デジタル時代の到来により、新しい技術とイノベーションがどのように私たちの生活を変えるかを見ることができます。その中でも、Web3や暗号通貨などのデジタル技術は、未来の金融システムの基盤となる可能性を秘めています。今回は、そのようなWeb3プロジェクトの一つである「Celo」について、初心者向けに解説していきます。
目次
- Celoとは?
1-1. 技術基盤
1-2. Celoのネイティブトークン
1-3. Celo Alliance - Celo上に構築されたDapps事例
2-1. Valora
2-2. Moola Market
2-3. Ubeswap
2-4. Impact Market
2-5. Optics - Celoの展望
Celoとは?
Celo(セロ)は、ブロックチェーンを活用して金融包摂を実現することを目指したプロジェクトです。
金融包摂とは、すべての人々が金融サービスにアクセスできるようにすることを意味します。現在、世界には銀行口座を持たない人々が多く存在し、彼らは金融サービスへのアクセスが限られています。Celoはこの問題に取り組んでいます。
技術基盤
CeloはEVM対応の独自L1ブロックチェーンを構築し、その上で様々なDappsの構築が可能です。コンセンサスアルゴリズムはPoSを採用し、高速でスケーラブルな取引を実現しています。
また、Celoはモバイルファーストであることが大きな特徴です。Phone Number Identity Protocolを利用して、電話番号をユーザーのアドレスと関連付け、モバイルからウォレットを生成することが可能です。これにより、ユーザーはスマホだけで送金や支払いが簡単かつ直感的に行えます。
Celoのネイティブトークン
Celoには、2種類のネイティブトークンが存在します。
1つ目である$CELOは、Celoのエコシステムのガバナンストークンであり、Celoプラットフォームの開発や運営に関わる投票や意思決定に使用されます。また、$CELOは、ネットワークのセキュリティやステーキングにも活用されています。
2つ目は、$cUSDや$cEURはCeloプラットフォーム上で使用されるステーブルコインで、米ドルや欧ユーロに連動しています。ステーブルコインは価値が安定しているため、送金や支払いに適しています。$cUSDや$cEURを使うことで、ユーザーは為替リスクを気にせずに取引ができます。
Celo Alliance
Celoは、ブロックチェーンを活用して、世界中の金融包摂を推進するために、Celo Allianceを結成しています。この連合には、複数の企業や団体が参加し、共同でプロジェクトを進めています。参加団体は、大手VCや金融系企業、非営利団体など、さまざまな分野から集まっています。
Celo上に構築されたDapps事例
Celoプラットフォーム上には、すでにいくつかのDApps(分散型アプリケーション)が構築されています。以下は、その代表的なものです。
Valora
Valoraは、モバイルウォレットアプリです。電話番号を使用して登録し、簡単に送金や支払いができます。cUSDやCELOトークンを管理できるだけでなく、友達や家族への送金、請求書の作成などが簡単に行えます。
Moola Market
Moola Marketは、DeFiアプリです。ユーザーは、貸付や借入、流動性プールへの参加などの機能を利用できます。Moola Marketでは、cUSDやCELOトークンを使って取引ができます。
Ubeswap
Ubeswapは、DEXアプリです。ユーザーはCELOやcUSDなどのトークンを交換できます。また、流動性プールへの参加や流動性マイニングなどの機能も提供しています。
Impact Market
Impact Marketは、ユニバーサル基本所得(UBI)を提供するプラットフォームです。世界中の人々に対して、無条件で基本所得を提供し、貧困削減や経済的自立を促すことを目指しています。
Optics
Opticsは、Celoプラットフォームをはじめとした複数のブロックチェーン間で、暗号資産の相互運用性を提供するプロジェクトです。Opticsを使用することで、CeloからEthereumやPolygonなどの他のブロックチェーンへ、トークンを簡単に移動することができます。
これらのDAppsは、Celoプラットフォームが持つ金融包摂の可能性を実証しており、今後さらに多くのDAppsが登場することが期待されます。
Celoの展望
最後はCeloの展望について考察しますが、その前に改めて、Celoの特徴を整理します。
Celoは世界中の誰もが金融にアクセスできる金融包摂を目指すプロジェクトです。そのための特徴を兼ね備えたL1ブロックチェーンの開発をしており、以下の特徴があります。
- 低コストでアクセス可能な金融サービス
Celoは、手数料が低く、リアルタイムで取引ができるモバイルファーストのプラットフォームを提供しています。これにより、銀行口座を持っていない人々でも、Celo経由でDeFiサービスにアクセスすることが可能です。 - ステーブルコインの活用
Celoは、独自のステーブルコインであるcUSDを導入しており、これによって送金や支払いが為替リスクを気にせずに行えます。また、DeFiプロダクトにおいても、cUSDを活用することで、安定した価値を持つ資産で取引ができるようになります。 - DeFiアプリケーションの開発
Celoプラットフォーム上では、Moola MarketやUbeswapなど、DeFiアプリケーションの開発が活発化しています。これにより、Celoユーザーは分散型貸付、分散型取引所、流動性プールへの参加など、さまざまなDeFiサービスを利用できるようになります。 - クロスチェーンの相互運用性
Celoは、Opticsなどのプロジェクトを通じて、他のブロックチェーンとの相互運用性を追求しています。これにより、Celo上のDeFiアプリケーションが、EthereumやPolygonなどの他のブロックチェーンの資産やサービスと連携できるようになります。 - 地域通貨の導入
Celoは、今後さらに多くの地域通貨に連動するステーブルコインを導入することを検討しています。これにより、地域の経済活動や金融サービスがDeFiプロダクトを利用して行われるようになることが期待されます。
Celoの基本的な展望はこの延長線上にあります。チェーン自体の性能向上やCelo独自ウォレットの開発などを進め、関連Dappsを誘致・開発し、エコシステムを拡大します。また、Celoはその技術自体も注目されていますが、その市場規模の大きさとCeloにしか解決できない課題が存在することでも注目されています。
世界中で銀行口座を持たない人はアンバンクトと呼ばれ、世界中に17億人以上存在すると言われています。その人たちはスマホを利用して金融サービスにアクセスすることが主流で、アンバンクト向けのスマホアプリの金融サービスは急成長しています。この市場に挑戦しているのがCeloです。だからこそモバイルから直接ウォレットを生成できる仕組みを開発してモバイルファーストを謳っているのです。
そして、Celoが注目されている理由は「アンバンクト市場が大きく、急成長していること」に加え、「ブロックチェーンを活用することで新しい収益源やインセンティブモデルを構築できること」も期待されているからです。つまり、これまで収益化できないことが理由でサービスが届いていなかった層にもCeloであればサービスを届けられるのではないか、ということです。
事業として運営する以上、収益化は必須です。ブロックチェーンを活用することで今までとは別の収益モデルを構築することが可能となり、例えユーザーから収益をあげることができなくても、全く別のところでエコシステムが機能する可能性は大いにあり得ます。よって、Celoでしか届けられないユーザー層や解決できない課題が存在しているとされており、この先の成長も期待されています。また、ブロックチェーンのプロジェクトはDappsが増えれば増えるほどトークンの利用用途が拡大し、更なるDappsを誘致できるようになるので、今後ますますCeloのエコシステムは拡大していくと予想できます。
以上、Celoの概要を紹介してきました。非常に社会的意義があり、ブロックチェーンを活用することで実現できるサービスでした。今後もその動向に注目していきます!
mitsui
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