米大手暗号資産カストディアンのAnchorage(アンカレッジ)が、暗号資産企業としては米国初の国法銀行となった。通貨監督庁(OCC)より、連邦信託銀行としての条件付きライセンスを取得している。
Anchorageは、主に機関投資家向けの暗号資産カストディ事業(資産管理事業)を手がける企業だ。今回認可を受けたことで、米国全土で銀行業を運営できるようになっている。名称は「Anchorage Digital Bank National Association」となっており、信託銀行としての事業運営のための条件を満たした形だ。
今後は、これまで金融機関が担っていた役割を自社で行うことができるようになり、暗号資産以外にも顧客の資産を管理することができるようになる。顧客にとっても、暗号資産とその他の資産とを別々で管理していた状態からAnchorageに一本化することができ、投資効率を向上させることが期待できるだろう。
暗号資産決済サービスを提供するBitPayやPaxosといった企業も、今回Anchorageが取得したライセンスの獲得を目指している。
なお、2020年9月には大手暗号資産取引所Krakenが、米国初の暗号資産銀行としての認可を取得したことで話題となった。これは、ワイオミング州法のもとでのライセンスであり、基本的にはワイオミング州でのみ事業を運営することができる。
今回、AnchorageはOCCよりライセンスを取得しているため、米国全土で事業を運営することが可能だ。つまり、米国全ての州で一つずつライセンスを取得していく必要がなくなったということになる。この違いは非常に大きいと言えるだろう。
1月14日に突如OCCトップの職を辞任したことで話題となったBrian Brooks氏は、「暗号資産カストディアンは、まるで21世紀の銀行のようだ。」と発言していた。今後は、既存金融と暗号資産との距離が一層近づくことが予想される。
【参照記事】OCC Conditionally Approves Conversion of Anchorage Digital Bank | OCC
株式会社techtec リサーチチーム
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