仏エネルギー大手のトタル・エナジーズ(ティッカーシンボル:TTE)と水ビジネス世界最大手の仏ヴェオリア(VIE)は2月2日、ヴェオリアが15カ国で運営する廃棄物・水処理施設から排出される有機性廃棄物を原料とし、バイオメタンを製造することでパートナーシップ契約を締結した(*1)。バイオメタンは天然ガスを代替する再生可能ガスとして注目されている。
両社は2025年までに年間最大1.5テラワット時(TWh)のバイオメタンの製造を目指す。これにより、50万人の年間平均天然ガス消費量に相当するバイオメタンを製造し、年間20万トンほどの二酸化炭素(CO2)の排出を回避できる見込みである。トタル・エナジーズはバイオメタンをモビリティ向けの再生可能燃料として、もしくは他の用途向けに天然ガスの代替として供給する方針だ。
パートナーシップを通じ、ヴェオリアはバイオガスの製造・処理に関する専門性を、トタル・エナジーズはバイオメタンのバリューチェーン全体に関する深い知識を提供することで、バイオメタンの製造ノウハウを共有する。
トタル・エナジーズのガス・リニューアブル&パワー部門プレジデントを務めるステファン・ミケル氏は、バイオメタンの製造を通じて廃棄物を再生することで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進していくと述べた。また、この取り組みは総合エネルギー企業へと転じ、再生可能分野で有力プレーヤーとなるための一環であるという(*1)。
ヴェオリアのブラクリアノフ最高執行責任者(COO)は、トタル・エナジーズとのパートナーシップはエコロジー転換の一環として脱炭素を進めるためのソリューションを提供すると述べた。また、同社は世界各国で6TWhのバイオガスを一次エネルギーとして供給するなか、今回の取り組みを通じてバイオメタンのバリューチェーンにおいてリーディングプレーヤーになることを目指すという(*1)。
フランスを代表する両社が手を組み、よりクリーンなエネルギーであるバイオメタンを製造することで、サーキュラーエコノミーを推進することに期待したい。
【参照記事】*1 トタル・エナジーズ「TotalEnergies and Veolia Join Forces to Accelerate the Development of Biomethane」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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