英国の大手スーパーマーケット9社は7月14日、使い捨て包装を削減するため、詰め替え可能な容器(プレフィル)を使った商品販売の共通システム構築に向けた共同声明を発表した。アルディ、アスダ、コープ、リドル、モリソンズ、オカド・リテール、セインズベリー、テスコ、ウェイトローズの主要チェーンが参加し、英公的助成機関のInnovate UKや環境NGOのWRAPらが支援する。店舗とオンラインの両方で、どの店でも使える統一的な詰め替えシステムの実現を目指す。
今回の取り組みの背景には、環境負荷と経済的メリットの両面がある。環境コンサルティング企業GoUnpackagedの試算によると、対象商品の30%を詰め替え式に移行するだけで、英国全体で年間1億3600万ポンドの包装材に関する拡大生産者責任(EPR)コストを削減でき、CO2排出量も95%削減できるという。これは、使い捨て包装の製造・廃棄に伴う環境負荷が、詰め替えシステムによって大幅に軽減されることを示している。
小売業界団体の議長を務めるジェームズ・ブル氏は「英国の小売業者と消費者にとって、詰め替えシステムの実現は協力と共通目標なしには達成できない」と述べ、今回の共同声明がサプライチェーン全体に向けた重要なシグナルになると強調した。英国Innovate UKのポール・デビッドソン氏も、「相互運用可能なシステムの構築は論理的な次のステップ」と評価し、3日間のイノベーションラボを通じて小売業者間の協力体制を構築したことを明らかにした。
WRAPのキース・ジェームズ氏は「詰め替え可能な包装が標準となる未来への大胆な一歩」と述べ、小売業者と政府が共通の目的を持って協力することで実現可能になると指摘した。9月にはブランドやメーカー、サプライヤー向けのウェビナーを開催し、より広範な業界関係者の参画を促す予定だ。2030年までの使い捨て包装削減を目標に、英国小売業界は循環型経済への転換を加速させる構えだ。
【参照記事】UK’s largest grocery retailers set sights on prefill to take more single use packaging off shelf

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- EU、電池メーカーの環境デューデリジェンス義務を2年延期へ - 2025年7月25日
- 世界で広がるゼロウェイスト認証、ブラジルで新たに6社が取得 - 2025年7月24日
- 英国企業の60%が修理可能な製品設計、循環経済で成長率3.1ポイント向上 - 2025年7月24日
- 英スーパー大手9社、詰め替え容器で使い捨て包装削減へ 業界横断システム構築目指す - 2025年7月24日
- 金融機関の脱炭素目標設定、化石燃料からの移行方針義務化へ。SBTi最終基準発表 - 2025年7月23日