Elev8 Venture Partners、初号ファンドを1億6,000万ドルで最終クローズ

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インドに特化した成長段階のベンチャーキャピタル(VC)ファンドであるElev8 Venture Partnersは、初号ファンドを1億6,000万ドル(約1,400クロール)で最終クローズしたと発表した。同ファンドはインドの成長段階にあるスタートアップを対象に、12~14社への投資を計画している。すでに5社への投資を実行済みで、フィンテックプラットフォームのSmallcase、本人確認サービスのIDfy、占星術スタートアップのAstroTalk、後払い決済のSnapmint、物流スタートアップのPorterなどがポートフォリオに含まれる。

この資金調達は、成長段階のテック企業を支援する動きとして注目されており、9月2日にはTechpinionsやThe Tech Portalなど、複数の業界専門メディアでも取り上げられた。

同社の創業者兼マネージングパートナーのNavin Honagudi氏は「ファンドⅠから既に5件の投資を実行しており、このファンドから12~13件の投資を行う予定だ」と述べた。Elev8は、企業価値が1億~3億ドルの企業を対象に、1件あたり1,000万~1,500万ドルの投資を行い、各案件で7~14%の持分取得を目指す。共同投資の柔軟性により、案件によっては2,500万~3,000万ドルの投資も可能としている。

ファンドの資金調達構成は、国際投資家と国内投資家が均等に分かれており、機関投資家が45%、ファミリーオフィスと富裕層個人が55%を占める。アンカー投資家として、韓国の大手金融グループKBフィナンシャルグループ傘下のKB Investmentが参加したほか、インド政府のSelf Reliant India Fundも出資している。投資家ベースは、韓国、香港、インドの機関投資家のほか、ソブリンファンド、ファミリーオフィス、複数のユニコーン創業者など多様な構成となっている。

Elev8の投資対象セクターは、コンシューマーインターネット、エンタープライズソフトウェア、フィンテックの3分野が中心だ。また、インドで人気が高まっているプレミアム消費財ブランドへの投資にも前向きな姿勢を示している。Honagudi氏は、「ウェルステック企業であれば、給与コストの70~80%が製品開発チームに向けられ、営業チームではない企業に注目したい」と、技術が事業の大部分を占める企業への投資方針を明確にした。

AI(人工知能)については独立した投資カテゴリーとして扱っていないものの、検討対象企業の多くで運用効率化ツールとしてAIが重要な役割を果たしていることを指摘。純粋なAI企業については、年間売上高が少なくとも1,500万ドルに達した段階で投資を検討するとしている。同社は、残りの資金を今後18~24カ月以内に投資完了し、2028年から投資回収を開始する計画だ。

今回のファンドクローズは、インドの後期段階ベンチャー投資が活発化する中での動きとなった。Bain & CompanyとインドベンチャーキャピタルAssociation(IVCA)の最新レポートによると、2024年のインドのVC投資額は137億ドルに達し、前年比1.4倍の成長を記録。案件数も2023年の880件から2024年には1,270件へと約45%増加した。

特に5,000万ドル未満の中小規模案件が全体の約95%を占め、前年比1.4倍に増加。5,000万ドル以上の大型案件もほぼ倍増し、パンデミック前の水準まで回復している。ソフトウェア・SaaS分野への投資は、生成AIを含めて2023年から2024年にかけて約1.2倍の17億ドルに増加した。

今年に入ってからも、Elevation Capitalが4億ドルの新ファンド「Elevation Holdings」を立ち上げ、Bessemer Venture Partnersが3億5,000万ドル、Accelが6億5,000万ドルの新ファンドをそれぞれ発表するなど、主要VCファームがインドでの投資活動を強化している動きが続いている。インド市場は引き続きアジア太平洋地域で第2位のVC投資先としての地位を維持しており、今後も成長が期待される市場となっている。

【参照記事】Elev8 Venture Partners closes $160 million debut fund with 5 initial investments
【参照記事】Elev8 Venture Partners closes debut fund at $160Mn to back growth-stage Indian startups
【参照記事】India Venture Capital Report 2025

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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