蘭アムステルダムにある世界最大の総合金融グループであるINGは12月18日、ビットコインは一般大衆には普及せず長期的には特定の愛好家層のニッチなマーケットに限定されるとの見解を公表した。
ビットコインの「真の」価値は将来の利用想定に依存し、ユーザーが大量に興味を失うとゼロになる可能性がある一方、仮にビットコインが全世界の支払いを引き継いだシナリオではその価値は100万米ドルを超える可能性について言及した。だが実際にはビットコインは決済システムとして失敗しており、現在では保有資産と使われている。今では、他の人が今後もビットコインを高額で購入するという前提で投資が行われているとしている。
現在ビットコインを取り巻く環境は規制が皆無な状態だ。そのため、価格暴落やそれにともなう抗議行動などにより無法地帯となる可能性を快く思わない行政は、規制当局を通じてビットコイン投資を厳しく取り締まる可能性もある。
今回発表された記事によると、「仲介業者を必要としなくなった代わりに失われた法的な保護や信頼性を一般大衆は大事にしているし、最近ではビットコインの特徴とされている送金・決済分野でも取引手数料が高く送金遅れが顕著だ。ボラティリティ(価格変動率)は中央銀行に管理される従来の通貨と異なり大きく変動もする。また、ビットコインのマイニング(採掘)にかかる非常に高い電力消費も問題だ。限定的な人間に権力が集中する構図となっているガバナンスの欠如もある。」としている。
また、INGは「現在のビットコインの勢いはビットコインが永遠に仮想通貨の選択肢に残るという考えにもとづいている。実際、他のインターネットサービスと同様、仮想通貨は『ネットワーク効果』と『変更コスト』を強みに『勝者がすべてを取る』動きを見せている。だが、こうした強みは想定よりも低くなる可能性がある。ビットコインはオープンソースであるため、分岐やコピーの生成も容易だ。ビットコインはブロックチェーン上で希少性があったとしても、ブロックチェーン自体が無限に供給される可能性があるのだ。ビットコインが『デジタル・ゴールド』だとすると、分岐やコピー生成は『デジタル錬金術』と言える」としている。
金融機関関係者のあいだでも否定的な意見が珍しくないビットコインに対して保守的な姿勢を明らかにしたING。投資家であれば必見の内容だ。
【参照サイト】Why Bitcoin is destined to become a niche asset
【関連ページ】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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