ベネズエラ政府の顧問は、同国の原油を担保とした仮想通貨を私募で最大60%割引で販売することを勧めている。2月15日から額面価額にして23億米ドル相当となる3億8400万ペトロが販売される可能性がある。Bitcoin.comが報じた。
新しく形成されたベネズエラ政府の諮問委員会であるVIBEは、同国の原油を担保とした仮想通貨の販売開始の方法についての助言を提供したと伝えられている。政府に近い仮想通貨の専門家で構成されているとされるVIBEは、2月15日から60%割引で私募で約23億米ドル相当となる3億8400万ペトロを販売することを助言した。その1か月後にはさらに27億米ドル相当の4400万ペトロが販売される予定だという。
ロイターが入手した文書では「残りは政府とVIBEの間で分けられるべき。」とあり、さらに「政府がペトロで納税を受け入れることを提案し、国営石油会社PDVSAは外国企業との取引に仮想通貨を組み込む。」と述べられている。
今月初め、ベネズエラのNicolas Maduro大統領は、新たな仮想通貨の担保に50億バレルの原油を割り当て、1億ペトロの発行を命じた。この問題に近い情報筋によると、政府顧問が提案を議論しているが、承認されたかの確認はとれていない。
ベネズエラに埋蔵される原油、金、天然ガス、ダイヤモンドが担保に同国の仮想通貨の創設が、12月初めに同大統領により発表された。ペトロはベネズエラの原油1バレルと同価格で販売される。バレル当たり平均価格が60.40米ドルだとすると、発行される1億ペトロの価値は60億米ドル以上に達するだろう。同大統領がペトロ発行準備を整える一方、同国の対抗勢力の野党議員は、新通貨に「埋蔵される原油を使用することは違法で、政府による違法債券発行だ。」と主張。
ペトロは、イーサリアム・ネットワーク上のトークンで、販売開始前に予めマイニングされるという。ベネズエラ政府によるものかは未確認だが、同ネットワーク上で1月13日、ペトロという名で1億トークンの発行がみられた。同大統領は、ペトロの発行を前に、「財政政策の中心はペトロの統合です。この仮想通貨は人類の未来であり、ベネズエラは未来に突入した。」と宣言した。
仮想通貨はテロ組織や犯罪組織の資金源やマネーローンダリングに悪用される懸念の声があるが、今回のベネズエラのケースは、困窮した国家が財政再建に利用する例だ。米国やEUが同国に制裁を科すなかでのことで、賛否両論あるものの、仮想通貨を既存の国家が中央集権的に管理運営する数少ない試みだけに、仮想通貨の今後の方向性を占う上でも注目だ。
【参考記事】Venezuela Considers Selling Its ”Oil-Backed” Cryptocurrency With a 60% Discount
【関連ページ】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法(ETH)
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