仮想通貨の長期投資をする場合、将来の価格上昇に期待して長期保有いわゆるガチホをすることになります。仮想通貨には株のような配当はありません。ただ売却せず、保有し続けることでインカムゲインを得る仕組みがあります。国内の仮想通貨取引所でもステーキングサービスを提供しつつあります。
2022年7月27日(水)、仮想通貨取引所ビットポイントがエイダ(ADA)のステーキングサービスを開始しました。ここではステーキングサービスの特徴から注意点、そしてビットポイントでのステーキングルール、対象となっているエイダの特徴について解説します。
目次
- 仮想通貨のステーキングサービスとは?
- 初心者にステーキングサービスが利用しやすい理由
- ステーキングサービスを利用する際の注意点
- エイダ(ADA)のステーキングサービスを提供するビットポイント
- ビットポイントで取り扱われているエイダ(ADA)とは?
- まとめ
①仮想通貨のステーキングサービスとは?
ステーキングとは、仮想通貨を保有することでネットワークセキュリティに貢献し、その対価として報酬を得る仕組みです。専用のウォレットなどを介して、ネットワークの条件に沿った形で暗号資産を保管する必要があります。初心者にとってウォレットの設定はハードルが高いので、仮想通貨取引所が代行し、報酬のみをユーザーに分配するケースが近年増えています。
ただ全ての仮想通貨でステーキングができるわけではありません。最初に登場したビットコインのコンセンサスアルゴリズムはProof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)という仕組みを採用しています。複雑な計算を解いてブロックを接続する鍵を最初に見つけた者が、取引履歴が含まれた新しいブロックを生成し、報酬を受取ります。対してステーキングができる仮想通貨のアルゴリズムはいくつかあり、例えばイーサリアムならProof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)からProof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行計画の進行中です。このPoSではステーキングが可能です。
例えば、イーサリアムと同じくスマートコントラクトを持っているLisk(リスク)のコンセンサスアルゴリズムは、Delegated Proof of Stake(DPOS)を採用しており、こちらもステーキングができるシステムです。このようにステーキングできる仮想通貨は採用しているコンセンサスアルゴリズムによって異なります。
②初心者にステーキングサービスが利用しやすい理由
仮想通貨取引所が提供しているステーキングサービスは初心者には大変利用しやすいサービスとなっています。1日あたりの最低保有数量以上を保有している必要がありますが、取引をすることなく仮想通貨を得ることができます。つまりローリスクでコツコツ資産を増やすことが可能となっています。またレンディングと違って、資産を固定されることもありません。
ステーキングサービスを利用することでどのくらいの報酬を得ることができるかは、仮想通貨の保有数量と、そのステーキングサービスの年率によって異なります。例えば、GMOコインのステーキングサービスは、年率2.1%~4.5%です。固定ではなく、銘柄によっても報酬年率は異なります。
またGMOコインではステーキングのシミュレーションができます。例えばエイダ/カルダノ(年率4.0%)、保有数量(元本)100ADA(5,777円相当、2022年7月12日時点)。月次報酬0.328767ADAで18.995円相当の報酬を得るという結果がでます。最初は18円相当ですが、保有数量が増えていくことで報酬量も増えていきます。またその仮想通貨自体の価格が上がることで、円換算金額も変わってきます。
③ステーキングサービスを利用する際の注意点
3-1.ハッキングリスク
各仮想通貨には専用ウォレットがあり、例えば、イーサリアムならメタマスクがそれにあたります。こうしたウォレットを使って自分でステーキングをする方法もありますが、今回、解説しているのは仮想通貨取引所に預けた状態でステーキングの報酬を得るという方法です。取引所で保有しているだけで報酬が入るのでとても簡単な運用ではありますが、中央集権型のシステムに預けておくことになるので、ハッキングに遭う可能性はゼロではありません。余剰資金を使ってサービスを利用するようにしましょう。
3-2.短期投資には不向き
GMOコインのステーキングサービスのシミュレーションを見ると分かりますが、ステーキングによって保有数量は徐々に増えていきますが、短期的に資産が増えるというものではありません。価格が高騰することで一時的に資産額が膨らむケースもあります。しかしそういったケースは稀です。したがってステーキングサービスは長期的な投資をすることを前提に利用しましょう。
