株式会社マネーパートナーズグループは3月25日、同社が狙う決済サービスとしての仮想通貨交換業とは別に、キャピタルゲイン目的のトレードを含む仮想通貨交換業やブロックチェーンサービス提供を行う事業を展開するための子会社設立を発表した。
マネーパートナーズグループでは、2017年から仮想通貨決済関連サービスの提供を目的として、仮想通貨交換業の登録を受け、サービス提供の実現に取り組んでいる。しかし、仮想通貨を含め世界的にマネーロンダリング・テロ資金供与対策が強化される中、規制内容とその対応が明確になっていないことから、サービス開始を見合わせていた。その一方で、まずは仮想通貨の流動性のために一般への普及を最優先事項とし、キャピタルゲイン目的のトレードを提供する企業へ出資という形で関与を行っていた。
詐欺的なICOの蔓延や相次ぐ仮想通貨取引所のハッキング、仮想通貨の価格操作疑惑などから仮想通貨の不健全な現状が批判を集める中、日本では2018年10月に一般社団法人日本暗号資産取引業協会が認定された。これにより、国内では仮想通貨交換業に対する規制やルール作りが加速している。また、国際的な仮想通貨の規制に関しても、金融活動作業部会(FATF)が基準策定に動いており、仮想通貨交換業に関わる法令整備は前進している。2017年末と比較すると価格こそ低迷しているが、差金決済取引や先物取引を含めた総合的な流動性は堅調に推移している。こうしたさまざまな現場を受け、マネーパートナーズグループは仮想通貨交換業に対して「もう一段、関与を強めていく段階に至ったと判断した」としている。
同社は5月にこの子会社を設立し、2020年4月以降に仮想通貨交換業に係るサービス開始を目指している。マネーパートナーズグループは、ブロックチェーン分野で大和証券と業務提携をしたことも同日、明らかになっている。日本の大手証券会社5社の一角でもある大手企業のブロックチェーン・仮想通貨業界への関与は、業界が健全な市場構築に向けて着実に歩みを進めていることを意味している。今後の動向に期待したい。
立花 佑
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