GUCCI、Ubisoftによる「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」進出のねらいとは?【メタバース×グッチ・ユービーアイソフト】

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今回は、GUCCI、UbisoftのThe Sandbox(ザ・サンドボックス)進出のねらいについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. The Sandboxとは?
    1-1.The Sandboxの概要
    1-2.The Sandboxの特徴
  2. グッチがThe Sandboxに進出
    2-1.The Sandboxの仮想土地を購入
    2-2.実験的オンラインスペース「Gucci Vault」
  3. UbisoftがThe Sandboxに進出
    2-1.Ubisoftとは?
    2-2.ゲームIPがThe Sandboxで利用可能に
  4. まとめ

2021年以降メタバース市場が盛り上がりを見せており、国内外の大手企業が続々とメタバースへの参入を表明しています。2022年に入り、イタリアの高級ファッションブランドGUCCI(グッチ)とフランスの大手ゲーム開発企業Ubisoft(ユービーアイソフト)、そしてスクウェア・エニックスが「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」への参入を発表しました。今回はブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」上の3社の取り組みについてご紹介します。

①The Sandboxとは?

まずは、 The Sandboxの基本事項について解説します。

1-1. The Sandboxの概要

Sandbox
The Sandboxはユーザー作成型のゲームであり、ユーザーはプリセールで売りに出される仮想空間上(メタバース)の土地(LAND)を買い、キャラクターやアイテム・ゲーム・イベントを作成し、それらをNFT(Non Fungible Token、ノン・ファンジブル・トークン)化して市場で取引できます。

ゲーム自体は10年ほど前からパソコンやスマートフォンなどで存在しています。2019年10月時点に既に4,000万ダウンロード・月間ユーザー100万人以上と、注目度の高いプロジェクトです。

メタバースとは、オンライン上に構築された3D仮想空間のことで、ユーザーは自分のアバターを作成して世界に入ることによって、仮想空間にアクセスしている他のユーザーとのコミュニケーションを楽しんだり、仮想空間上に構築されたコンテンツで遊ぶことができるようになっています。

The Sandboxの初期投資家には、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで成功したゲーム業界大手のスクエア・エニックスや、アタリコンピューター、そしてNFTの元祖「CryptoKitties(クリプトキティ―ズ)」を生み「NBA TOP SHOT」でも成功したDapper Labsなどが名を連ねます。2021年11月には、ソフトバンクグループ(SBG)傘下のビジョン・ファンド2などから9,300万ドルを調達したことが報じられています。

1-2. The Sandboxの特徴

①仮想通貨を取り入れたメタバースプラットフォーム

The Sandboxはメタバースに仮想通貨を組み合わせたプラットフォームです。ユーザーは仮想通貨ウォレットを接続することで仮想空間内でアバター・アイテム・武器などの様々なアイテムを売買したり、仮想空間に構築されたゲームをプレイしたり、仮想空間上の土地を売買したりすることが可能です。

②仮想空間上の土地「LAND」

Sandbox 1
The Sandboxの仮想空間上に存在する土地は「LAND」として販売されており、ユーザーはLANDを購入してアトラクションを構築したり、イベントを開いたり、レンタルして賃貸料を得たり、売却することができます。日本では仮想通貨取引所コインチェックのNFTマーケットプレイス(β版)で、The SandboxのLANDが販売され、すぐに完売したことでも話題となりました。購入したLANDは後で他のユーザーに売却することもできるため、不動産投資感覚で仮想空間上の土地を保有することもできます。

③NFTマーケットプレイス

The SandboxではNFTマーケットプレイスも提供されており、ユーザーはSANDを使用して自分が保有するNFTを他のユーザーと売買することができます。The Sandboxは既に「Snoop Dogg」、「Care Bears」といった様々な個人・企業・プロジェクトと提携しているため、NFTマーケットではそのような有名ブランドのNFTアイテムも販売されています。

④NFTアイテム作成ツール「VoxEdit」

Sandbox-3The Sandboxでは、LAND上で展開できるオリジナルのアイテムやキャラクター、建物など(ASSETと呼ばれる)を作成できるよう、クリエイター向けに「VoxEdit」というツールを提供しています。VoxEditで制作した作品はThe Sandboxマーケットプレイスで販売できます。VoxEditで作成可能なASSETの種類は以下のとおりです。

  • エンティティ
    人や動物などのノンプレイヤーキャラクター(NPC)です。例:農夫、鶏、恐竜、トレジャーハンター
  • 装備品
    プレイヤーのインベントリに入れることができ、プレイヤーが装備することができるものです。例:剣、盾、ヘルメット、手袋
  • ウェアラブル
    プレイヤーのアバターの外観を変えるためのアイテムです。例:Tシャツ、ジーンズ、靴、帽子、うさぎの耳
  • アート
    視覚的な装飾アイテムのことです。例:額装されたアート作品、彫像、ランドマークなどがあります。
  • ブロック
    世界の外観を変える環境ブロックです。いくつかの基本的なブロックはすでに用意されていますが、さらにユニークなブロックを制作することで、自分だけの世界を作り上げることができます。例:水・砂・泥

