スウェーデンの新興電池メーカーであるノースボルトは1月16日、グリーンローン(#1)により50億ドル(約7,400億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、欧州初のサーキュラーエコノミーを実現するギガファクトリーおよびリサイクル工場を拡張する。
ノースボルトは今回、50億ドルのノンリコースローン(#2)に調印した。この取引は、欧州のグリーンローンとしては過去最大規模となる。今回の資金調達により、ギガファクトリー「Northbolt Ett」の正極・セル生産を拡大させるほか、隣接するリサイクル工場「Revolt Ett」を拡張できる。
Revolt Ettでは、採掘された原料よりもカーボンフットプリントが70%低いバッテリーグレードの金属を回収する。これにより、これまでアジア以外には存在しなかった、完全に統合されたサーキュラーエコノミーを実現するバッテリー生産体制を構築できる。
契約には、2020年7月に調達した16億ドルの債務パッケージのリファイナンスを含む。BMWやフォルクスワーゲン・グループなどパートナー企業との550億ドル超の長期オフテイク契約を踏まえ、巨額の資金を調達した形だ。
資金は、商業銀行23行、欧州投資銀行(EIB)、北欧投資銀行(NIB)から構成されるグループによって提供する。EIBおよびNIBは、欧州委員会(EC)が主導する投資促進策「インベストEU」プログラムの支援を受けている。
また、融資枠のかなりの部分は、スウェーデン国債局、ユーラー・ヘルメス、韓国輸出入銀行(KEXIM)、日本貿易保険(NEXI)および韓国貿易保険公社(K-Sure)が提供する直接資金と組み合わせた一定の保証でカバーされる。
今回のグリーンローン契約は、ノースボルトが2023年に創設したグリーン・ファイナンス・フレームワークを通じた最初の融資となる。同フレームワークは、持続可能性とサーキュラーエコノミーへのコミットメントを反映しており、外部評価機関のオスロ国際機構研究センターCICEROから最高評価となる「ダークグリーン」に分類された。
ノースボルは現在、欧州と北米での事業を拡大させるべく、エクイティおよびデッドファイナンスにて130億ドル以上の資金を調達している。
(#1)グリーンローン…環境改善効果のある事業に要する資金を調達する際に受ける融資。
(#2)ノンリコースローン…特定の事業や資産から生じるキャッシュフローのみを返済原資とするローン。
【参照記事】*1 ノースボルト「Northvolt raises $5 billion to enable expansion of first circular gigafactory in the western world」

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