年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は12月16日、欧州評議会開発銀行(CEB)のソーシャルボンドへの投資機会を、GPIFが運用を委託する運用会社に新たに提案すると発表した。今年4月、世界銀行グループが、グリーンボンドなどへの投資機会を、GPIFが運用を委託する運用会社に提案した取り組みに続くもの。GPIFは世界銀行グループと共同研究報告書「債券投資への環境・社会・ガバナンス(ESG)要素の統合」を昨年発表するなど、債券投資におけるESGの取り組みを推進している。
GPIFと運用を委託する運用会社は、投資分析と意思決定プロセスに、ESGの課題を統合する「ESGインテグレーション」を求める責任投資原則(PRI)に署名している。また、グリーンボンドなどへの投資は債券運用におけるESGインテグレーションの手法の一つであると考えられている。髙橋則宏GPIF理事長は「GPIFは環境・社会問題などの負の影響を減らし、運用資産全体の長期的なリターンを向上させるため、ESGを考慮した投資を推進している」とコメント、債券投資においてもESGの取り組みを進めていく姿勢を示した。
また、GPIFは同月11日に「30% Club Japan Investor Group」(30%クラブ) への加盟を発表している。30%クラブは企業が主体的にダイバーシティの取り組みを推進する世界的なキャンペーンで、企業の持続的成長のために、取締役会やマネージメントチームなど、企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスを実現することを目的とする。2010年に英国で創設され、現在は日本(19年5月創設)を含む14ヵ国・地域で展開。GPIFは2016年11月に英国 30%クラブ 、米国 Thirty PercentCoalition (30%連合)に加盟、海外における企業や機関投資家のダイバーシティ推進の先進的な各国の取り組みについて情報収集を行ってきた。これまで培ってきたESG の知見を日本でも広げていく。
【参考記事】GPIF ソーシャルボンドに関する欧州評議会開発銀行との取り組みについて
【参考記事】GPIF 30%Club Japan Investor Groupに加盟しました
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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