帝国データバンクは7月14日、独自調査「SDGsに関する企業の見解について」の結果を発表した。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の国連サミット採択から5年を経て民間企業の経営指針としての浸透を調べるため、TDB景気動向調査6月調査とともに実施。調査期間は6月17日~30日、調査対象は全国2万3681社、有効回答企業数は1万1275社(回答率47.6%)。
自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は8%で、「意味もしくは重要性を理解し、取り組んでいる」(16.4%)と合わせて24.4%がSDGsに積極的だった。一方、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」(32.9%)が3割超、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」(14.8%)も含めると、半数近くがSDGsを知りつつも取り組んでいないという結果だった。
SDGsの17目標のうち現在力を入れている項目(複数回答)は、目標8の「働きがいも経済成長も」が27.1%でトップに。次いで「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(15.9%)、「つくる責任つかう責任」(14.8%)が続いた。「働きがいも経済成長も」については、今後最も取り組みたい項目(単一回答)でも14.8%で最多だった。
SDGsの達成への貢献によって向上される企業価値では、「企業好感度」が53.3%(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)でトップだった。「社会的評価」も50.4%となり、SDGsによって社外からの見られ方に好影響があるとの意見が浸透している。達成に向けて付加価値を生むために取り組みたいテーマとして、「顧客・人財確保」(33.8%)、「適正な労働時間・環境・内容」(30.0%)といった人材に関連する項目が上位となった。「企業経営上大切にしていること」の上位3項目を尋ねたところ、「顧客・従業員満足度」が総合ポイント 3.32 点となり、企業経営を行う上で最も大切にしている結果となった。次いで「自社事業拡大」が同2.22 点で2番目、「社会貢献」が同1.49 点で3位となった。
「SDGs に積極的な企業は4社に1社。注力する目標で『働きがいも経済成長も』の割合が最も高いのは、既に取り組みが進められている『働き方改革』に関連した目標であることが一因」と同社は分析。また、SDGs 達成に向けて付加価値を生むインパクトの大きいテーマとして、顧客・人財確保や適正な労働時間のようなヒトに関する項目や、原材料・生産工程への配慮といった環境面があげられている点にも注目。今後は「SDGsに取り組む企業を増やすためには、SDGsと企業活動とのつながりを示すなど、企業が取り組みに前向きになるような働きかけやきっかけの提供が必要」とまとめた。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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