イーサリアムとイーサリアムクラシックの比較

仮想通貨をまだ始めたばかりという方の中には「イーサリアムとイーサリアムクラシックの違いがわからない」という方はもちろん、「ビットコインキャッシュがビットコインからハードフォークしたように、イーサリアムクラシックはイーサリアムからハードフォークした通貨だ」と思っている方もいるのではないでしょうか?仮想通貨は特定の管理者が存在せずに分散管理されていることを重視する「非中央集権」の思想が強く、従来の考え方からすると信じがたい自由奔放な一面をもつ文化が形成されています。

イーサリアムやイーサリアムクラシックの誕生の際にも、それぞれのコミュニティの意見が対立したのですが、通常では信じられない主張が繰り広げられた経緯があります。ここでは一つの「イーサリアム」からイーサリアムとイーサリアムクラシックが誕生した経緯について触れながら、それぞれの通貨の特徴や違いについて見ていきましょう。

「イーサリアム」を2つに分裂させたTheDAO事件

イーサリアムとイーサリアムクラシックはもともと、「イーサリアム」と呼ばれる一つのプロジェクトでした。現在のイーサリアムコミュニティとイーサリアムクラシックコミュニティも存在せず、「イーサリアム」コミュニティだけが存在するだけだったのです。この「イーサリアム」はTheDAO事件によって分裂し、ハードフォークして新たなブロックチェーンへ移行したイーサリアムと、もともとの「イーサリアム」のブロックチェーンを引き継ぐイーサリアムクラシックに分かれることとなりました。

自律分散型の投資ファンドTheDAO

2つの仮想通貨を生み出したTheDAO事件について触れる前に、まずはTheDAOについて見ていきましょう。TheDAOとは、イーサリアムのスマートコントラクト技術を用いて中央で管理する者が不在の状況下で自律分散型の投資ファンドの仕組みを実現するプロジェクトで、当時のETH発行総量の約10分の1にあたる約762万ETH(約1億3,232万ドル相当)の資金が集まった大規模なICOでした。TheDAOでは、DAOトークンをイーサリアムの内部通貨であるイーサ(Ether)で購入することでファンドが組成され、その資金をプロジェクトに投資していきます。投資家は保有するDAOトークンに応じて投資先の選定に対する議決権を持てることが特徴です。

    TheDAOの仕組み

  1. DAOでビジネスを行いたい提案者がプロジェクトが提案を提出
  2. キュレーターと呼ばれる管理者が提案を確認
  3. DAOトークン購入者による提案への投票(出資するか否かを選ぶ)
  4. 多数決により可決されると提案者は契約者としてETHを受け取る
  5. DAOトークン購入者は契約者がDAOビジネスから得た利益の一部をDAOトークン保有量に応じて分配される

TheDAOのシステムの脆弱性を突いたTheDAO事件

TheDAO事件の原因となったスプリットと呼ばれるシステムは、DAOトークンをイーサに変換する機能のことです。DAO購入者はDAOの投資方針に賛同できない場合、保有するDAOトークンをプールされているDAOから切り離すことができます。また、この資金は28日間、切り離した先の資金プールから移動はできないという仕様が設定されていました。

TheDAO事件はTheDAOのスプリットの脆弱性を突いて約360万ETH(約8,000万米ドル相当)が盗まれた事件です。近年では一度ブロックチェーンに保存されたスマートコントラクトは脆弱性があっても修正ができないという問題が指摘されていますが、こうしたDAppsの仕様を突いた不正送金の発生は当時の仮想通貨コミュニティに大きな衝撃を与えました。

このハッキングに対する対応をめぐり、「イーサリアム」コミュニティでは大きく3つの対処法が提案され、意見の対立が起きました。①ソフトフォークによりハッカーのアドレスを無効化する、②TheDAOのスマートコントラクトが「正しい」動きをしていた(書かれたプログラム通りに実行された)ことを受け入れハッカーに資金を明け渡す、③ハードフォークにより不正送金をなかったことにする、の3つです。この対応をめぐる議論の結果、「イーサリアム」はイーサリアムとイーサリアムクラシックに分岐する結果となりました。

イーサリアムとイーサリアムクラシック

TheDAO事件を機にハードフォークして誕生したイーサリアム

イーサリアムは、TheDAO事件の対応としてハードフォークにより不正送金をなかったことにすることを選んだブロックチェーンです。「イーサリアム」コミュニティから過半数の賛成を得てハードフォークを実施したイーサリアムは、「イーサリアム」の考案者であり開発者であるヴィタリック・ブテリンを中心に「ワールドコンピューターを実現する」という目的に向かって開発が進められています。分岐した新しいブロックチェーンではあるものの、現在ではこのイーサリアムが時価総額2位を誇る仮想通貨として普及しています。

「イーサリアム」のブロックチェーンを継承するイーサリアムクラシック

イーサリアムクラシックは、問題があったらヴィタリックをはじめとする開発者に頼る対応を非中央集権からかけ離れているという考えから誕生しました。イーサリアムクラシックの特徴は、「TheDAO事件の原因は、あくまでTheDAOのコードに脆弱性があって悪用されただけで、『イーサリアム』のコア技術とも言えるスマートコントラクトに問題があったのではない」とする”Code is Law.”と呼ばれる考え方です。そのため、TheDAO事件の出来事をなかったことにせずにオリジナルの「イーサリアム」のブロックチェーンを継承しています。

イーサリアムとイーサリアムクラシックの違い

利用用途

イーサリアムはスマートコントラクトを導入したDApps(自律分散型アプリケーション)の開発プラットフォームの提供を目指して開発が進んでいます。一方、イーサリアムクラシックはイーサリアムと同様にスマートコントラクト機能を備えているものの、IoTプラットフォームとしての役割を担う開発方針としています。現にDAppsはイーサリアムを利用することが一般的で、結果としてイーサリアムとイーサリアムクラシックはそれぞれ別の用途を目指して差別化が図られている形となっています。

コンセンサスアルゴリズム

イーサリアムは今後、コンセンサスアルゴリズムをPoW(Proof of Work:プルーフオブワーク)からPoS(Proof of Stake:プルーフオブステーク)へ移行する予定です。PoWは電気代を過剰に消費し地球温暖化問題にも悪影響を与えることが問題視されていますが、PoSの導入によってこうした問題が解決されるとヴィタリックは語っています。一方、イーサリアムクラシックは引き続きPoWを採用し続ける予定です。中央管理者を存在させない非中央集権性を重んじるイーサリアムクラシックは重大な問題がない限りはプロトコルレベルの修正を実施しないと公言しており、コミュニティの意見を反映させながら開発を進めるイーサリアムと異なり、開発への姿勢においても2つの仮想通貨に大きな違いがあることがうかがえます。

発行上限

イーサリアムはイーサをユーティリティトークン的な位置づけとしているからか、通貨の発行上限を定めていないことも特徴です。一方で、イーサリアムクラシックでは約2億1000万ETC〜約2億3000万ETCに発行上限が定まっています。一般的に、発行上限がない通貨は市場の供給量が増え続けることで価値は下がり、発行上限がある通貨は市場の供給量が減り続けることで価値が上がるとされています。ヴィタリックはイーサリアムにおいても今後発行上限を設定する可能性について言及しており、注目を集めています。

【参照URL】Ethereum.org
【参照URL】Ethereum classic.org
【参照URL】All that’s new in Classic – October Edition

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