シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は3月22日に発表したレポート「レジーム・シフト(構造変化):新時代への投資」で、投資家が今後ポートフォリオ構築のアプローチを再考する必要があるのかを考える上で、どのような構造変化があったのか、今後どのような構造変化が予想されるのかを解説している。
2022年はインフレと成長に対する懸念から株式と債券は共に下落した。同社は「マクロ経済のメガ・トレンドが将来のリターンにより大きな影響を与える可能性がある。数十年間に渡り機能していたポートフォリオ構築のアプローチを再考する必要があるのではないかという懸念は理解し得る」と示唆。複数の主要なトレンドが中期的な投資に対する見通しを形成すると思われるが、これらを『レジーム・シフト』と総称した。
そのうえで①中央銀行は成長よりもインフレ管理を優先②政府はより積極的な財政政策で対応③グローバル化に生ずる新たな問題④企業はテクノロジー投資によってコスト上昇に対応⑤気候変動対応の加速――というトレンドを挙げ、流動性資産について、レジーム・シフトが及ぼす投資への影響、相関への影響、および投資家がこれらのテーマをどう考慮すべきか、について考察している。
高インフレ、高金利、および株式と債券市場の順相関という新たなレジームの結果として、資産配分においては①順相関が継続②逆相関への回帰という二通りの変化を予想。順相関が継続すれば、コア資産の一部としてコモディティや他のオルタナティブ・リスク・プレミアムを含めることを検討すべきとする。逆相関へ回帰する場合、分散投資は引き続き重要だが、マクロ要因に左右されない資産クラスの必要性は低下する。期待リターンが低下すれば、投資家はリターンを創出するために一層の努力が必要となり、リターンを創出するための更なる分散アプローチの実施とアルファをより重視する、と見立てている。
今後は「ポートフォリオ構築プロセスにおいて、様々な資産クラスが相互にどのように影響を及ぼすのかを理解することは必要不可欠。現在のような株式と債券の相関であれば、ポートフォリオ構築のプロセスは見直す必要があり、特にリスク管理において予測に基づくアプローチを利用する場合、株式と債券の順相関を前提条件としてどのように組み込むことができるのかを検討する必要がある」と主張。これは平滑化された過去の平均的相関にのみ依存するのではなく、株式と債券の順相関という将来予測の仮定を含むシナリオ分析をポートフォリオに実施することを意味する。そのうえで、アセット・オーナーに対しては「相関が不安定な場合、自らの戦略的ベンチマークに対して大幅に資産配分を変更する必要がある」と促した。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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