英国のバッテリー開発企業Pacific Greenは、オーストラリアのエネルギー小売企業Zen Energyと、豪州3州にまたがる合計1.5GWhのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)プロジェクトに関する10年間の長期電力購入契約(トーリング契約)を締結したと発表した。太陽光発電業界に特化した技術・市場動向を報じる専門メディア「pv magazine Australia」が、8月6日付で報じた。
今回の契約はビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州に建設予定の3つのBESSプロジェクトを対象としている。この契約は、Zen Energyのような事業者がバッテリーの充放電の権利料を支払うもので、プロジェクトのデリスク化と資金調達の確保に役立つ一般的な戦略となりつつある。Pacific Greenにとって、この契約は同社がオーストラリアで展開する7GWh規模の開発ポートフォリオの市場投入を大幅に加速させ、安定した収益経路を確保するものだ。
Pacific GreenのグループCEOであるスコット・ポーター氏は、「この枠組み合意は、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州における当社の開発ポートフォリオの大部分を保証するのに役立ち、プロジェクト開発プロセスを事業化することを可能にする」と述べた。一方、ZenのCEO、アンソニー・ガーノー氏は、この契約が市場の変動性を管理し、増え続ける法人顧客へのサービス提供に役立つと述べ、持続可能性を重視する顧客の24時間365日の電力要件を満たしながら、エネルギー転換に伴う価格変動を緩和できるとした。
両社の関係は今回が初めてではない。Zenは以前、Pacific Greenが開発した南オーストラリア州のライムストーン・コースト・ノース蓄電パーク・プロジェクトのオフテイク契約を締結している。Pacific Greenは、同プロジェクト(250MW/500MWh)を2025年3月にPalisade Investment Partnersが管理するIntera Renewablesに売却した。同社は、ビクトリア州のポートランド・エナジー・パーク(1,000MW/2,500MWh)や、ワガワガに土地権利を取得したニューサウスウェールズ州初のプロジェクトなどを開発パイプラインに持っている。
これらのプロジェクトは、オーストラリアを重点市場として、世界で12GWh以上のBESS容量を展開するという同社の広範な目標の一環だ。
【参照記事】Pacific Green and Zen Energy sign 1.5 GWh BESS tolling agreement

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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