生成AIスタートアップの米グリーン(Glean)は2月27日、最新の投資ラウンドで2億ドル(約300億円)調達したと発表した(*1)。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型の企業内データ検索サービスでユーザー層の拡大を目指す。
今回の投資ラウンドでは、米データ管理基盤データブリックスや財務・人事ソフト大手ワークデイといったハイテク企業が参加した。また、米銀大手シティグループや米著名ベンチャーキャピタル(VC)のクライナー・パーキンスなどからも出資している。最新の投資ラウンドを経て、グリーンの企業価値は22億ドルと評価された。
この最新の資金調達により、最も安全で包括的かつ直感的な企業向けAIプラットフォームを開発することが可能になり、ユーザーはワークフローの改善や生産性の向上につなげられる。
グリーンは、マイクロソフトのMicrosoft 365やグーグルのGoogle Workspace、セールスフォースの顧客管理基盤などの企業向けサービスと連携し、社内データを横断検索して知りたい情報を探し出す検索・ナレッジ管理ツールを提供する。
共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるアルヴィンド・ジェイン氏は、元グーグルの優秀なエンジニアであり、データ・セキュリティの新興企業ルーブリック(Rubrik)の共同設立者でもある。
AIの進歩により、グリーンは大規模言語モデル(LLM)で製品を増強することができるようになった。LLMは、数語の文字入力で自然な音声のテキストを生成することができる。
グリーンは最先端の検索技術とRAG(※1)を活用する。LLMが使用するための最も関連性の高い最新情報を取得することで、各組織独自の様々な知識を連結させたナレッジグラフに基づいた高度にパーソナライズされた回答を生成することを可能だ。
企業向けの次世代AIアシスタント「Glean Assistant」のユーザーは、1日平均14回のクエリを実行し(グーグルの平均は3~4回)、グリーンのユーザーは従業員1人当たり週平均2~3時間を節約している。
クライアントにはデータブリックスやソニーなどが挙げられる。当初はテック業界をターゲットにしていたが、現在は金融サービス、小売業、製造業などの分野で顧客基盤の拡大を目指している。
ジェイン氏はオープンAIをパートナー企業と見ている。グリーンがオープンAIや他の企業のLLMを活用し、利用可能なデータに基づいて質問に答えるAIアシスタントを運用しているからだ。チャットツールを提供するCopilot for Microsoft 365が、より直接的な競争相手だと同氏は言う(*2)。
(※1)RAG…LLMによるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術を指す。検索拡張生成や取得拡張生成などと訳される。
【参照記事】*1 グリーン「Glean raises over $200M at $2.2B valuation to accelerate deployment of generative AI in the enterprise」
【参照記事】*2 CNBC「AI startup Glean lures Citigroup as investor at $2.2 billion valuation after revenue quadruples」
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