世界の投資家はESGを重要視するも、評価とデータが課題。モルガン・スタンレー調査

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モルガン・スタンレー・サステナブル投資研究所とモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは5月29日、サステナブル投資の動向、動機、課題、実践アプローチに関するレポート「サステナブル・シグナル」を発表した。対象は世界110の公的年金および企業年金、基金、財団、政府系ファンド、保険会社、その他の世界の大手資産保有者で、うち92%は総保有資産高が10億ドル超。過去6年間のサステナブル投資の動向を追跡してきた同研究所調査をベースとしている。

世界の資産保有者の多くはESG(環境、社会、ガバナンス)要因を積極的に投資プロセスに組み込んでいる。サステナブル投資を積極的に検討している資産保有者は2017年の70%から19年には80%に増加。さらに、10人中約6人(57%)が、ESGに対する正式なアプローチを有する投資運用会社にのみ資産を割りあてる時代となる、と想定している。

資産保有者の45%が社会的および環境的利益は、財務的利益と同じくらい重要であると考えていた。しかし、33%は、ESG目標に対する投資を評価するための適切なツールが不足していると感じている。また、29%は、質の高いデータの欠如を持続可能な投資の障壁として挙げた。

テーマ型投資やインパクト投資を行う資産保有者のうち88%が環境をテーマとして関心を持っている。重視する環境問題は、気候変動、水関連技術、プラスチック廃棄物、循環経済だった。社会問題では、ジェンダー多様性と教育が最優先事項となった。

環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報を、投資意思決定プロセスに組織的に統合する「ESG統合」への需要も高まっている。サステナブル投資を採用または検討している10人中9人がESG統合を適用していた。同研究所の最高持続可能性責任者兼最高経営責任者(CEO)のオードリー・チョイ氏は調査結果から「持続可能性の統合を推進する主要な動機としてリターンの可能性を挙げる資産保有者が増えており、多くの資産保有者は、正式な持続可能性アプローチを持つ運用会社にのみ資産を割り当てる未来を想定している」とコメント。また、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント副会長のテッド・エリオポロス氏は、「ESG基準に基づいて投資先を評価するためには、より適切な報告とデータが必要。投資運用会社は、投資が持続可能性目標にどの程度沿っているかを評価するツールで顧客をサポートできるだろう」と示唆する。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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