ソニーグループは8月29日、2026年度から2030年度までの環境中期目標「Green Management 2030(GM2030)」を策定した。バリューチェーン全体での温室効果ガス総排出量を5年間で25%以上削減することを柱に、2050年度までの環境負荷ゼロ実現に向けた取り組みを加速する。気候変動対応については、当初目標を10年前倒しし、2040年度までのネットゼロ達成を目指す。
同社は長期環境計画「Road to Zero」のもと、気候変動、資源、化学物質、生物多様性の4視点から環境負荷削減を進めている。現行の「Green Management 2025」は2024年度末時点で概ね目標達成の見込みで、GM2030では環境課題を取り巻く最新状況を踏まえた新たな重点項目を設定した。
温室効果ガス削減では、自社オペレーション(スコープ1・2)で2025年度比60%削減し、残った排出量と同量の炭素除去を実施する。サプライチェーン(スコープ3)では同25%削減を目指す。自社使用電力は2030年度までに100%再生可能エネルギー化し、主要サプライヤーにも製品製造時の再エネ電力100%化を働きかける。国際イニシアチブ「RE100」への加盟企業として、当初の2040年度目標を10年前倒しした形だ。
資源循環の加速も重要な柱となる。製品重量あたりの非循環プラスチック利用率を30%以下に抑制し、特定機種の主要基板実装で再生材比率100%のスズや金の使用を進める。プラスチック汚染対策では、製品包装中のプラスチック利用率を10%以下とし、重量5キログラム以下の製品では包装プラスチックを全廃する方針だ。販売店で使用するプラスチック包装も全廃を目指す。
電機業界では、パナソニックが2024年に「GREEN IMPACT PLAN 2024」で2030年度までに自社CO2排出量を2019年度比で実質ゼロにする目標を掲げ、日立製作所も2024年度から2027年度の中期経営計画で2050年度カーボンニュートラル達成に向けた取り組みを強化している。経済産業省によると、日本の電機・電子産業のCO2排出量は製造業全体の約6%を占めており、サプライチェーン全体での削減が急務となっている。
ソニーのネットゼロ目標は「Science Based Targets initiative(SBTi)」の認定を取得済みで、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にも賛同している。エンタテインメントコンテンツやアーティストとの連携による環境啓発活動も継続し、事業特性を活かした取り組みを展開する。世界的な脱炭素化の潮流が加速する中、日本を代表するグローバル企業として、サプライチェーン全体での環境負荷低減が企業価値向上につながると判断したものとみられる。
【参照記事】環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2030」を策定

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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