④エイダ(ADA)のステーキングサービスを提供するビットポイント
ビットポイントは、株式会社リミックスポイントの子会社である株式会社ビットポイントジャパンが運営する仮想通貨取引所です。ビットポイントでは販売所、取引所、貸仮想通貨のサービスが提供されています。また複数の仮想通貨が取り扱われていますが、その中でもジャスミー(JMY)やディープコイン(DEP)など他社では取り扱いが少ない仮想通貨にも対応しています。また各種サービスが手数料無料で利用できるといった特長があります。これから仮想通貨投資を始めたいと考える方にも有用な取引所となっています。
ステーキングルール
対象仮想通貨 | ADA |
年率 | 3.5%~5.3% |
報酬の配布日時 | 毎月24日、定期メンテナンス(16:00~)の終了後 |
報酬の受取設定 | 毎月24日16:00のON/OFF状態に基づき、報酬の支払い有無が確定します。報酬の受取(ON/OFF)は、ログイン後の入出金ページで設定できます。次回の報酬を受取したい場合はONに、受取したくない場合はOFFにしてください。毎日定期メンテナンス時はON/OFF切替ができません。 |
報酬の付与方法 | ステーキング対象期間における平均保有数量を元に全報酬を按分 |
報酬の発生判定日数 | 暗号資産毎のステーキング仕様により変動 ADA:1日単位 |
報酬の単位 | ステーキング対象期間に暗号資産毎の預り数量単位以上の報酬発生で付与 ADA:0.000001 ADA単位 |
解約 | 解約の手続きはなく、中途解約手数料はなし。 好きな時に売却や出金ができ、自動的にステーキング対象外になります。 |
平均保有数は、毎日16:00の保有数量を記録し、ステーキング対象期間の平均保有数量を算出します。平均保有数量を元に全報酬を按分して配布します。また貸仮想通貨で貸出中のADAはステーキング対象外となります。
報酬シミュレーション
10ADAを保有していた場合、年率5%の報酬があった計算でのシミュレーション結果が以下の通りです。短期的に資産が増えるものではありませんが、長期保有するならステーキングの報酬があるのは魅力的です。
⑤ビットポイントで取り扱われているエイダ(ADA)とは?
カルダノは分散型アプリケーション(Dapps)を開発するためのプラットフォームであり、スケーラビリティ、相互運用性、サステナビリティを実現することを目指しています。カルダノ・ブロックチェーンで流通するネイティブトークンを「ADA(エイダ)」と言います。
カルダノはビットコイン(BTC)、イーサリアム(BTC)に次ぐ「第三世代のブロックチェーン」に位置づけられ、前世代が抱えているスケーラビリティ問題を解決するように設計されています。取引処理速度・拡張性・送金コスト・自然環境への影響・安定性・利便性など、あらゆる側面で改良されたブロックチェーン技術として注目されています。
カルダノのシステム
カルダノのエコシステムは、IOHK、カルダノ財団、EMURGOの3つの組織によって支えられています。IOHKは、イーサリアムの共同設立者でもあるCharles Hoskinson(チャールズ・ホスキンソン)氏によって2015年に設立されたブロックチェーン研究開発会社です。カルダノ財団は2016年に設立されたカルダノエコシステムの成長に焦点を当てた非営利団体であり、Emurgoは日本のベンチャーキャピタルです。
Messariのデータによると、カルダノは2015年9月から2017年1月までの5回のトークンセールで259億ADAを配布し、8,000万米ドル近くを調達したとされています。カルダノ・ブロックチェーンのメインネットは2017年9月にカルダノ財団によってローンチされています。
⑥まとめ
ステーキングは仮想通貨を長期保有する投資家にとっては利用しておきたいサービスと言えます。ステーキングは要件がネットワークによって異なり、自身でウォレットを取得してステーキングするには難しい点も出てきます。仮想通貨取引所で提供しているステーキングサービスならウォレットを用意する手間や手数料がかからない分、初心者でもスムーズに参加できるのではないでしょうか。
また仮想通貨は種類毎に目指しているビジョンや性質が異なります。それぞれのプロジェクトの開発、採用、性能を見定める部分も、仮想通貨投資の醍醐味です。ステーキングという切り口で興味を持った方は、ぜひ個別のプロジェクトについてリサーチしてみてください。
立花 佑
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