今回は、カルダノを基盤とするメタバースについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Paviaはどのようなメタバースとなるのか?
1-1.Paviaとは?
1-2.PaviaのLAND
1-3.ゲーム内仮想通貨Pavia(パヴィア)
1-4.ロードマップ - カルダノ・ブロックチェーンとは
2-1.カルダノ・ブロックチェーンの概要
2-2.カルダノ・ブロックチェーンの特徴 - まとめ
VRゴーグルを装着したりアバターを介して、個人が自由に行動できるインターネット上の仮想空間「メタバース(Metaverse)」は、仮想通貨業界の内外で注目を集めています。2022年1月15日にはカルダノ(Cardano)ブロックチェーンを基盤とした最初のメタバース「Pavia(パヴィア)」のベータ版がローンチされました。そこで今回は、PaviaとCardanoブロックチェーン、そして仮想通貨エイダコイン(ADA)について解説します。
①Paviaはどのようなメタバースとなるのか?
まずは、Paviaがどのようなメタバースかについて解説します。
1-1. Paviaとは?
Paviaは、Cardano(ADA)ブロックチェーン上に構築された最初のメタバースです。ユーザーは仮想空間上の土地を購入してコンテンツやサービスを構築したり、それらのコンテンツを仮想空間上で楽しんだりすることができるように設計されています。
Paviaという名称は、Cardanoブロックチェーンが有名な数学者「Gerolamo Cardano(ジェロラモ・カルダーノ)」に由来しています。彼の出生地であるイタリア・ロンバルディア州にある都市「Pavia(パヴィーア)」から付けられました。
ローンチ段階の機能としては、自分のアバターをデザインできることです。このアバターはPaviaプロジェクト外でも互換性のある700以上のアプリやゲームで利用可能ですが、保有するLANDを利用することはまだできないということです。
1-2. PaviaのLAND
Paviaには、DecentralandやThe Sandboxと同様に、デジタル土地区画である「LAND」が存在しており、それぞれが独自の座標を持つ固有の「Cardano NFT」として発行されています。
Paviaには合計10万個のLANDがありますが、2021年10月〜11月にかけてすでにこれらの約60%を販売しており、土地所有者は8,300人以上になると言います。また、残り約40%のLANDは、2022年第1四半期に販売される予定です。
PaviaのLANDは、Cardanoブロックチェーンを用いて発行されたNFTを売買することができるNFTマーケットプレイス「OpenCNFT」や「CNFT.io」などに出品されているため、ADA保有者はこれらのサイトにアクセスすることによって既存のLAND保有者からADA決済でLANDを購入することが可能です。
1-3. ゲーム内仮想通貨Pavia(パヴィア)
Paviaでは、ゲーム内通貨であるPAVIA(パヴィア)を発行しており、メタバースエコシステム内でユーティリティ目的で使用されます。Paviaの土地を所有している人には、2021年12月のブロックチェーンスナップショット後に、25%がエアドロップされました。
なお、ゲーム内通貨のPAVIAは、Paviaから直接購入することはできません。公式サイトによると、遅くとも2022年第1四半期にはCardanoの分散型取引所「MueseliSwap」にて活発に取引されるということです。
1-4. ロードマップ
ベータ版がローンチされたばかりのPaviaですが、公式サイトでは下記のロードマップが公開されています。
- 2022/Q2 フィードバック回収・ゲーム内のエクスペリエンス向上
- 2022/Q2 クロスチェーン・メタバース相互運用性に注力
- 2022/Q3-Q4 PAVIA Portalsのテスト開始
また、公式YouTubeチャンネルでは、イメージ映像が公開されており、「VRゴーグルを装着してメタバースを散策する様子」や「メタバース上でコーヒーを購入すると現実世界でコーヒーが届く」といった光景も映し出されているため、今後の正式リリースに期待が高まっています。
②カルダノ・ブロックチェーンとは
次に、Paviaが基盤として利用しているブロックチェーン「カルダノ(Cardano)」について解説します。
2-1. カルダノ・ブロックチェーンの概要
カルダノはイーサリアムネットワークの共同設立者の1人、Charles Hoskinson氏が設立したIOHK社によってローンチされました。カルダノはDApps(分散化アプリケーション)を開発するためのプラットフォームで、実用性のあるアプリケーションに必要とされるスケーラビリティ、相互運用性、サステナビリティを実現することを目指したブロックチェーンプロジェクトです。
またカルダノブロックチェーンで流通するネイティブトークンを「ADA」と呼びます。2022年1月31日時点で、ADAは時価総額約353億ドル、時価総額ランキング6位の仮想通貨です。元々、ADAはカルダノのオンラインカジノで利用する仮想通貨として開発されましたが、DeFiや発展途上国での決済利用など様々な用途に発展しており、将来性が期待されています。
2-2. カルダノ・ブロックチェーンの特徴
①スマートコントラクト「Plutus(プルータス)」
カルダノは「Plutus(プルータス)」と呼ばれる、より効率的なスマートコントラクトを実装しています。比較材料となるイーサリアムでは、Accounting(決済面)とComputation(計算作業)をひとつの台帳で管理しているため、あらゆるトランザクション処理に大量のリソースが必要となります。Plutasはそこまで信頼性を必要としないComputationを別のレイヤーに切り分けることで、能率を上げるとともに、個別調整を可能としています。
②セカンドレイヤーソリューション「Hydra」
HydraはIOHKが開発している、カルダノのセカンドレイヤー・ソリューションです。通常、仮想通貨取引の際には、その取引内容がすべてブロックチェーン上に記録され、これによって改ざんを防ぎ、公平性を保っています。しかし、この記録には多くのデータが入るため、処理が完了するまでに時間がかかることがネックとされてきました。
Hydraはオフチェーンでトランザクションを処理するので、カルダノのメインブロックチェーンの負担を軽減するとともに、毎秒100万件とされる膨大なトランザクションを処理できるようにします。IOHKの開発者Sebastian Nagelは2021年9月に「Hydraアップグレード」のリリース予定を「6~12か月後」と述べていました。Hoskinson氏は開発リソースをHydraに注いでいることを明かし、「採用率が増加してもパフォーマンスを維持できるためのCardanoの全体的な努力の中で、Hydraが重要なパートである」と語っています。
③2つの専用ウォレット
ADAにはダイダロスとヨロイウォレットという2つの専用ウォレットがあります。
ダイダロスはセキュリティが強固である点が強みで、オンラインゲーム内で得たコインを直接送金する機能があるほか、ステーキングが可能です。また、一定の条件を満たすことで投票権を獲得できる機能もあり、ADAの今後の運用に参加できます。
一方のヨロイウォレットは、元々はGoogle Chromeの拡張機能の1つで、ADA専用ウォレットとして開発されたものです。現在はスマホアプリでもヨロイウォレットを利用できるため、Chrome上とスマホアプリの両方でヨロイウォレットを利用可能です。
なお、ヨロイウォレットはADAに特化したウォレットですが、ダイダロスはBTCやETHにも利用されています。
③まとめ
メタバース「Pavia」のリリースによりカルダノや仮想通貨ADAがますます注目を集めることとなるでしょう。Paviaで使用されているADAは、仮想通貨取引所BITPoint(ビットポイント)やGMOコインで購入できます。また、直接的にPaviaのゲームNFTに投資をしてみたい方は、「OpenCNFT」や「CNFT.io」といったNFTマーケットプレイスで、PaviaのLANDを手に入れてみても良いかもしれません。
中島 翔
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