インドの環境シンクタンク「科学環境センター(CSE)」は8月3日、プラスチック汚染防止条約の条文案「第5条(プラスチック製品の設計)」が、サーキュラーエコノミーの実現に不可欠であるものの、その野心と具体性に欠けていると分析する報告書を発表した。同報告書は、製品設計に関する義務をめぐり各国の見解が収斂しつつある一方で、世界共通の最低基準や統一された性能要件が欠如している現状が、条約の体系的な変革を推進する能力を損なう恐れがあると指摘している。
報告書によると、製品設計の義務化については、多くの国々で意見が一致してきている。欧州連合(EU)、英国、フィリピン、インドネシア、米国を含む国々は、法的拘束力のある措置を明確に支持しており、締約国会議(COP)が分野別のアプローチを通じて世界的な設計基準を策定することを提案している。これにより、上流のイノベーションと下流の廃棄物管理システムを支える予測可能な枠組みの構築を目指している。
一方で、サウジアラビア、インド、ブラジルなどの一部の国々は、各国の状況や既存の基準、国内規制機関の役割を理由に、自主的なアプローチを主張している。これらの国々は、国内の柔軟性が重要であるとしつつも、それが協調性を損ない、リサイクルや管理が困難な製品の普及を許す結果になってはならないとされている。中国やトルコは、国家の優先事項や能力に言及しつつ、拘束力のある文言を支持することでバランスを取ろうと試みている。また、アフリカングループは、分野横断的に適用可能な統一された設計基準とクライテリアの必要性を強調し、世界共通の枠組みを求めている。
CSEは、今後の交渉では、世界共通の設計基準、分野別の実施メカニズム、そしてCOPの制度的権限について、各国が共通の認識を見出す必要があると結論付けた。条約第5条の強化は、製品スチュワードシップを実用化し、大規模なサーキュラーシステムを実現するために不可欠である。
【参照URL】GLOBAL PLASTIC TREATY NEGOTIATIONS
【参照記事】Global Plastic Profiles 2025: Article 5 recognises importance of product design but is misaligned with ambition
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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