独立行政法人国際協力機構(JICA)は1月11日、個人向け「JICA SDGs債」(第65回国際協力機構債券〈国内財投機関債〉)の予約受付を開始する。同債券は、JICAがSDGsの達成に向けて、開発途上国の社会課題の解決を支援するために行う事業に資金が充てられる個人向け債券(リテール債)。「個人ができる社会貢献の選択肢として、ソーシャルボンド(SB)への投資を通じたひとりひとりのアクションが世界を変える力になる」(JICA)としている。
発行額は30億円、償還期間10年(2032年2月6日予定)で、利率は今月7日に決定した仮条件で年0.1%~0.3%、21日に正式決定の予定。予約受付期間は1月11日~20日で、21日の発行条件決定後、1月24日~2月4日に本募集を予定している。申込単位は1万円、発行価格は額面100円につき100円。取扱いはみずほ証券株式会社、大和証券株式会社、株式会社SBI証券、楽天証券株式会社。取得予定格付は株式会社格付投資情報センターのAA+。
SBは社会的課題の解決に資する事業を資金使途とする債券で、国際資本市場協会(International Capital Market Association、ICMA)がその定義(社会的課題の解決に資する事業を対象とし、「資金使途」「事業評価・選定プロセス」「資金管理」「レポーティング」についての情報開示を要件とする)をソーシャルボンド原則(The Social Bond Principles)として公表している。JICAが発行するSBはこれらの原則の特性に従い、第三者機関(株式会社日本総合研究所)よりセカンド・オピニオンを取得している。債券による調達予定の資金は、JICAの有償資金協力業務に充当する予定。ただし、石炭火力発電事業への出融資は除く。
JICAは行政法人国際協力機構法に基づき設立された独立行政法人。開発途上地域等の経済および社会の開発、復興、経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進、日本と国際経済社会の健全な発展に資することを目的としたODA(政府開発援助)の実施機関である。
SBのセカンド・オピニオンは、日本総合研究所が16年8月にソーシャルボンド・ガイダンスを参照し、JICA債の特性を評価。17年6月にICMAが同ガイダンスを「原則」に格上げした段階で更新し、21年6月にオピニオンの再更新を行った。更新の背景について、日本総研は「ESG投資へ投資家および発行主体の数・発行金額は右肩上がりに増加している。結果、2014 年当初にICMA のグリーンボンド原則しか設定されていなかったが、SB、サステナビリティボンドなど様々な資金使途が定義され、昨今では資金使途を限定しないサステナビリティ・リンクボンドなど KPI管理型の資金調達まで手段が多様化している」として、発行主体のフレームワーク、オピニオンの内容も再考する必要があったと説明する。
さらに、サステナブル・ファイナンスを巡る潮流として、発行主体の資金使途における評価に加え、組織としての包括的な目的や戦略等と資金使途が整合しているかが投資家から重視される傾向を挙げた。成長するESG市場に、情報開示と透明性の確保の重要性はさらに高まっている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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