せに」というテーマのもと、ブロックチェーンをはじめとする最先端テクノロジーを駆使したプロダクト開発を行っている総合ソリューションベンチャーとして知られています。

モノバンドルでは「価値の流動性を、人類史上最も高める」というビジョンを掲げており、進化し続けるインターネットを活用した取引において、あらゆるクライアントのサポートを行っています。

具体的には、マルチチェーンのNFTインフラである「Hokusai」の運営やWeb3特化M&Aプラットフォーム「MergePad」の提供などを手がけており、22年12月12日現在、Hokusaiを活用して開発を行う法人は100社以上に上っています。

このほか、パートナー数も20を超えているなど、その利便性の高さから多くのクライアントに利用されるサービスとなっています。

なお、モノバンドルは、今回のSBペイメントサービス(SBPS)との連携をきっかけとして、ブロックチェーン分野におけるサービスの決済体験をさらに向上させ、ブロックチェーン分野のビジネスの成長により一層貢献していきたいと語っています。

2-2.モノバンドル株式会社の事業内容

「モノバンドル株式会社」の手がける主な事業内容は、下記の通りとなっています。

  1. マルチチェーンのNFTインフラ「Hokusai」
  2. デジタル資産のコード監査・認証プロバイダー「SuperAudit」
  3. Web3特化M&Aプラットフォーム「MergePad」
  4. エンタープライズ向けチケットNFTソリューション「Hokusai Ticket」
  5. NFT決済インフラ「Hokusai Payment」
  6. トークンのエコノミクス設計
  7. ブロックチェーン技術の研究開発

2-3.NFTインフラサービス「Hokusai」とは

Hokusai
Hokusai Paymentは、モノバンドルが提供しているNFTインフラサービス「Hokusai」と、SBペイメントサービス(SBPS)のオンライン決済サービスを連携した決済プラットフォームであると説明しましたが、ここではこの「Hokusai」とは何かを詳しく解説していきます。

「Hokusai」とは、マルチチェーンに対応するNFTインフラとして、グローバルにNFTの開発ツールの提供を行う「Embedded NFT」のAPIサービスのことを指します。

Hokusaiでは具体的に下記のようなサービスを提供しており、クライアントがスケーラビリティの高いビジネスを提供することを可能にしています。

  1. オリジナルコントラクト発行
  2. 柔軟なロイヤリティ設定
  3. GAS代無料
  4. Batch Mintによる大規模なNFT発行
  5. APIの組み合わせ

また、Hokusaiではウェブエンジニアが数行のコードを加えるだけでウェブサイトにNFT機能を実装することができるようになっているため、Hokusaiを利用することで、仮想通貨に関する詳しい専門知識がなくとも簡単にNFTビジネスをスタートすることが可能です。

このように、Hokusaiはクライアントの開発コストを最低限まで抑えることができるだけでなく、Hokusaiの機能を用いることで、仮想通貨を購入せずともNFTビジネスをスタートすることが可能なため、会計コストを大幅に削減することもできるというわけです。

実際に、クライアントはHokusaiによってNFTビジネスへの参入コストを最大75%低減することができるとされており、Web3.0の世界をより日常へ近づけることができるサービスとして注目を集めています。

③SBペイメントサービス株式会社(SBPS)とは

3-1.SBペイメントサービス株式会社(SBPS)の概要

SBP
「SBペイメントサービス株式会社(SBPS)」とは、04年10月にソフトバンクの100%子会社として設立された決済代行会社のことを指します。

「決済で世の中をよくする」ことを自社の使命として掲げるSBPSは、ソフトバンクグループの一員として幅広い領域の決済事業を展開しており、安心でかんたん、且つ便利な決済サービスを提供することで、「人」と「価値」の結びつきを深め、よりよい社会の実現に貢献したいと語っています。

SBPSは、VisaやMasterCard、UnionPay(銀聯)といった国際的なクレジットカードブランドのライセンスを保有しており、決済代行だけでなく、クレジットカード会社として高い信頼性を誇る決済サービスを提供しています。

また、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステム「ISMS」のほか、クレジットカード情報保護における世界基準「PCI DSS」も取得しているなど、万全を尽くしたセキュリティ体制が整えられています。

このように、SBPSは時代をリードする多彩な決済サービスによって、さまざまなクライアントのニーズやライフスタイルに確実に対応し、総合的な提案力で、クライアントのビジネス拡大を全面的にサポートしています。

