今回は、COMSA(CMS)について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- テックビューロのCOMSAプロジェクト
1-1.COMSAの発行元「テックビューロ株式会社」について
1-2.テックビューロによる「COMSA」ICOの経緯 - COMSAプロジェクトとは?
2-1.COMSAプロジェクトの概要 - 複数のCOMSA(CMS)トークン
3-1.COMSA(CMS)トークンは複数のブロックチェーンで発行
3-2.COMSAの取扱いは「Zaif」のみ
3-3.CMS:XEM保有者向けのCMS:XYMのエアドロップ - まとめ
「COMSA(コムサ)」とは、日本初の大型ICO案件として109億円の資金調達に成功し、注目を集めた日本発の仮想通貨(暗号資産)です。その後、激変する規制環境の中でCOMSAプロジェクトは約4年にわたり凍結されましたが、2021年11月25日に『新生COMSA』としてサービスを開始することになりました。そこで今回は、COMSAプロジェクトと仮想通貨COMSAについて解説します。
①テックビューロのCOMSAプロジェクト
まずはCOMSAの発行元であり、COMSAプロジェクトを主導するテックビューロ株式会社について解説します。
1-1. COMSAの発行元「テックビューロ株式会社」について
テックビューロ株式会社は、大阪市西区に本社を置く企業で、かつて仮想通貨取引所の「Zaif」を経営していた企業です。2017年に正式な暗号資産交換業者としてライセンスを取得し、ブロックチェーン技術関連の導入サービスや、受託開発、コンサルティングサービスを提供していました。
具体的にはNEM財団が運用するブロックチェーンをベースとしたパブリック・プライベートチェーン、またはプライベート・ブロックチェーン製品として「mijin」を開発・販売し、パブリックブロックチェーンとの接続ソリューションとして「COMSA」の提供をしていました。
1-2. テックビューロによる「COMSA」ICOの経緯
テックビューロ株式会社は、2017年10月から約一か月間でCOMSA(CMS)のICOを実施、109億円の資金を集めるなど大きな成功を収めています。12月にはテックビューロ株式会社以外の3社のICOをテックビューロ株式会社がサポートをする形で行う予定となっていましたが、2018年1月にはICOの実施を再検討するとのアナウンスをしています。背景には日本国内でのICOに発行されるトークンの法的位置付けに関する問題や自主規制の影響があったようです。
それから程なくして、テックビューロ株式会社が運営する仮想通貨取引所「Zaif」がハッキング被害に遭い70億円相当のビットコインなどの仮想通貨が流出する事件が起きます。 この事件を機に、「Zaif」は現在の運営元である株式会社フィスコ仮想通貨取引所への事業譲渡がされ、テックビューロ株式会社は2019年8月22日には暗号資産交換業者を廃業しています。
②COMSAプロジェクトとは?
COMSA(CMS)がどのような仮想通貨であるかを理解するためにも、テックビューロ株式会社が主導するCOMSAプロジェクトについて解説します。
2-1. COMSAプロジェクトの概要
COMSAプロジェクトは、ブロックチェーン技術やトークンエコノミーを構築したい企業に対してICO(イニシャルコインオファリング)による資金調達と企業の持つアセットのトークン化を支援する目的で作られたプロジェクトです。
その中核となるサービスの一つが、NEMプロジェクトのブロックチェーン技術をベースに作られている「mijin」(ミジン)です。2021年春にNEMはSymbolにアップデートしており、新たなトークンXYM(ジム)が発行されました。これに伴い、mijinもアップデートされています。
新生COMSAは、XYM(ジム)のエアドロップやmijinの展開にも密接に関わってくる計画です。
- NEMプロジェクト:
NEM(New Economy Movement):自由経済や平等主義の原則に基づいた分散型プラットフォームの構築を目指したプロジェクト。2015年に始まり、2016年にシンガポールでNEM財団が発足。NEMは決済・送金プラットホームの名称でもあり、仮想通貨XEM(ゼム)はNEMブロックチェーンのインセンティブ設計に使われる。 - Mijin:
個人や中小企業、非営利団体が簡単にブロックチェーンを展開できるサービス。既に世界88カ国300社以上が導入。Symbolブロックチェーンをベースに、金融、データストレージ、コンテンツ制作、資産管理、ポイント管理などのオンラインサービスのブロックチェーン化が可能。独自コインの発行・管理が便利、セキュリティを維持するためにプライベートチェーンとパブリックチェーンの統合運用が可能。
③複数のCOMSA(CMS)トークン
最後に少し複雑なCMSトークンについて解説します。
3-1. COMSA(CMS)トークンは複数のブロックチェーンで発行
COMSA(CMS)トークンは発行元となるブロックチェーンが複数あるため、CMSトークンの規格も複数存在します。
イーサリアムで発行されているCMSトークンは「CMS:ETH」と呼ばれ、NEMで発行されているCMSトークンは「CMS:XEM」と呼ばれます。また、2021年11月にはXYMのエアドロップが予定されており、今後Symbol上で発行されるCMSトークンは「CMS:XYM」と呼ばれます。なお、送金処理時間などの性能は各ブロックチェーンの特徴に準拠します。
現在取引が行われているCMSトークンは「CMS:ETH」と「CMS:XEM」ですが、それぞれ価格は異なり、「CMS:ETH」は29.03円、「CMS:XEM」で69.00円で取引されています(2021年10月27日現在)。
3-2. COMSAの取扱いは「Zaif」のみ
COMSA(CMS)はテックビューロ株式会社が事業譲渡し、現在は株式会社カイカエクスチェンジが運営している仮想通貨取引所Zaifでのみ売買できます。Zaifで取扱われているCMSトークンは「CMS:ETH」と「CMS:XEM」で、取引所(Orderbook trading)で取引が可能です。
3-3. CMS:XEM保有者向けのCMS:XYMのエアドロップ
2021年10月25日(月)にテックビューロ株式会社は、CMS:XEM保有者向けのCMS:XYMのエアドロップ実施プランについて発表しました。スナップショットは2021年11月25日12時頃 (JST)=NEMのブロック高 3,474,300とされています。
このタイミングでZaifアカウント上でCMS:XEMを保有しているユーザーは、自動的にCMS:XEM 保有量のスナップショットが完了することが報告されています。なお、ZaifでのCMS:XYMの配布方法や日程・取引市場での取り扱いについては、現時点では決まっていない模様です。
④まとめ
ブロックチェーンのエコシステムを誰にでも簡単に構築できるサービスは、仮想通貨業界全体の発展にも寄与する取り組みであるため、新生COMSAの今後の展開には注目し続けていきたいと思っています。CMS:XYMのエアドロップ権を得るためにCMS:XEMのスナップショットイベントに参加したい方は、Zaifで口座開設を済ませておきましょう。
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中島 翔
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