日本国内における仮想通貨ウォレット実態調査、メルカリのエンジニア栗田青陽氏が発表

株式会社メルカリのエンジニア栗田青陽氏は3月14日、「日本国内における仮想通貨ウォレットの実態調査」と題するレポートを発表した。同レポートは、セキュリティ専門家と仮想通貨交換業者により安全対策基準の策定を目的として設立されたCryptoassets Governance Task Forceのサイトにて公開されている。

金融庁が設置した「仮想通貨交換業等に関する研究会」において、仮想通貨カストディ業者に対して、仮想通貨交換業者と同等の厳密な規制を敷くことが結論づけられた。しかし、多様な仮想通貨カストディ業務が存在する中で、イノベーションを継続するためには、リスクレベルに応じた適切な規制を敷く必要がある。本レポートは、規制内容の妥当性を判断するため、既にサービスを展開している規制の対象となる仮想通貨ウォレット提供者に対してヒアリングを実施、実態を報告したものだ。

まず、同氏は複数のウォレット提供者を対象として利用実態や運営状況の実態に関する調査を行った。ウォレットの種類には、①事業者が秘密鍵を管理して顧客が事業者に仮想通貨の移転を指示する「オンラインウォレット」、②利用者が自身のデバイスで秘密鍵を管理して動作させる「ソフトウェアウォレット」、③利用者が所有するハードウェアで秘密鍵を管理して操作を行う「ハードウェアウォレット」、④利用者が所有する紙などの非電子媒体に秘密鍵を記録する「ペーパーウォレット」、の4つがある。ウォレット提供者はこのうち、①および②を提供する事業者だ。

調査結果では、「ウォレットは収益化された事業ではないことが伺える」と報告されている。ウォレットサービスは個人によって運営されているものが多く、収入を得ていないものやサーバー利用等の費用も個人負担のものが多い現状が明らかとなった。また、法人で運営している場合でも収益源が他にあることが調査により判明している。

ウォレット提供者はこうした現状がある中、昨今議論が進むウォレット事業に対する規制について、取扱額の大小等に関わらず一律の規制が行われることへの懸念を明らかにしている。ソフトウェアウォレットのように事業者が顧客の秘密鍵を管理していない場合には規制の対象外にしたり、カストディは仮想通貨交換業者が想定するリスクレベルと異なる規制を敷くべきだという回答が挙がるなど、現在議論が進む規制が実態に則していない現状が報告された。

一括りにカストディとされているが、その実態は機関投資家向けの大規模な仮想通貨保管・管理サービスや一般利用者向けの仮想通貨保管・管理サービス、仮想通貨の送金サービスなど、規模や取引内容、事業形態は多岐に渡る。こうした現状を踏まえ、栗田氏は「マネーロンダリング・テロ資金供与に利用されるリスクを低減しつつ、イノベーションを阻害することのないように、事業やサービスの性質を踏まえたリスクに応じた規制とすることが肝要と考えられる」と言及している。

柔軟性のないルールで一緒くたに規制を適用することは望ましくないが、仮想通貨市場の健全化と普及のためには規制は必要不可欠だ。カストディ規制が適正に施行されていくことを期待したい。

【参照記事】日本国内における仮想通貨ウォレットの実態調査


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立花 佑

立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。