⑤3Dゲーム構築ツール「Game Maker」

The Sandboxは、メタバース上の3Dゲームを無料で構築することができるクリエイター向けのビルダーツール「Game Maker」も提供しており、保有するNFTアイテムなどを使用して3Dボクセルゲームを作成できます。このソフトはコーディングの知識を持ってない方でも直感的にゲームを構築できるように設計されています。

②グッチがThe Sandboxと提携

次に、高級ファッションブランドGUCCI(グッチ)によるThe Sandboxでの取り組みについて解説します。

2-1. The Sandboxの仮想土地を購入


イタリアの高級ファッションブランドGUCCI(グッチ)は2022年2月10日に、The Sandboxの仮想空間上の土地「LAND(ランド)」を購入したことを発表しました。グッチがThe Sandboxでどのようなサービスを提供するかの詳細は明かされていませんが、プレスリリースにはそのコンセプトが以下のように示唆されています。

「美を追求する若者時代の思い出にインスパイアされたコンセプト空間である Gucci Vaultをベースに、インタラクティブなファッションエクスペリエンスを創造するために、グッチとThe Sandboxは協力します」

2-2. 実験的オンラインスペース「Gucci Vault」

VaultVaultというのは、昨年10月にオープンされた「グッチが厳選した唯一無二のアイテムを紹介する新しいオンラインコンセプトストア」のことです。つまり、The Sandboxの土地を取得したグッチは、メタバース上にVaultストアを反映した展示場・ショップなどの体験機能を構築することが考えられます。

リリースによると、グッチのデザイナーが制作したメタバースファッションアイテムは、プレイヤーが購入・所有したりできるようになります。さらに、The Sandboxの無料制作ツールVoxEditやGame Makerを使ってクリエイターが制作した体験コンテンツに、グッチのファッションアイテムを組み込むことができる模様です。グッチは最近、「Gucci Vault」専用のInstagram、及びDiscordサーバーを設立しています。興味のある方はチェックしてみると良いでしょう。

③Ubisoftとの提携

次に、フランスの大手ゲーム開発企業UbisoftがThe Sandboxとパートナーシップを締結した件について解説します。

3-1. Ubisoftとは?

Ubisoft(ユービーアイソフト)は「アサシンクリード」や「レインボーシックス」などのシリーズで知られる世界的に有名なゲーム開発・販売会社です。Ubisoftは世界100ヵ国近くで事業展開し、1万人以上の雇用者を抱える国際的な企業です。Ubisoftの特徴として、アクションゲームやファースト・パーソン・シューティング、オープンワールドの分野で人気のソフトが多いという点が挙げられます。

最近では、テゾス・ブロックチェーンと提携してゲーム内NFTを展開するなど、仮想通貨・ブロックチェーン・NFT技術を積極的に取り入れていることでも注目を集めています。

3-2. ゲームIPがThe Sandboxで利用可能に

2022年2月8日、UbisoftがThe Sandboxとパートナーシップを締結したことが発表されました。今回のパートナーシップにより、UbisoftのゲームIP(知的財産)である「Rabbids(ラビッツ)」がThe Sandbox内で利用できるようになっています。


Ubisoftは、The Sandboxの仮想空間上の土地LANDの集合を表す「ESTATE(エステート)」を取得する計画で、Rabbidsとのインタラクティブな体験機能を提供します。また、サンドボックスのゲームメーカーツールを使用して、ユーザーがRabbidsのキャラクターを利用できるようになります。

Ubisoftは、ゲームIPエレメンツ(要素)をTheSandboxに導入する意向を示しており、将来的には他のキャラクターも追加する計画です。ゲームメーカーの作成者は、独自のメタバースゲームを作成しながら、Ubisoftの様々なIPのボクセル化バージョンを使用できるようになるでしょう。

④まとめ

今回、高級ファッションブランドGUCCIと大手ゲーム開発企業Ubisoftが加わったことで、The Sandboxをますます魅力的なものにしています。特に、クリエイターが自由にアイテムを作成できるようにする2社の取り組みは、The Sandboxのユーザー生成コンテンツプラットフォームとしての特性を活かしています。今後、The SandboxのLAND上に両社の体験機能が構築されると多くのユーザーが集まることが期待されます。ゲーム内経済がどのように機能するか注目したいところです。

The Sandboxの仮想通貨SANDは国内の仮想通貨取引所では取り扱っていませんが、仮想土地LANDはCoincheck NFT(β版)で購入することができます。Coincheck NFT(β版)はコインチェックの口座開設者なら誰でも利用できるので、興味のある方はこの機会にコインチェックの口座開設を済ませておきましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12