ステーブルコインとは

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ステーブルコインの特徴

ステーブルコインとは、価格の変動が少ない暗号資産のことです。価値を米ドルなどの外部資産に結びつけることで、価格を安定させたものになります。

ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)のような暗号資産は、支払いを行う際に仲介機関が存在しないことで世界中の誰にでも利用可能であることがメリットの一つです。しかし、これらの暗号資産の欠点の一つとして、価格が予測不可能で価値の変動が激しいことが挙げられます。

こういった従来の暗号資産の抱えるデメリットである価格の高騰や暴落をなくすことを目的として作られたのがステーブルコインです。ステーブルコインは、米ドルなど、比較的価格が安定している法定通貨に価格を「ペッグ(紐づけ)」し、さらにスマートコントラクトを用いたアルゴリズムで通貨の発行量を調整することにより価格を安定させています。そのため、決済手段などに適しておりブロックチェーンの可能性をさらに引き出す手段の一つになると期待されています。

次のグラフは、ビットコインの価格と米ドル(USD)を、別の法定通貨であるカナダドル(CAD)を基準に比較し、各通貨がどの程度変動しているのかを表したものです。青色がビットコイン、黄色が米ドルを示しています。

グラフにすると、黄色の米ドルは基本的に横ばいで大きな価格変動は見受けられない一方、青色で示されているビットコインの価格の乱高下が一目瞭然です。

ステーブルコインは、米ドルやユーロなどの法定通貨のように安定的に価格が推移するため、ビットコインなどのボラティリティ(変動幅)が大きい暗号資産では実現できない「価値の保存」が可能となり、通貨として普及することが期待されています。

ステーブルコインの種類

ステーブルコインにも、中央集権型、ゴールドバックアップ型、アルゴリズム型など、様々なタイプが存在します。順番に紹介していきましょう。

中央集権型ステーブルコイン(Centralized stablecoins)

Tether(USDT)

Tetherは、Tether Limited社によって作成された、現在の時価総額最大のステーブルコインです。単位はUSDTであり、1USDT=1米ドルで固定されています。このステーブルコインはビットコインに迫るほどの取引量を誇り、24時間の取引量は700億ドルを超えています。

しかし、Tether Limited社にはある疑惑がかけられています。Tetherがステーブルコインとしての価値を発揮するためには、Tetherの時価総額と同額の米ドルをTether Limited社が保有している必要があります。Tether Limited社は、同等の米ドルを保有していると主張していますが、それを証明する根拠はまだ提示されておらず、米CFTC(商品先物取引委員会)から求められている文書提出にも応じていません。そういった背景から、Tetherは投資家たちの疑念を煽り少しずつ信頼が少なくなっているとされています。

USD Coin(USDC)

暗号資産取引所CoinbaseとCircleによって開発されたステーブルコインがUSD Coinです。USD Coinは、Tetherと同じく1USDC = 1米ドルで固定されています。

主に分散型金融(DeFi)の領域で利用されることが多いステーブルコインとなっており、Tetherと比べて透明性も高いことから年々Tetherに迫る勢いを見せています。

ゴールドバックアップ型ステーブルコイン

ステーブルコインの多くは米ドルなどの法定通貨にペッグされていますが、これらの法定通貨に対しても不安が持たれていたことから、他の資産にペッグするステーブルコインも開発されるようになりました。その代表が、金(ゴールド)です。

CACHE gold

CACHEは、世界中に保管されている1gの純金の値段とペッグされているステーブルコインで、このタイプでは最も人気のある銘柄の一つです。CACHEはいつでも簡単に現物の金と交換が可能で、1CACHEあたり1gの金を送ることと同じになります。

このほかにもTether Gold(XAUt)や PAX Gold(PAXG)といったステーブルコインもありますが、これらは金1gの代わりに金1トロイオンス分(約31グラム)とペッグされています。また、CACHEよりも最低換金額が高くなっていることも違いの一つです。

アルゴリズム型ステーブルコイン

Terra(LUNA)

Terraは分散型のステーブルコインです。第三者を介さず、複雑なアルゴリズムを使って価格の安定性を保つ仕組みとなっています。これを行うには、オンチェーンと呼ばれる準備金が必要です。オンチェーンがスマートコントラクトに保持され、需要と供給のバランスを自動的に取ることで、トレーダーが偶然または意図的に価格を操作する可能性を軽減します。

Ampleforth(AMPL)

Ampleforthも、Terraと同様のシステムです。AMPLを1米ドルでペッグする代わりに、「リベース」と呼ばれるプロセスを用いて、需要供給バランスの変化に応じてステーブルコインの流通量を自動的に調整します。リベースはすべてのウォレットに比例するため、AMPLの保有者は常にAMPLネットワーク内におけるシェア(自分の保有分)を維持することができます。

Dai(DAI)

Daiは、分散型かつトラストレスでありながら広く利用できるため、他のステーブルコインとは一線を画すと言われています。自律分散型組織(DAO)のMakerDAOによって開発され、イーサリアムウォレット間の送金に使用することができます。Daiは元々ペッグ資産にイーサを使用していました。つまり1Dai=1米ドルを維持するために、一定額のイーサを担保していたということです。現在は複数のペッグ資産があることで、Daiの価格がより安定的になっています。

ビットコインではなく、ステーブルコインが選ばれる理由

これまで何度も挙げてきた通り、ステーブルコインの最大の魅力は、法定通貨にペッグされていることによる、価格の安定化です。投資家からすれば、自分の保有している暗号資産を基本的にはいつでも1トークン=1米ドルで売ることができることは、強みとなります。

海外の取引所では、トレーダーに法定通貨の購入を許可せず、暗号資産の売買のみを許可していることが多いため、厳しい状況に陥ったときに、投資家が暗号資産を速やかに現金化することが困難です。複数の取引所をまたいで送金したり、数日待たなければならないこともあります。そんな中でステーブルコインはほとんどの取引所で導入されているため、資金を確保したい投資家たちにとっては一時的な避難所のような役割を果たすのです。

ステーブルコインのデメリット

ステーブルコインを運営する上では、企業やシステムはコインの総額と同等の法定通貨を資金として準備する必要があります。投資家たちはコインを補完するだけの資金があることの証明を必要とするため、それに応じていないTether社には、前述のとおり疑惑が残っているということになります。それが証明されない場合、ステーブルコインに見合った米ドルなどが手に入らないというリスクもあります。

また、ステーブルコインの価値は必ずしも安定しているとは言えません。少なからず価格の変動は起こり得るため、ビットコインのような変動性の高い資産と比較すると、ステーブルコインは絶対的ではなく「相対的」に安定していると言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。価格の安定性を実現するよう設計されたステーブルコインは、ビットコインなどの暗号資産にはなかった「価値の保存」を可能とします。

ステーブルコインは、今後決済手段の一つとしても普及していくことになるでしょう。さらなる実用性の向上に期待したいです。

監修者: 株式会社techtec リサーチチーム

株式会社techtec「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec

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