インパクト投資で重要な4つのテーマとは。シュローダーが実際の投資事例交え解説

※ このページには広告・PRが含まれています

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は7月3日、インパクト投資に関するレポート「インパクト投資の舞台裏:投資家の資本がサステナブルな未来を築く4つの投資機会」を公表した。

「公平な社会の実現と、地球環境の保全を支援したいと考える投資家が取り得る選択肢は、急速に拡大している。このような選択肢を前に、投資家の中には、自分たちの資本の活用法に関して、どれだけ見極めることができるのか。インパクトを重視した戦略への投資を決定した後はどうすればよいのか?」と提起し、クライアントのサステナビリティとインパクトの目標を具体的に実現するために、シュローダー・キャピタルのインパクト投資に関する専門家3名が、サステナブルな変化を構築するためにプライベート市場が果たす重要な役割を解説、投資家の資本を活用する方法、さらに4つの投資機会について説明している。

「投資家は、インパクト投資を実施する際に4つの主要なテーマに焦点を当てることで、より高いインパクトの創出を達成できる」。シュローダーのグループ企業であるブルーオーチャードのインパクト・マネジメント・ヘッド、ヴェロニカ・ジュスティ・ケラー氏は解説する。4つのテーマは①気候変動抑制(Climate Change Mitigation)②循環型経済(The Circular Economy)③気候変動適応(Climate Change Adaptation)④ソーシャル・インクルージョン(Social Inclusion)。

このうち、気候変動抑制の投資は、温室効果ガス排出の削減、防止、または回収に役立つ投資機会を特定し、評価する手法。これは、持続可能な輸送、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、または自然資本への投資などを通じて実現することが可能。

事例として、ブルーオーチャードでは、欧州最大の水耕栽培の温室を建設するプロジェクトに投資を実施した。建物は、サッカーコート55面分を超える規模を持つ。このプロジェクトは、廃水処理施設からの廃熱を利用し、作物の炭素強度を75%も削減し、生産性を約50%向上させる目的。水耕栽培は畑作に比べて水の使用量は10分の1で、農薬の使用も不要となる。

一方、気候変動適応について、このテーマへの投資は「個人、中小企業、地域社会の気候変動に対する耐性や回復力を向上させる方法を見つけること」と定義。具体的な例としては、気候保険ソリューションを提供する企業や、気候保険や気候リスク評価へのアクセスを改善する新しい技術に投資することが挙げられる。ブルーオーチャードでは、エマージング国で農業を営んでいる人々が、農業への備えに不可欠なリスクデータを取得できるよう手軽に使える携帯電話の活用を支援している。このシステムは、必要不可欠な天候追跡データと、収穫量向上に役立つ農業アドバイスを提供。例えば、降雨傾向に関する情報により、農家の人々は灌漑や農薬の散布についてより適切な判断を下すことができるようになる。

ソーシャル・インクルージョンは「社会的包摂」と訳される。このテーマへの投資とは、貧困層に対する経済的成長機会や金融サービスへのアクセス改善を提供することで、包摂的で公平な社会に貢献する投資を指す。サステナブル・インフラや社会住宅へのアクセス、雇用の創出や維持のためのソリューションなど、さまざまな投資が想定される。

シュローダー・グループの不動産投資チームは、管理するビルの環境特性を向上させるとともに、周辺地域の経済的・社会的活力を高めるインパクトのある方法を見出しているという。ロンドン南部では、オフィスビルに加え、住宅や地域の公共施設、小売店などを新たに建設するプロジェクトを進める。プロジェクトは、ビル1棟を対象とすることもあれば、町の中心部から周辺エリア全体までを対象とすることもある。「ネットゼロを目指す上で重要な方策」と位置づけ、注力している。

「サステナビリティへの投資の成功は、インパクトとESG(環境・社会・企業統治)の管理システムの強固さによって決まる。これら4つの重要なテーマがサステナビリティの旅路におけるガイドとなり、資本を意義あるものに振り向ける助けとなるだろう」と同氏はしめくくっている。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 ESG・インパクト投資チームは、ESGやインパクト投資に関する最新の動向や先進的な事例、海外のニュース、より良い社会をつくる新しい投資の哲学や考え方などを発信しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」