イーサリアムの大きな特徴であるスマートコントラクトは、ブロックチェーンが通貨だけでなく、アプリケーションにも利用できる技術です。スマートコントラクトは、契約や取引を自動で行いブロックチェーンによって契約・取引記録の改ざんを防ぐことで、これまでの組織・社会のカタチに変化をもたらすとして注目が集まる技術です。
イーサリアムのこうした技術は現在進行系で開発が進んでおり、最新の正しい情報をキャッチアップし続けることが難しいという側面もあります。仮想通貨投資ではいまだに誤った情報が出回ることも多く、投資家を巧みに誘導して詐欺を行うものも珍しくありません。正しい情報を自分で精査するためにも、イーサリアムを考案・開発し、現在もイーサリアムプロジェクト推進のために精力的に活動するヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)について知っておくことをおすすめします。
何か新しい情報が出回った際にも「ヴィタリックの考えから照らし合わせておかしくないか?」と考える基準をつくることは、誤った情報に流されないための第一歩となるでしょう。本記事ではヴィタリックの生い立ちから考えまで詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ヴィタリックの生い立ちと略歴
ヴィタリックは1994年1月31日、ロシアのモスクワ州コロムナでコンピュータアナリストの父親とビジネスアナリストの母親との間に生まれました。2000年に父親の仕事の都合でカナダのオントリオ州トロントへ移住し、小学生の頃には既に数学と経済学、プログラミングに秀でていたと言われています。
非中央集権に対する熱意のきっかけ
その後、ヴィタリックは2007年から2010年にかけて、世界最大のMMORPGである「World of Warcraft」で遊ぶ日々だったと言います。しかし、ゲームのアップデートによってヴィタリックのお気に入りだった仕様が突然変更されたことを受け、「中央集権的なサービスの恐ろしさを知った」と語っています。
ビットコインとの出会い
こうした気づきからゲームを辞め、新たに打ち込めるものを探す中で、ヴィタリックは翌年の2011年にビットコインと出会います。当初はビットコインに対して魅力を感じず、ビットコインがどれだけの価値があるものなのかを認識することも出来なかったヴィタリックですが、Bitcoin Weeklyというブログで時給1.5ドルでビットコインに関する記事を書くうちにビットコインに対して深く興味を持つようになりました。
イーサリアムの構想に至るまで
2013年、当時19歳であったヴィタリックは大学に通う傍らで週に30時間以上を仮想通貨プロジェクトに費やすこととなり、大学を退学することを考えたと言います。世界中を周りさまざまな仮想通貨プロジェクトに関わる中で、ヴィタリックは自身が世界を周る中で見てきたプロジェクトのように特定の分野に特化するのではなく、あらゆる目的のために利用できるプラットフォームを作りたいと考えたことがイーサリアムの誕生のきっかけとなりました。この際、ヴィタリックはRipple社への就業も希望したものの、ビザが発給されなかったために断念したと語っています。
イーサリアムの誕生に向かって
2014年、ヴィタリックはPayPal創業者のピーター・ティールが運営するティール・フェローシップを受け大学を自主退学し、イーサリアムプロジェクトにフルタイムで関わることとなります。ティール・フェローシップは「起業を志す20歳未満の優秀な若者20人に、10万ドルずつを与える」というプログラムで、2年間のプログラム期間中は学校または大学をドロップアウトすることを参加条件としていました。
ヴィタリックが今もイーサリアムの開発を続ける理由
ヴィタリックは現在でも精力的にイーサリアムプロジェクトを推進していることで有名です。有名な仮想通貨プロジェクトであっても創業者がドロップアウトを匂わせる発言をすることも珍しくない中、何がヴィタリックを突き動かしているのでしょうか?
ヴィタリックはWIREDのインタビューに対して、以下のように語っています。
「ブロックチェーンの魅力は、これまでとはまったく異なる方法でアプリケーションの構築を行えるところにある。ぼくを惹きつけてやまないのは『分散型』というアイデアだ。フェイスブックのようなひとつの企業にコントロールされるネットワークの代わりに、人々がコラボレートすることでできるネットワークを構築することができる。ひとつの会社やひとりの人間に支配されることはない。そしてそこには、より効率的で、より公平なマーケットが生まれる可能性がある。人々のやりとりが透明化されて、攻撃されにくい、よりレジリエントなシステムが生まれる可能性がある。それらすべての特徴が、人々のためになると思う。」
【引用元】「Ethereum & the Power of Blockchain 分散の力 ヴィタリック・ブテリン、かく語りき」
また、仮想通貨やブロックチェーン関連のビジネスリーダーが集まるDeconomy 2018のインタビューで、ヴィタリックはイーサリアムの魅力についても語っています。
インタビューではイーサリアムをスマートフォン、ビットコインを電卓に例えて、イーサリアムでは大量のアプリケーションを持つことが可能であること、ビットコインのように単一の目的で利用される従来のブロックチェーンの概念を変えることの重要性について語りました。ヴィタリックはインタビューに対して「ビットコインにおけるブロックチェーンの価値である『価値の保存』『価値の移転』『検閲耐性』は、ブロックチェーンのもつ価値の一部に過ぎない」と答えており、「イーサリアムは各ユーザーごとのトランザクションの価値は小さいが、ユーザー数が多いことで総合的に高い価値を持つ。イーサリアムは、100万人の生活を”完全に”変えてしまうものでなく、1億人の生活を劇的に変え、数億人以上の生活を顕著に変える」と語っています。
世界が注目するヴィタリック
ヴィタリックは、2016年に世界120か国で約500万人に米国最大のビジネス誌Fortuneの「40 Under 40」に、2017年には米国の大手経済・金融情報メディアであるブルームバーグの「2017年で世界に一番影響力を与えた人物の50人」に、2018年には世界有数の経済誌として影響力のあるForbesの「30 Under 30」に選出されています。
ヴィタリックはいまや仮想通貨の世界にとどまらずに世界中から注目を集める時の人で、これからのイーサリアムにも期待が集まっていることがうかがえます。
【参照記事】https://about.me/vitalik_buterin
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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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