三井住友DSアセットマネジメント株式会社は5月7日、新型コロナウイルスの影響を踏まえた当面の国内株式議決権行使の方針を公表、当面の間、国内株式の議決権行使にあたっては個別企業の実態などを踏まえ、判断基準を弾力的に運用するとともに、状況に応じて株主総会の延期や2段階方式での開催などに柔軟に対応すると表明した。また、5月以降に開催される株主総会は、コロナ禍が依然大きなダメージを与えている業種・企業が存在する一方で、既に成長軌道に回帰しつつある業種・企業も散見されることから、個別の実態を踏まえた議決権行使判断を引き続き行うこととした。
併せて、投資先企業に対しては、企業自身のサステナビリティ(持続可能性)に関わる情報開示や、サステナビリティ課題に対するロードマップ策定、経営トップのコミットメントなどを「建設的な対話」を通じて働きかけるとともに、将来的にはそれらの趣旨を議決権行使判断基準に反映させるという方向性を打ち出した。2050年までにカーボン・ニュートラルを目指す日本政府の方針および再改訂版コーポレートガバナンス・コードの趣旨などを踏まえた。
今後は東京証券取引所の新市場区分の適用開始に際して、プライム市場上場企業に対しては一段高いガバナンス態勢を求めることも盛り込む。これらの点を踏まえて議決権行使判断基準の詳細を今後策定し、将来の適切な時期に改めて開示するとしている。
具体的な国内株式議決権行使の当面の方針、および今後の方向性に関する考え方は①ROE・剰余金処分(配当)・業績の各基準数値の機械的な適用を行わず、議決権行使対象企業の手元流動性・事業の状況等の実態を踏まえた行使判断を行う②行使対象企業に対し、事業継続可能性を重視するとともに、今後のニューノーマルな経営環境に対応し、自社のサステナビリティを考慮した、事業戦略やビジネスモデルへの見直し等に関する考え方を広く情報開示することを働きかける③気候変動や人権など、ESG(環境、社会、企業統治)情報開示に関する株主提案について、株主提案が求める開示内容、範囲、項目が適切と判断できる場合には肯定的な判断を行う④株主総会の開催形式等に関しては、バーチャル株主総会など弾力的な運営を許容するが、株主権利を著しく損なった場合などには、その後の株主総会で経営トップの取締役再任議案等において否定的な判断を行う――とした。
今後の方向性として、再改訂版コーポレートガバナンス・コードの趣旨などを踏まえ、一定期間経過後も、自社のサステナビリティにかかわる十分な情報開示、ロードマップ策定、経営トップのコミットなどがなされない企業に関しては、経営トップの取締役再任議案には否定的な判断を行う。また、内部統制や様々なリスク管理の重要性を踏まえ、取締役選任議案、監査役選任議案の行使判断にあたり、取締役会、監査委員会、監査等委員会、監査役会の実効性等を反映する。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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