地熱発電大手の米Ormat Technologies(NYSE: ORA)は9月2日、2024年サステナビリティレポートを発表した。同社の事業を通じて回避されたCO2排出量は約249万トンと、自社の温室効果ガス排出量の11倍を上回り、気候変動対策への貢献を強調した。創業60年を迎えた同社は、2028年までに総設備容量を現在の1.5GWから2.6-2.8GWへと拡大する計画を示している。
同レポートによると、Ormatの2024年末時点の再生可能エネルギー設備容量は、地熱1,070MW、蓄電290MW、太陽光128MW、再生可能エネルギー回収50MWの合計1,538MWとなった。温室効果ガス排出削減では、スコープ1・2の排出量を2019年の23万7,210トンから2024年には22万1,746トンへと削減し、自社資産ベースで17%の削減を達成。排出原単位は基準年比で平均5%削減という年間目標を達成した。
投資家向けの情報開示も強化している。GRI(Global Reporting Initiative)基準に準拠し、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)の要求事項とTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った気候関連シナリオ分析を実施。物理的リスクや移行リスク、レピュテーションリスクを特定し、気候変動が資本コストやプロジェクト収益性に与える財務影響を明確化した。グリーンボンドの発行額は累計4億7,640万ドルに達し、2024年だけで4億2,440万ドルを配分。2019年以降の低炭素投資は約27億ドルに上る。
ガバナンス面では、6カ国で1,523名の従業員を擁し、各拠点でEmployee Experience監査を完了。女性のキャリア支援や多文化チーム育成プログラムを推進するとともに、取締役会レベルでのサステナビリティ監督体制を整備した。地域社会への貢献として、グローバル拠点全体で約100万ドルを地域イニシアチブに投資している。同社CEOのDoron Blachar氏は「再生可能エネルギー容量の増加、サステナビリティガバナンスの強化、包括的な報告による透明性向上を通じて、ステークホルダーへの長期的価値創造と地球の電力需要に応えるベースロード型クリーンエネルギーの提供に貢献している」とコメントした。
地熱発電は天候に左右されない安定的な再生可能エネルギーとして注目が高まっており、エネルギー転換期における重要な電源として期待されている。Ormatの年間249万トンのCO2削減効果は約52万世帯分の年間電力消費に相当し、ESG投資家にとって魅力的な投資対象となっている。
【参照記事】Ormat Publishes 2024 Sustainability Report, Marking 60 Years of Innovation and Impact

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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