英国の資産運用シュローダーが世界の機関投資家を対象に実施する「シュローダー機関投資家調査2022」(8月26日公表)で、暗号資産への投資について、世界の機関投資家の2割が「今後12ケ月間で投資を検討する」と関心を示した。また、インパクト投資がサステナブル投資の重要な柱とみなされていることが明らかになった。
調査の対象は28の国/地域の770の機関投資家で、今回は22年3月に実施。対象とする機関投資家の運用資産総額は約27.5兆ドル。調査では、インフレ率と金利上昇、地政学的不透明感などを背景に、世界の投資家のリターンに対する慎重姿勢が明らかになった。
しかし、暗号資産への投資については、全体の20%が投資していないが今後12ケ月間で投資を検討すると思う」と回答。暗号資産への投資姿勢は地域によって異なり、中南米では「現在投資している」と「今後12ケ月間で投資を検討する」を合わせると約6割を占めた。
また、世界の機関投資家のうち約半数(48%)が、サステナビリティを実現するために望むアプローチとしてインパクト投資を挙げており、2020年の34%、2021年の38%から大幅に増加。インパクト投資が、ESGインテグレーションやポジティブ・スクリーニングと並んで、サステナブル投資の重要な柱とみなされていることが明らかになった。同社は「運用プロセスへのESGインテグレーションは、投資家に最も好まれるアプローチとしてさらに定着している」と読む。
各国政府や企業による脱炭素に向けた動きがみられる中、エネルギー移行に焦点を当てた投資ソリューションに対する需要の高まりは、今回の結果にも反映されている。さらなるサステナブル投資に必要なものとして、世界の投資家のうち59%が「エネルギー移行に伴う新たな投資機会」と回答。アジア・パシフィック地域では62%と、世界全体に比べて割合が高い。
サステナブル投資を行う上での課題として、パフォーマンスに対する懸念を挙げた投資家は53%で、前年の38%から大きく増加した。21年までパフォーマンスに対する懸念を挙げる投資家の比率は前年比低下傾向で推移しており、これが反転した背景には、厳しい市場環境があると同社は考えている。
地域別に見ると、特に、アジア・パシフィック(21年42%、22年61%)と中南米(21年35%、22年66%)で、パフォーマンスに対する懸念を挙げる割合が増加した。また、課題として「透明性のある報告データの欠如」を挙げる投資家は53%に上り、サステナブル投資を妨げている主な要因の1つと認識されていることが示された。

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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