英環境NGOのWRAPとコンサルティング会社OC&C Strategy Consultantsが7月18日に発表した調査によると、サーキュラーエコノミー戦略を採用する英国企業200社のうち60%が耐久性や修理可能性を重視した製品設計を行っていることが明らかになった。同調査では、2020年以降、循環型産業がリニア型産業より3.1ポイント高い成長率を示しており、サーキュラービジネスモデルがリニア型競合企業の最大2倍の成長を達成していると報告している。
調査は英国企業200社と消費者1500人を対象に実施され、サーキュラービジネス戦略が財務パフォーマンスの改善と将来の不確実性への対応に寄与していることを示した。サーキュラーデザインが最も一般的な戦略となっており、企業の収益成長、競争優位性、コスト削減を実現している。投資家もサーキュラービジネスモデルを重視しており、2023年には循環経済ベンチャーへの投資件数が前年比42%増の184件に達した。
具体的な成功事例として、ドイツの家電メーカーのミーレは20年の製品寿命を設計することで市場平均(10~15年)を上回り、競合他社より25~50%の価格プレミアムを実現している。英国の家電小売チェーン・カリーズは修理サービスで売上の15%を占める年間140万件の修理を実施し、オンライン競合との差別化を図っている。また、フィリップスは病院向けMRIスキャナーをサービスとして提供し、遠隔操作での問題解決率35%、初回修理成功率82%を達成して年間135時間の追加稼働時間を創出している。
サーキュラーエコノミーへの移行は気候変動対応とサプライチェーンの強靭性確保において重要な戦略となっており、早期導入企業が競争優位を築く一方で、従来型ビジネスモデルを継続する企業は将来的な混乱リスクに直面する可能性が指摘されている。
【参照記事】Are UK Businesses Leaving Money on the Table?

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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