米金融大手JPモルガン・チェースが、仮想空間「Decentraland(ディセントラランド)」に「Onyx Lounge」と名付けられたラウンジを開設したことが分かった。
Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンを基盤としたメタバースプロジェクトで、ネイティブトークンMANAを介して、「LAND」と呼ばれる土地権利をはじめ、商品やコンテンツを購入することができる。Decentralandは、DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)により運営されるユーザー主導のガバナンスが特徴。特定の管理者が介入せずにエコシステムが形成されるため、コンテンツ制作者や個人が報酬を得たり、そうした仕組みでさらにコミュニティを拡大するなど新たな経済圏を構築する可能性があるとして注目されている。
JPモルガンでは、同社のデジタル通貨・ブロックチェーン技術部門「Onyx」が「Opportunities in the metaverse(メタバースにおける機会)」と題したレポートをリリースしている。レポートでは、20年近く前からメタバース要素のあるオンラインゲームは存在している中、あらためてメタバースが注目されている背景には拡張現実(AR)および仮想現実(VR)ヘッドセットが安価になり、ユーザー体験をより没入的で高度なものに変化させていることが要因だと指摘。また、デジタル通貨やNFTにより、クリエイターがトークンを使って活動を収益化できるようになったことも契機になったという。
COVID-19の影響により、生活の中でデジタル化が常態化したことで、技術的、社会活動、コミュニケーションの要素が統括されたメタバースへの関心は高まっている。
最近では、ナイキ、Walmart、Gap、アディダスやアタリといった大手企業もメタバースに店舗を構え、マイクロソフトがオフィススペースの構築をしたり、歌手アリアナ・グランデがコンサートを開催したりしている。JPモルガンは、メタバース不動産市場がアナログ世界と同様に進化すると予測していおり、金融商品形成のためのインフラ構築に注力したい考えだ。
「Onyx Lounge」はDecentraland内のショッピング街「Metajuku(メタジュク)」に店舗がある。入店するとジェイミー・ダイモンCEOのデジタル肖像と歩き回る虎が出迎えるとともに、壁にはメタバースの進化を示す年表が掲示されている。2階のラウンジエリアでは幹部によるプレゼンテーションなどの映像を閲覧することができる。
【参照記事】JPMorgan stakes a claim in the metaverse with Decentraland lounge
【参照記事】Opportunities in the metaverse

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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