GRI、鉱業向けサステナビリティ基準リリース。鉱業セクターの影響に総合的に取り組む初のグローバルスタンダード

非財務情報の開示基準を定めるグローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)は2月5日、新たに鉱業分野のサステナビリティ基準「GRI 14: Mining Sector 2024」をリリースした(*1)。鉱業セクターの持続可能性への影響に総合的に取り組む初のグローバルスタンダードとなる。

新しいGRIスタンダードは、鉱物を提供することと、事業が環境、地域社会、労働者に及ぼし得る損害に対する説明責任の必要性という、相反する2つのバランスをどのように取っているかを明らかにする。透明性を求める幅広いステークホルダーの要望を反映したものであり、探鉱・採石、一次加工、関連支援サービスを含む、鉱業・採石業に従事するあらゆる組織が影響を報告するために共通の指標を使用することができる。

鉱業のためのGRIセクタースタンダードは、強固なマルチステークホルダー・アプローチを中核として開発され、鉱業セクターの重大な影響に焦点を当てている。鉱業セクターの企業にとって重要と思われる25のトピックを取り上げている。

具体的には、排出物から廃棄物、人権から土地と資源の権利、気候変動から生物多様性、腐敗防止からコミュニティ参画など、幅広い重要なテーマを取り扱う。利害関係者が場所や特定の鉱物による影響やリスクを評価できるようにしたほか、これまでGRIが扱ってこなかった鉱滓(こうさい)管理、職人的小規模採掘、紛争地域での操業という3つのトピックも取り上げる。

GRI 14は、政策立案者や規制当局が鉱物の責任ある供給にますます重点を置くようになり、複数の利害関係者グループが鉱業セクターの影響を精査している重要な時期にリリースされた。同基準は、投資家や川下の顧客が十分な情報に基づいた投資や調達の意思決定を行うための情報を提供することを含め、鉱業会社が広範な情報開示やデューデリジェンスのニーズに応えることを支援するものである。

鉱業のためのGRIセクタースタンダードは、アングロ・アメリカン、ニューモント、インダストリオール・グローバルユニオン、カッパーマークなど、マルチステークホルダー・プロセスで策定された。採取産業透明性イニシアティブ(EITI)、責任ある鉱業保証のためのイニチアティブ(IRMA)、国際金属・鉱業評議会(ICMM)などの専門家から助言も受けた。

国際エネルギー機関(IEA)の政策立案者向けガイダンス「持続可能で責任ある重要鉱物のサプライチェーン」では、現在の情報開示の慣行が不十分であると指摘されていた。鉱業会社が詳細かつ標準化されたデータの収集と報告を強化し、サプライチェーン全体の透明性を向上する必要性を訴えている。

GRIのグローバル・サステナビリティ基準審議会(GSSB)議長を務めるキャロル・アダムス氏は「鉱山会社の最も重要な影響について、詳細で一貫性があり、世界的に比較可能な報告が必要である中、この新しいGRIスタンダードがそれを実現する」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 GRI「Sustainability standard to accelerate accountability in the mining sector
【参照記事】*2 IEA「Sustainable and Responsible Critical Mineral Supply Chains

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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