なお、SBPSは今回のモノバンドルとの連携をきっかけとして、今後Web3.0の決済分野においても、業界を牽引していく存在になりたいと語っています。

さらに、SBPSは今回「一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」および「一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)」に加入したことも明らかにしており、今後も引き続き仮想通貨交換業者やブロックチェーンおよびWeb3.0関連企業などと連携しながら、Web3.0業界のさらなる発展を促進していきたいとしています。

3-2.SBペイメントサービス株式会社(SBPS)の事業内容

「SBペイメントサービス株式会社(SBPS)」の手がける主な事業内容は、下記の通りとなっています。

  1. オンライン決済サービス
  2. 店舗向け決済サービス
  3. 支払代行サービス
  4. カードサービス

このように、SBPSではオンライン向けから店舗向けまで、幅広い決済サービスを事業者向けに提供しており、これらのサービスの提供過程で培ってきた豊富なノウハウを駆使して、Hokusai Paymentのリリースを果たしたということです。

④Hokusai Paymentの特徴

4-1.クレジットカード決済が可能である

Hokusai Payment
前述の通り、Hokusai Paymentを利用する事業者は、「NFT(非代替性トークン)」の支払い手段としてクレジットカード決済を選択することが可能です。

また、利用可能なクレジットカードの種類も豊富であるため、Hokusai Paymentを導入することでよりシームレスなNFT取引環境を構築することができます。

なお、Hokusai Paymentがサポートしているクレジットカードは、下記の通りとなっています。

  1. Visa
  2. Mastercard
  3. JCB
  4. American Express
  5. Diners Club International

このように、Hokusai Paymentは5大国際ブランドすべてに対応しているため、利便性の高いサービスとして注目を集めています。

なお、モノバンドルおよびSBPSは、今後もHokusai Paymentで利用可能な決済手段の追加を見据えているということで、クライアントのニーズに対応できるより利便性の高いサービスの提供に注力していくとしています。

4-2.AI不正検知が無料で導入可能である

Hokusai Paymentを導入した事業者は、「AI不正検知」と呼ばれるセキュリティサービスを無料で導入することが可能です。

AI不正検知とは、SBPSが保有する膨大な決済データおよび決済についての知見などを活用して独自に開発した、決済情報と機械学習によって不正利用を検知するサービスのことを指します。

具体的には、過去の不正パターンを機械学習することで、ユーザーがクレジットカード決済を実施するタイミングで当該決済の不正利用のリスクをスコアとして算出します。

そして、AI不正検知を導入している事業者は、この算出されたスコアをリアルタイムで把握することによって、不正な取引をより早期に発見することが可能となっています。

これまで、不正検知ツールの導入には事業者からの追加情報などが必要となるケースがほとんどで、規約改定や画面の開発といった導入にかかる負荷が比較的大きくなっていました。

その一方で、SBPSの手がけるAI不正検知では決済で利用している情報をそのまま利用することができるため、事業者の導入負荷を大幅に軽減することが可能というわけです。

さらに、有料プランに申し込みすると、不正利用が疑われる取引を徹底的に抑止することができる事業者ごとの独自のルール設定や、疑わしい取引のみに対して「本人認証サービス(3Dセキュア)」の認証を要求する機能などが利用できるようになるということです。

このように、Hokusai Paymentに実装されているSBPSのAI不正検知を利用することによって、事業者は動的な対策を行うことが可能となっており、自社の大切なECサイトをクレジットカードの不正利用から守ることができるということです。

なお、Hokusai Paymentの導入についてはSBPSとの契約が別途必要になるということで、注意が必要です。

⑤まとめ

現在、NFTはさまざまな分野で幅広く活用されており、今後もその規模は拡大していくと見られていますが、その一方で、NFTの購入は仮想通貨決済が主流となっており、このことが一種のハードルとして懸念されて来ました。

そんな中、今回リリースされたHokusai Paymentでは5大国際ブランドすべてに対応するクレジットカード決済を提供しており、日本国内におけるNFT関連の決済をよりシームレスにするインフラの構築を目指したサービス展開を行っています。

Hokusai Paymentの導入については公式ウェブサイトの専用フォームから問い合わせが可能となっているため、興味のある事業者はこの機会にHokusai Paymentを活用し、NFT関連サービスの提供を始めてみてはいかがでしょうか。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12