米起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙スタートアップのスペースXと米通信大手Tモバイルは1月3日、衛星とスマートフォンの直接通信「Direct to Cell」を可能とする衛星の初打ち上げに成功した(*1)。現在、通信手段がない地域でメッセージの送受信などを利用できるようにする取り組みが大きく前進した形だ。
両社は昨年、スペースXの衛星通信を活用したインターネットサービス「スターリンク」にTモバイルのスマートフォンを接続可能にする計画「Coverage Above and Beyond」を発表した。山間部や荒野など圏外からでも衛星通信でメッセージを送れるようにすることを目的とする。どのプロバイダーからもスマーフォンの電波が届かなかった場所、いわゆるデッドゾーンを含む米国の殆どのエリアをカバーする。
今回の打ち上げ成功を受け、Direct to Cell技術を搭載したスペースXの衛星とTモバイルの業界をリードするワイヤレスネットワークを活用した新サービスのフィールドテストが間もなく開始される。
この新サービスの提供が実現すれば、デッドゾーンを心配したり、高価な衛星電話を持ち歩いたりする必要なく、顧客が最も必要とする時に、最も必要とする場所で通信できるようになる。当初はテキストメッセージの送受信から始め、数年後に音声とデータ通信を提供する予定だ。
Tモバイルのマーケティング・戦略・製品担当プレジデントを務めるマイク・カッツ氏は「私たちの使命は、顧客と世界を繋ぐことで世界一になることであり、今日もまた、顧客が最も必要とする時に安心感を得られるよう、最も離れた場所でも接続を維持するための新たな一歩を踏み出した。今日の打ち上げは、スペースXや世界中のパートナーとの画期的な提携にとって極めて重要な瞬間であり、デッドゾーンを過去のものにするための取り組みである」と述べた(*1)。
Tモバイルの他、KDDI、オーストラリアのオプタス、ニュージーランドのワンNZ、カナダのロジャーズという5社の無線通信事業者が、スターリンクを活用した「Direct to Cell」サービスの提供を予定している。この取り組みには、グローバル・コネクティビティという共通の目標を持つあらゆる通信事業者が参加することができる。
【参照記事】*1 Tモバイル「First SpaceX Satellites Launch for Breakthrough Direct to Cell Service with T-Mobile」

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