風力発電機大手のシーメンスガメサ・リニューアブルエナジー(ティッカーシンボル:SGRE)は2022年2月3日、ふたたび利益予想を下方修正した(*1)。度重なる業績見通しの下方修正が嫌気され、株価は1年前の半値水準まで下落した(*2)。2月16日時点では半値ほど戻している状態となっている。
21年10-12月期の売上高は前年同期比20.3%減の18億2,900万ユーロ、営業損失が3億900万ユーロ、当期純損失は4億300万ユーロと冴えないものとなった。サプライチェーンの混乱や陸上風力発電で設計上の問題が生じていることなどが業績の低迷につながった。
サプライチェーン問題に伴うコスト高が予想を上回るなか、特に風力タービン事業がその影響を受けたという。ボラタイルな市場環境が顧客の投資意思決定を左右し、プロジェクトを延期するケースも出てきているとのことだ。ミゲル・アンヘル・ロペス会長は「非常に困難な市場環境下において陸上風力事業が大きな問題に直面している」と述べた(*3)。
同社はサプライチェーンの混乱が22年も続くとみており、22年通期の業績見通しを修正した。従来、22年通期の売上高予想を前年比最大7%減としていたが、現在は同9%減に引き下げている。EBIT(利払い・税引前利益)マージンは従来の1~4%増から4%減~1%増に下方修正した。
風力エネルギー分野はさまざま要因により厳しい市場環境に直面している状況だ。デンマークの風力発電機大手ヴェスタス(VWS)も、22年を通じてサプライチェーンの混乱に伴う輸送コストの増加が風力発電業界に影響を及ぼすほか、原材料や風力タービンの部品、エネルギー価格が上昇するとみている(*4)。
シーメンスガメサは、ダウジョーンズ・サステナビリティ・インデックスやブルームバーグの男女平等指数など、さまざまなESG(環境・社会・ガバナンス)関連指数に採用されている(*5)。20年のオフショア(洋上)風力タービン市場で世界最大のサプライヤーでもある(*3)。決算発表前には最高経営責任者(CEO)の交代も公表しており、有力なESG関連銘柄である同社の巻き返しに注目だ。
【参照記事】*1 シーメンスガメサ・リニューアブルエナジー「Siemens Gamesa’s performance still challenged by market dynamics, while commercial activity remains strong」
【参照記事】*2 Yahoo Finance「Siemens Gamesa Renewable Energy, S.A. (SGRE.MC) Stock Historical Prices & Data」
【参照記事】*3 cnbc「Offshore wind powerhouse Siemens Gamesa sees its value nearly halve in a year」
【参照記事】*4 ヴェスタス「Vestas announces preliminary 2021 figures and financial outlook for 2022」
【参照記事】*5 シーメンスガメサ・リニューアブルエナジー「Global reach and proven track record」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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